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2051年4月20日 地球時間00:10

大型移民宇宙船“海原”艦橋にて




「大気圏から脱出しました、お疲れ様でした」


機会音のアナウンスが流れ、乗組員から歓声が起こる

打ち上げから約十分、“海原”が地球を脱出したのだ


一年間に渡って行われてきた地球人類生存作戦に、遂に終止符が打たれたのだ


「同時に打ち上がった宇宙船はどうなっている?」


ふと、何かを思い出したように、ケンタロウが問いかける

同時刻に他の地点から打ち上がった宇宙船の様子についての問いかけだ


今回の宇宙船打ち上げ地点は、“東京”“大阪”“室蘭”“種子島”の四箇所

それぞれの箇所から“海原”とほぼ同じ大きさの宇宙船が打ち上げられたのだった


「東京、大阪から打ち上げられた機体は、概ね順調です

室蘭から打ち上がった機体は……」


乗組員が交信装置を操作していた手を止め、一旦言葉を切る

交信装置には

「“春風”はどうした?」


「“春風”と交信できません……」


「わかった、目視できるか?」


「現在確認中で……」


双眼鏡を手に目視を試みていた乗組員が戸惑いながら言葉を切る


「何かあったのか……?」


ケンタロウが不安げに問いかけ、腰から小型の双眼鏡を取り出す

双眼鏡から宇宙そらを眺めると、そこには煙を吹き上げつつ必死に航海を行う宇宙船が確認できる

既に宇宙船は大破しており、大きく破損した先端部からは、沢山のパーツが溢れていた


「な……


ケンタロウが思わず声を上げる

予想だにしなかった宇宙船“春風”の大破を確認し、隠しきれない焦りの色を顔に写す


その時、ケンタロウの視界の端から、閃光が現れる

その閃光が“春風”の機関部を貫き、目の前で一本の光の筋を作った


機関部を撃ち抜かれた“春風”が、眩い光とともに爆発し、細かくなった部品が宙を舞う

今や、合金の塊となってしまった宇宙船のパーツが、鈍く輝きながら目の前で踊り続ける


目の前で起こった緊急事態に、ケンタロウはその場に立ち竦んでしまった


「緊急退避……」


ケンタロウが小さな声で呟く

その声に呼応する様にエンジンの出力が上がり、一気にスピードが上がった“海原”が、地球を離れていく


「あれは……」


ふと、光の筋が差し込んだ方に視線を移したケンタロウが、何かを見つける

その視線の先には、一体の未確認飛行物体があった

紫色のその機体はαアーマーによく似ており、その中央には大きな砲塔が装着されていた


赤紫色が煌めくその砲塔が、急にエネルギーを吸収し始める


「総員、衝撃に備えろ‼︎」


ケンタロウが大声で指示を飛ばす


砲塔の先は青く輝く地球を向いている

エネルギーを大量に吸収したその砲塔が光り輝くと、眩い閃光が地表に向けて打ち出される。




その瞬間、目が眩む様な強い光が、海原の操縦室を襲う。

光が消え、爆発音が聞こえる頃には、目の前から地球が()()()()()




「なっ⁉︎」


乗組員の一人が驚いた様に声を上げる

先程まで故郷があったその場所には、周りと同じ宇宙が広がっていた


何が起こったのかわからず、乗組員は皆その場で固まってしまう

それを嘲笑うかのごとく、砲塔が“海原”へと照準を合わせる


「逃げるぞ!」


ケンタロウの一声とともに、宇宙船は速度を上げる


目の前で消えてしまった故郷

もう二度と戻れない、新たな故郷を探す永遠の旅が始まったのだった



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