第56話
第56話
妹 「・・私、『感情』に付いて ちょっと疑問に思う事があったんですけど、」
「油留木さんに『流れを起こす為だ』って言われて、妙に納得したんです」
「感情の話は、御影さんにも教えて貰いましたよね」
御影 「はい」「例えば女性特有の感情として『泣く』という行動が挙げられますが、」
「これは『変化の力』が収まり切らずに溢れた状態だと言われます」
「女性の場合は、男性のそれとも、赤ん坊のそれとも若干異なり、」
「周囲に対して『変化を促すため』だと考えられています」
安茂里「『感情』は『永久機関』の効率を高める為に作られたと聞きました」
「でも今は、コミュニケーションの1つとして機能していると言われます」
妹 「そうなんだぁ・・」
女の人「私、『写真』や『ビデオ』と『記憶』の関係が どうも腑に落ちないんです」
「何故これが重要事項なんですか?」
神楽 「それは、強制的に特定の『器』へ『封じ込める』行為だとされているからです」
「『変化する物』を『変化しない物』としてしまうと、」
「その差を何らかの方法で埋めなくてはいけません」
「『1+1=2』だとする事で、」
「人は永久的に差額を払い続けるシステムを構築してしまいました」
女の人「もしかして、『デジタル』も減ってしまうんですか?」
神楽 「いいえ、逆です」
「『デジタル』という減らない概念を成り立たせる為に、我々が減っているのです」
「ですから、写真やビデオを個人で楽しむ分には特に問題になりませんが、」
「ネットなどで拡散させてしまうと、物凄い勢いで『変化の力』が消費されます」
女の人「我々が勘違いしてる事って沢山あるんですね」
神楽 「はい」
妹 「ところで朱雪さん。神威はこれから どうするんですか?」
朱雪 「説明会に集めたのはAクラスの能力者が中心で、」
「他のクラスも我々が一旦引き受ける形となります」
「又、紫苑は神威のメンバーとして新しい仕事を与えました」
「この件が落ち着いたら、我々は また元の場所へ戻って活動を再開する予定です」
………5分後………
女の人「鈴音さん、『三元論』で『足し算』って具体的にどんな手順になるんですか?」
鈴音 「あら、聞きたいの?」
妹 「うー」
鈴音 「簡単に説明するけど、実際に『5+7』をやってみましょうか」
「まず、左手に『5』を持つ時、」
「『5』の両端は特定出来ない数字の組み合わせになるの」
妹 「まさか、数字も生きてるって言うんじゃ・・」
鈴音 「そう思って貰っても結構よ」
「例えるなら、数字の海に『5』という魚が泳いでいて、」
「捕まえようとしたら、両端の数字を次々に変化させて逃れようとするの」
「そしてこれは、右手でも同じよっ」
「左手と右手を近付けたら、『外』の『偽りの力』を使って『鏡』を作るの」
「すると、『10』と『-10』みたいに特定の数字の影が映って、」
「この一瞬だけ時間が止まるのよ」
「ここで『3つの力』が揃うから、」
「『10』と『-10』が消えて、答えの『12』が残るのよ」
「これは『対消滅』のエネルギーが運動エネルギーの2倍になっているのと同じね」
女の人「えーと、魚が逃げようとするという事は、逃げられる時もあるんですか?」
鈴音 「あるわよっ。コンピューターが計算間違いを起こす瞬間ね」
「あと、引き算や掛け算・割り算も順番に手順を踏めば計算出来るけど、」
「『入れ子構造』になっているから、気を付けてね」
「数学の関数なんかも手順が多いだけで全て表せるわよっ」
女の人「鈴音さん、とても参考になりました」
妹 「ねぇ鈴音さん、私にも何時か分かる日が来るの?」
「私、そんな気がしないんだけど・・」
鈴音 「あら、そんな風に考えてしまうと、分かる物も分からなくなるし、」
「『その逆も また然り』になっちゃうわよ?」
「物事を理解するという事は、貴女の中に『輪が出来る事』」
「自分という『2の存在』から始まって、」
「世界の至る所にある『2』を順番に通り、最後に自分の『2』へ帰る」
「貴女の意思も、記憶も、そして世界とも、こうやって関連付けられているの」
「だから、この世界の『有りと有らゆる物』に意思が有って、」
「みんな生きているのよっ」
妹 「うーん、やっぱり良く分かんない・・」
鈴音 「ふふふ」「これは将来、安茂里と いい勝負になるわね」
………午後1時過ぎ:昼食後:応接室の8人………
妹 「ねえ、私達がこれから戦う相手って、誰ですか?」
都筑 「戦う相手なんて居ませんよっ」
「強いて言うなら、『人との関わり』でしょうか」
妹 「でも、『熱の次の単位』って・・」
朱雪 「『三元神』は『借りる力』を使って、今我々が居る宇宙を創造したとされます」
「この宇宙の運営で得られたモノは、『外の世界』の修繕・維持等に充てられ、」
「非常に長い時間を掛けて『償却』すると定められました」
都筑 「『外の世界』には『利子』という概念がありません」
「この為、神々の寿命は我々の時間に換算すると、」
「『兆』や『杼』の単位になるそうですよっ」
妹 「何、その『杼』って」
女の人「『億』『兆』『京』『垓』『杼』だから、」
「一億年の一億年の一億年だよ」
妹 「何それ」
神楽 「生き物の寿命は、生き物によって異なります」
「我々の中にある細胞にも、細胞としての寿命があるように、」
「銀河や宇宙の寿命も其々です」
「そろそろお気付きだと思いますが、」
「この世界は幾つもの『永久機関』が『入れ子』になった状態だとされています」
女の人「世界の始まりって、『永久機関』なんですか?」
神楽 「世界の『外』も『内』も全て永久機関として閉じられた状態となった瞬間、」
「『始まり』と『終わり』という概念が生まれたとされていますよ」
朱雪 「神話では、一番最初の神に付いての伝承があり、」
「その神は『自分より前に神が居た』と言うのです」
「しかし、その他の どの神に聞いても、『その神が最初だ』と答えるそうです」
「勿論、誰も嘘は吐いていません」
女の人「それって、気が付いたら自分が永久機関の中に居て、」
「誰が作ったのかも分からないって事ですか?」
朱雪 「それも見解の1つとされています」
「しかし、それでは問題の解決には繋がりません」
「それに、永久機関だとすると、」
「誰かが『砂時計』を引っ繰り返している事になります」
女の人「その誰かって、誰だったんですか?」
妹 「それ知ってる。全員でしょ?」
朱雪 「はい。この瞬間、全ての者は『苦しみ』から逃れられない事が証明されました」
「この問題を解決する為、ある方法が考え出され、実行に移されました」
女の人「それって、『一単位』を守る事ですよね?」
朱雪 「はい。『砂時計』を引っ繰り返す瞬間、」
「『中の者』は全員耐え難い激痛に見舞われます」
「神々は『一単位』を守る担当者を決め、」
「全ての『永久機関』を監視するよう指示を出しました」
女の人「でも、『痛み』や『苦しみ』を『0』には出来ないじゃありませんか?」
御影 「はい」「神々は世界の『組み換え』と『最適化』を行い、」
「『痛み』と『苦しみ』を『1兆分の1』にまで減らしたとされます」
「しかし、悪意を持った者が『一単位』を壊そうとすると、」
「『安全装置』が働かなくなります」
「又、苦しみの分散方法として、予測可能なモノと不可能なモノとに分け、」
「特に女性は『出産・生理』といった ある程度予測可能な『痛み』を担いました」
妹 「ええっ、なんか今日の話、無茶苦茶だよねぇ」
女の人「なるほど、『三者の関係』って もの凄く重要だったんですね」




