遠足①
学食で遠足の内容を知ってから三日後、生徒会主催の遠足となった。
とはいっても、生徒会から来ているのは生徒会長のマリエッタただ一人だけで、他のものは全員別の用事があるとのことだった。
一方、生徒会以外のメンバーは、ゼエル、スズ、アリカ、イリカ、ユミリィと9大魔王サタナキアと同盟を結んでいる魔王マモンの次男シュウゲルことシュウだった。
それらのなかで、ゼエルが魔界で時間を共有しているが長いのはスズやアリカ、イリカだが、どこか下の身分の扱いをしてきて疲れる。
どちらかというと一緒にいやすいのはシュウになる。同性ということもあるが、魔界で低い身分として生活しているゼエルに対しても、対等な身分のように接してくれている。
だが、ゼエルにとってシュウが来るということは事前に聞かされていなかったし、意外だった。
なので、ゼエルはシュウへ気軽に挨拶をしながら、理由を聞きに行く。
「久しぶり。入学式以来か……、あのときはせっかく入学式を誘ってくれたにもかかわらず、最後まで一緒にいれなくて悪かった」
「いや、そんなことはないよ。
いろいろと苦労しているみたいだしね。
少しでもゼエルの役にたてればと思うよ」
「いや、そんな気を使ってもらって悪いな。
身分の関係からすると、本当は俺が気をつかわなければいけないのに……」
「そんなことはないよ。
魔王マモン家は9大魔王にくらべれば小さい国になるからね。
9大魔王ルキフグ様とつながりのあるゼエルに少しでもつながりを作っておきたいって思っただけだよ」
「いや、そんなことを言ったって、俺がシュウにとってなにか役に立つようなことを期待しているのだろうけれども、おそらく何もしてあげられないぞ」
「気にしなくて大丈夫だよ。
9大魔王の庇護下でなければ、生き残れない弱小国の次男の処世術だと思ってくれればいい」
ゼエルは、シュウの話し方が入学式と比べてやけに下手だな、と思いながら、
「ところで、今日の遠足に参加するとは事前に聞いていなかったから驚いたよ」
と、言う。
シュウは、相変わらず、さわやかで、にこやかな笑みを浮かべながら、
「実は、仲のいい先輩から今回のような催しがあると聞いて、僕から生徒会長に直接お願いをしにいったんだよ。
そしたら、生徒会長が快くオーケーを出してくれて、ここにいるってわけさ。
まあ、ゼエルだから言うけど、9大魔王ルキフグ様の娘であるスズ様とつながりを作りたいっていうのが本当の目的だけどね」
「そうか……、まか……、いろいろと多変だな……」
ゼエルはつい『魔界も』大変だなと言いそうになってやめる。『魔界も』と言ったら、魔界でないとこから客観的に見ているようになってしまうからだ。
ゼエルは、恨みのある天界にもかかわらず、どうやらまだ天界にいた時の気分が抜けてないようだ、と内心苦笑しながら、シュウの回答を待つ。
「まあ、魔界の中で微妙な立ち位置の国の大きさだから、いろいろと苦労させられるさ。
ところで、もしよかったら、スズ様を紹介してくれないかな?
なかなか話しかけずらくてね……」
「わかった。けど、どうやら、向こうから話しかけてきそうだ」
ゼエルがスズたちのほうを見ると、アリカが先頭を歩いてゼエルとシュウのところに来たのだった。




