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神楽  作者: 黒紫
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第30話

第30話


………午前10時前………

宙に浮かぶ大きな光玉(直径50センチ)を前に、目を閉じた神代が独り。

静まり返った部屋の中央で沈黙している。


………午前10時:目を見開いて………

「神楽に霹靂神よ、(われ)を神にして見せよ!」


神代の掛け声と共に光玉は上昇し、天井を抜け、神社の上空へ。(三重県)

30秒後に光玉が200メートルの高さに達すると、

6つの玉(30センチ程)に分裂して時速100キロで其々の方向へ飛んで行く。

そして、近くのビル・図書館・公園・スーパー・郵便局・駅の中へと入り、

仕掛けられた爆弾を次々に起爆させた。


<神楽:本部(東京)>

神楽 「神代が動きました。我々も準備を始めましょう」

角星 「はい。早速、『都筑(つづき)』を呼び寄せます」


………午前10時20分………

着付けを終えた御影(黒留袖)と姉(色留袖)が黒い車に乗り込む。


女の人「風雅さんに会いませんでしたね」

御影 「風雅は先に行って、神社に何か仕掛けられていないか確認をしています」

朱雪 「風雅様がお調べになれば安心ですぅ」


………午前10時40分:御影・姉・風雅(色留袖)の3人………

女の人「そろそろですね」

御影 「はい」「今日は、霹靂神・神楽・神代の三者にとっての転機となるでしょう」

風雅 「結婚式が無事に執り行われれば、私はそれで構わない」


<蹉跌の風>

西は奈良、東は名古屋まで広がり、『風』に触れた爆弾が新たな『風』を生む。

人々の殆どは『風』に呑まれても気付く事は無く、何時もと同じ生活を送り、

『風』に気付いた一部の能力者は、この巨大な『力』に恐怖する。


………午前11時………

神社の本殿に設けられた式場に、巫女の先導で入場。

紋付羽織袴を着た霹靂神、白無垢の閃緑。(媒酌人は御影の父親の友人)


新郎側は、

霹靂神の両親・兄(外見35歳位)・叔父叔母2人・男性2人(20歳位と40歳位)と、

女性(35歳位で髪が長い:御前の女)の8名。

新婦側は、御影の両親・御影・叔父叔母3人・姉・風雅の8名。


全員が入ったところで斎主(さいしゅ)が入場し、

全員起立後に拝礼すると、すぐに斎主が祓詞(はらえことば)を唱えながら御祓いを始める。

その後、祝詞奏上・三献の儀・玉串奉奠と何事も無く進み、

親族全員で巫女が注いだ御神酒を飲んだ。(風雅と姉と御前の女は飲まない)


最後に全員が起立すると、斎主と共に神棚に向かって一礼した。


………午前11時30分:御影と姉が車に戻る………

女の人「予定より少し早かったですね」

御影 「『蹉跌の風』が近付いているとの連絡があり、少し急いで貰いました」

女の人「えっ?もう始まってるんですか?」

御影 「時間がありません。ホテルに到着後、すぐに霹靂神様にお会いになって下さい」

〈朱雪が車を発進させる〉

女の人「朱雪さんは『蹉跌の風』の事、知ってたんですか?」

朱雪 「はい。10時10分頃に連絡がありました」

「現在、『風』は時速150キロを超える速さで拡大し、」

「東は神奈川、西は岡山辺りです」

「3時間後には鹿児島、4時間後には青森、」

「7時間後には北海道・沖縄を含む日本全土が覆われると予想されます」

女の人「・・・」

「あっ、そうだ」

「ちょっと気になったんですけど、今日、『誓いの言葉』がありませんでしたよね」

御影 「はい」「これも霹靂神様の御意向です」

「我々を含め 全ての生き物は、自分自身に特定出来ない部分を持っています」

「しかし、『誓い』という概念の実行には『必然』を要し、」

「所謂、自己矛盾であると霹靂神様は考えておられます」

朱雪 「又、霹靂神様は『永遠』は存在しないとも仰いました。私も同じ考えです」

「だから私は、霹靂神様が仰る、」

「『人は存在しないモノに思いを馳せる生き物だ』という言葉がとても好きです」


………午前11時50分………

霹靂神が侍女2人を連れてロビーに入ってくる。

御影と姉は霹靂神の姿を確認すると、近くまで行き、


御影 「霹靂神様」

霹靂神「兄と呼んでくれても構わない」

御影 「では、兄さん」

「紹介します。此方が次期神楽様です」

女の人「えっ?」「そんな話・・」

御影 「神楽様は貴女に一任すると仰いました」

「今日貴女が起こす事、決める事は全て神楽の意思だと」


次の瞬間、ホテルが『蹉跌の風』に呑み込まれる。


<風雅と女性(御前の女)ホテルの外>

ホテル全体が巨大な光に包まれ、『風』の進入を完全に防いでいる。


風雅 「取り敢えず、ホテルは大丈夫」

女 「はい」


<妹:学校>

「まさか、今日だったの?」「お姉ちゃん、大丈夫かなぁ・・」


<父親:会社>

父親が身に着けている『御守り』と『ストラップ』が僅かに光を発するが、

父親は全く気が付かない。


<母親:家>

「あの()たちなら、きっと・・」


<姉と霹靂神>

女の人「今?」

御影 「『醍醐(だいご)』様と風雅が上手くやったようです」

女の人「霹靂神さん、私達 神楽と『協定』を結びませんか?」

「一緒に神代を倒そう なんて事は言いません」

「私は、この『流れ』を変えたいんです」

霹靂神「いいだろう」「但し、我々と、私の条件を呑んで頂きたい」

女の人「分かりました」


………午後5時:とあるビルの地下駐車場:3人が車から降りてくる………

女の人「ここが神楽の本部なんですか?」「思ってたのと少し違うかな・・」

御影 「神楽様がお待ちです」


………5階:応接室:3人が中に入る:神楽・角星・妹(制服姿)と合流………

女の人「あれっ」

妹 「緊急招集だよ」

「神楽さんに迎えに行くって言われたんだけど、」

「鈴音さんの事が心配になって連絡したら、近くに居るから送るって言われたの」

「みんな、鈴音さんの事 知ってるみたいだね」

女の人「それで、鈴音さんは?」

神楽 「『近いうちに また来ます』と言って、帰りました」

朱雪 「これは会議が長引きそうですぅ」


………40分後:扉がノックされ、誰かが入ってくる………

女性 「遅くなりました。神楽様」

〈女性は神楽の隣まで歩いて行くと〉

神楽 「皆さんに紹介します」「幹部の都筑さんです」

都筑 「初めまして、皆さん」

(わたくし)は都筑と申します」(22歳位で美人、長い髪を束ねている)

「貴女が次期神楽様ですね。貴女が現れるまで、私が候補だったんですよぉ」

〈都筑は軽い口調で淡々と話す〉

「先ほど、被害状況と、霹靂神との協定について伺いました」

「良い材料は余りありませんが、私の力があれば、それでも万事解決です」

妹 「ねえ神楽さん、この人で本当に大丈夫なの?」

神楽 「はい」「私は皆さんの力を信じてますから」


………10分後………

神楽 「夕飯にしましょうか」「1階に食堂があります」

都筑 「ここの食事は美味しいですよ」

「神楽のメンバーなら、一度は本部で食事をしたいと思うでしょうね」

妹 「もしかして?」

神楽 「はい。秘密です」


………午後7時:黒い車に4人(走行中)助手席に朱雪、後部座席に姉妹………

妹 「私、鈴音さんを信じてるからね。きっと何か訳があるんだよ」

女の人「私が見る未来にも悪い影は出てなかったし、」

「神楽さんだって、鈴音さんと戦わなかった」

妹 「でしょ?」

御影 「朱雪」

朱雪 「はい。鈴音の能力に付いて報告します」

「鈴音は特別な『場』を使い、相手の能力を吸収」

「規則性として『補数(ほすう)』を用いるようです」

妹 「補数って?」

女の人「家に着いたら教えてあげるね」

妹 「じゃあ、後で・・」

「それにしても、今日は色々あったね」

「『蹉跌の風』のせいで、お姉ちゃんが次期神楽として霹靂神と協定を結んだら、」

「鈴音さんが神代だと分かって、都筑さんっていう変な人が来たんだよね」

女の人「神楽さんは何も言わなかったけど、」

「神楽さんも霹靂神さんも こうなるって知ってたみたいですね」

御影 「はい」「恐らく、神代もそうだと思います」


………数分後:信号で停車………

女の人「あっ、そうだ」

「言い忘れてましたけど、」

「23日に結婚式の話を聞いた後、オークションで ある絵画を見付けたんです」

〈姉は車内灯を点け、20センチ四方の小さな絵画(抽象画)を荷物から取り出す〉

「きっと、誰かが結婚祝いにと流通させたんだと思います」

「御影さんから渡しておいてくれませんか?」

御影 「はい」



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