5話『探索もおもしろいけど、思い出と日記は大事にしよう』
魔王城の中をルリといっしょに探索することにした僕は、雑談をしながら一階部分を歩いていた。
一階部分には、食堂、兵詰所、倉庫や書庫があり、どの部屋も10~15坪(約33~50リッポウメートル)程の広さがあった。正直、かなり広くて僕もルリも驚いてしまった。
「何で貴方も驚いてるのです?」
いやね、こんなの広さの城が準備されてるとは、思ってなかったから。
ルリは、この城を僕が作ったと思っているのか、驚く僕を呆れたように見ていた。
ついでに、ルリの服は食堂のデーブルクロスは拝借して白いワンピースを創ってあげた。本当は下着も創ってあげた方がいいんだろうけど、あいにくと、女性用下着を創れる程、下着に詳しくはなかったので断念する。
「(さすがに、男物の下着を渡す訳にはいかないしね)」
そんな理由から、スカート丈は膝下に設定したし、上側も長袖で肩まで隠れる仕様にした。
この世界にはワンピースがないらしく、ルリは興味深そうに観察していたけど......。
「見たことない形の服ですけど、気に入りました。どうやって、着ればいいですか?」
気に入ってくれたみたいだ。着方を説明して、着替えてもらうために、僕は後ろを向き、ルリが着替え終えるのをまった。
「着替え終えましたよ。クロ。」
着替え終えたルリに、『似合うね』と誉めてあげると、少し恥ずかしそうに頬を赤く染めて喜んでくれた。
ついでにクロとは僕の事だ。《人物開示》で僕自身を確認したら、名前が変わっていたのだ。どうやらこの世界での僕は『クロノス・フルヴェント・マリスティラ』と言う名前らしい。
長ヶったらしい名前なので、ルリにはクロノスと名乗っている。
「(こんなに喜んでくれるなら、今度、別の服も創ってあげよう。)」
ルリにはどんな服が似合うだろうか?
普通に量産品をコピーするだけでも喜んでくれるとは思うけど、色々な服を着たルリを僕が見てみたい!実際、美夢の買い物を手伝った時は、色々な服をとっかえひっかえして、可愛い美夢をたくさん見れて、僕も嬉しかった記憶がある。
「(まぁ、あの時は、店側もプチファッションショーみたいになってだけど...)」
という事で時間を見つけて、色々創っておこう。
密かに、ルリのファッションショーを企画する僕であった。
ーーー
時間がわからない。
何分、一階部分から外が見えないので、外の明るさで時間を判断する事が出来ないし、各部屋にも時計らしき物は見つからないのである。
ルリに聞くと、時計もこの世界には存在していなかった。正確には存在はするが、恐ろしく高額らしく、王族や、一部の上級貴族しか所持していないらしい。
そもそも、時計屋もないらしく、時計を買う際は特殊な魔道具職人に柱等に組み込んで貰う物らしい。
「私がここに着いたのは、お昼を過ぎてたので...」
気絶していた分を含めても夕方ぐらいだろうとのことだ。しかも、ルリが言うには、この魔王城。見たことのない素材で出来た正方形をした状態らしい。ついでに、窓はなかったらしい。あと、回りは荒野らしいです。
話しを纏めると、この魔王城。外見は、荒野にある仮設住宅風 (窓無し)で、入口には『ようこそ、魔王城へ』なる看板が立っていたらしい。中は、『閉所広域化魔法』で無理やり広くしてるのではないか......とルリは推測している。
『閉所広域化魔法』とは読んで字の如く、狭いく閉じられた場所を、魔力で無理やりに広げる魔法であり、現在では古代魔法文明時代の遺跡のぐらいでしか見ない魔法らしい。
ようするに、この魔王城を創った主...あの腹黒女神ティアが場所をけちった結果、その魔法を用いたのだろう。
まぁ、住めるだけ文句はないけどさぁ。もっと魔王としての威厳を持たなくて良いのかなぁ。
看板なんて、おふざけの最たる物だと思うのは僕だけだろうか。いや...ルリも苦笑を浮かべている所を見るに間違いなくそうだろう。
「(今度あったら、文句言おう。)」
そう、心に決めた。
ーーー
オマケです。
ーー
異世界日記1日目
僕は今日、魔王になりました。
あの腹黒女神ティアの策の為所で無理やり魔王に。
自分の為所でもあったけど。
そんなこんなで、日記を書く事に決めた。
話しは変わるけど、この世界の勇者って録でもないよね。それでも、初日から襲われるとは思っても見なかったよ。
最初ぐらい仲間を増やすとか、魔法を増やす時間があっても不思議じゃないよね。
まぁ、《万物創作》のお陰で撃退できたけど。
その過程で、自称勇者の被害者、ルリ・アインベルトちゃんと仲良くなった。この世界の事も少し教えてもらえたし、彼女自身は可愛いし、良い子だしね。
ただ、どことなく美夢に似ている気がする。
だからなのかな、彼女に創った服がワンピースなのは?。
それと今日は、彼女と同じベットで寝る事になった。女の子と同じベットなんて恥ずかしいけど、不安そうな彼女を見たらほっとけなくて、いっしょに寝る事にした。
明日は、彼女を家に帰す方法を考えないとなぁ。
おやすみなさい。
追記
看板は取り外しとかないと。
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クロの日記を時々、残します。
本編外も多少含まれて下ります。
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