学食②
(なんかの罠じゃないだろうか? おかしい、絶対におかしいぞ。
スズはともかく、アリカとイリカが俺に快く同意してくるのはおかしい)
不審に思い、怪しむルシゼエル。
スズは今、ルシゼエルとつきあっているという設定だから、湖に行くという話に賛同したのだろう。
だが、アリカとイリカはルシゼエルが羽を持っていないと思っているから物凄くバカにしている。
いつもなら、ルシゼエルが生徒会と一緒に行く旅行の場所を『湖』と言ったら賛同せずに『ありえない』などと言って否定してくるはずだ。
たとえそれはスズがルシゼエルの意見に賛同していたとしても否定してくるはず。
と、なると何か裏があるのではないかと疑ったほうがいいだろう。用心するのにこしたことはない。ルシゼエルが物凄く困るようなとんでもない罠があると。
(じゃあ、この危機を切り抜けるのにどうしたものだろう)
考え出すルシゼエル。
こうルシゼエルが考えている間にも、スズやアリカ、イリカ、ユミリィは、湖に行く計画を楽しそうに話ししている。
どうやら、キャンプファイヤーをやることになってきているみたいだ。
キャンプファイヤーをやるなんて絶対にダメだ!
キャンプファイヤーをやることになってしまったら、暗くなるまで湖の近くにいることになってしまう。
そんな遅くまで、スズたちと一緒にいるなんて耐えられん。さっきの授業の時のように、変なままごとをするようななってしまうかもしれない。
理想は中止になるのが一番だが、もし行くとしても日の明るいうちに行って日の明るいうちに帰ってくる。そのくらい、すぐに終わるくらいのほうがいい。
それにだ。キャンプファイヤーをやるとなったら、木が必要となる。いったいどっから調達をする気なんだ?
と、疑問を心の中でつぶやくが、答えは明白である。湖の近くにある森の中からに違いない。そうに決まっている。木を準備して学園から持って行くよりも、現地で調達したほうがよっぽど効率がいい。
誰かが木を切って準備しなければならない。誰かが……。世間上身分の低い者誰かが……。
当然、ルシゼエルといことになってしまうだろう。
魔法を使えれば、一瞬で終わる作業だが……、ルシゼエルは表向き魔法が使えないことになっている。とんでもない重労働になってしまう。
(自分で湖に行きたいって言っといてなんだが……、話題を変えて湖息を阻止せねば!
スズたちだって、ノリで湖について話をしているだけで、本当に湖に行きたいとは思っていないはず)
ルシゼエルは決意をし、
「いや、生徒会もどこに行こうか計画を立てているかもしれない。
生徒会の人たちに聞いてから、あれこれ考えたほうがいいんじゃないか?」
と言ったのだった。