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神楽  作者: 黒紫
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第24話

第24話


………9月10日………

朝。洗面所から出る姉と、3メートル離れた所にいる制服姿の妹。


妹 「お姉ちゃん、おはよう」「早速始めようよ」

女の人「そうだね」


姉妹は同時に人差し指を立て、

指先から光玉テニスボールを飛ばし合った。(お互い時速15キロ)

妹が出した光玉は真っ直ぐ姉に向かい、

姉が出した光玉は壁や廊下に反射しながら妹の隙を窺う。

すると、妹はすぐに 光を帯びた両手の拳を構えて、光玉を正面に返し、

姉は何時ものように両手を後ろに組んで、『移流』の壁に次々と反射させる。


女の人「だいぶ慣れてきたみたいだね」

妹 「だって、毎日鍛えてるからね」

〈10秒後〉

女の人「じゃあ、こんなのはどう?」

〈姉は人差し指から光玉テニスボールを3個同時に出現させる:計5個が妹へ〉

妹 「えっ、ちょっと・・」


妹は両手の拳を動かすが、

2個を返すのがやっとで(それぞれ壁と天井に飛んで行き)残りの3個は上半身にヒット。


妹 「もぉ、お姉ちゃん!」

女の人「だって、ほら、」

「マンガとかで危機的状況になったら能力が突然開花する事ってあるじゃない?」

妹 「そんな都合良く いく訳ないでしょ!」

「私、真面目にやってるのにぃっ」

〈次の瞬間、2個の光玉(壁際と天井に浮遊)が同時に消滅する〉

女の人「ほら、出来たじゃないっ」

妹 「えっ?」「これが・・そうなの?」

〈妹が不思議そうに自分の力を確かめていると〉

母親 「凄いですね。母さんの所まで『移流』が伝わって来ましたよ」

妹 「あっ、ごめんなさい」「まだ力の調整が上手く出来なくて・・」


………午後7時:照明を少し暗くした部屋:並んだ蝋燭の火:姉………

〈大きなケーキに立ててある蝋燭の火を全て消す:20本〉

妹 「お姉ちゃん、おめでとう」

母親 「おめでとう」

女の人「これで私も二十歳(はたち)だね」

〈母親が部屋の照明を明るくする〉

母親 「お父さん、今日も忙しいみたいだから、許してあげてね」

女の人「うん。分かってる」

「『蹉跌』を無効化したって、起きたミスが無かった事になる訳じゃないからね」

妹 「私、絶対、神代と戦うからね」

女の人「まあまあ、気持ちばかり焦っても何も変わらないって」

妹 「ええっ?、お姉ちゃん、何でそんな事言うの?」

女の人「物を動かすには、それに見合った力が要るって事だよ」

「大きな物を動かしたいなら、尚更ね」

母親 「はいはい。そこまでにしましょう」

〈母親が桐の箱(18×10×9センチ)とノートを一冊、姉の前に持って来る〉

「この箱がお父さん、こっちのノートが母さんからのプレゼントよ」

女の人「じゃあ、お父さんのから開けてみるね」

〈箱を開けると、綿の上に灰茶色の『石』(拳ほどで重さ250g)が載っていた〉

妹 「何これ、石?」(覗き込みながら)

女の人「隕石だね。石質隕石」

母親 「お父さん、あなたと同じで少し変わった所があるから・・」

女の人「・・・」

「あっ、もしかして、そういう意味?」

「ふふっ。お父さん、ありがとう」

〈姉は桐の箱に蓋をする〉

「次はお母さんのだね」

〈ノートを数ページめくってみる:何も書かれていない〉

「これって、『隠』で書かれてるの?」

母親 「そう。これは、母さんが考えた技や能力の使い方を記した物なの」

「レベルが高い技が書かれているページほど、」

「高いレベルの『明』を使わないと読めないようになっているからね」

女の人「お母さん、ありがとう。大切にするね」

妹 「最後は私だね」


妹は小さな長方形の袋を出した。

姉が袋を開けると、中から携帯ストラップ(馬形埴輪)が出てくる。


妹 「これには、私の『力』が込められてるからね」「反動50発くらいは大丈夫だよ」

女の人「あれから かなり上達したんだね。『隠』も上手く出来てるし・・」

「ありがと。大事に使うからね」


………次の日の朝:玄関:母親と父親………

母親 「これ、プレゼントのお返しですって」

〈母親が赤色の『御守り』を父親に渡そうとする〉

〈父親は上着の内ポケットから、古ぼけた赤色の『御守り』を出しながら〉

父親 「同じだな・・」

母親 「そうですね。でも、もう私のは効果が無くなりかけてますから・・」

〈一呼吸置いて〉

「それと、もう一つ」

〈今度は携帯ストラップ(シーラカンス)を出して〉

「あなた。良い子に育ちましたね」


………午前10時過ぎ:応接室(父親の会社が入居しているビル)父親と鈴音………

鈴音 「先方様より、お礼の御連絡を頂きました」

「公証役場で公正証書の表記ミスを指摘される等のトラブルもあったようですが、」

「無事に契約が成立して何よりです」

父親 「此方もミスに気付かず、お恥ずかしい限りです」


〈父親の携帯電話が鳴る〉


「すいません、ちょっと宜しいですか?」

鈴音 「どうぞ」


父親は携帯電話を取り出して、席を立つ。(この時、鈴音は携帯ストラップを注視する)

1分後。


父親 「お待たせしました」

鈴音 「いいえ。お気になさらずに」

「ところで、可愛いストラップですね」

父親 「これは娘からのプレゼントですよ。今、高校一年生です」

鈴音 「そうですか・・」


………10分後:赤いスポーツカーを運転する鈴音………

「ふふふ。あの子がそうなんだ」

「神代様に御報告しなくちゃね」


………土曜日:午前9時:姉妹が玄関を出ると、赤い車が止まる(神楽独り)………

神楽 「おはようございます」

姉妹 「おはようございます」

神楽 「今日は、明日の下見に行きます。後ろに乗って下さい」

〈姉妹が乗り込み、神楽は車を発進させる〉

「これから、あるデパートに向かいます」

「神代が仕掛けたトラップが多数ありますので、」

「今日は『明』しか使わないで下さい」

妹 「明日は御影さんも参加するんですよね」

神楽 「はい。これは、神楽で最も優先順位が高い事業です」

女の人「神代って、今どれ位の『力』を持っているんですか?」

神楽 「現在の勢力割合は、神代・神楽・霹靂神の三者で『5:4:3』です」

「近年、神代の勢力が拡大し、全国各地で問題が発生しています」

「更に我々が入手した情報では、」

「今から ひと月以内に大きな事件を起こすと予想され、」

(みな)、神経を尖らせています」

妹 「えっ?もしかして、切羽詰った状態とか?」

神楽 「はい」

女の人「じゃあ神楽さんは、そんな状況で私達を指導してくれてたんですか?」

神楽 「私は、自分が見た未来を信じています」

「貴女方も、自分が信じる道を進んで下さい」

妹 「ところで神楽さん。神楽さんも普段、『隠』で自分の風を隠してるんですか?」

神楽 「はい。ある程度の調整はしていますよ」

「『隠』は能力者の特性によって力の消費量の違いが顕著に表れる技です」

「折角 風を消して一般人に紛れても、」

「それだけで疲れてしまっては意味がありませんからね」

女の人「私は朝からずっと『隠』で風を消してるけど、一日中でも苦にならないです」

妹 「私、完全に消すと、3時間しか持たない・・」



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