第八話 君の胸の奥底に
今回は百舌鳥唯人の回想シーンです、過去が描かれています。
──そこは、深淵だった。
───まるで、人の闇を忠実に再現したように。
破かれた教科書、机に描かれた落書き─。
誰一人助けてくれない、
そもそも、助けを乞うことが間違っているとさえ思わせてくる雰囲気。
僕は、内気な性格だった。
親にも、学校でのことは話さなかった。
三者面談で、先生は僕のことを褒め称えてくれた。
だけど、それは親の前でだけだった。
学校では…平然のように体罰を振るう。
クラスメイトは当然のように僕を盾にする。
もう、嫌だった。
楽しみは…クラスメイトを幸せにしてあげられることくらい。
それ以外は、何もなかった。
自己犠牲をすることで、周囲の人が楽になるのなら。
僕は喜んでその身を差し出す。
僕がクラスメイトに話しかけると、反応しない。
まるで…都合の良いロボットのようだ。
だけど、唯一、話しかけても反応してくれる人たちがいるんだ!!
僕の机に落書きをしながら笑っている人たち。
話しかけると、笑いながらも反応してくれる。
机に落書きがしてあると、先生になにか言われちゃうかもしれない。
消しとこう。
ゴシゴシと消しゴムで消していく。
うん、だいたい消えた。
これで先生にも怒られなくてすむ。
小学生から中学生になった。
今度は全員が反応してくれなくなった。
親にスマホを買ってもらったことで、外の情報がある程度わかるようになった。
それにより、自分のクラスが異常だということがわかった。
ただ、それを告発しても、誰かに相談したとしても、意味がないことは分かっている。
あいつらは、根回しを得意としているからだ。
それに、僕は言う勇気がない臆病者だし。
先生には、無口で従順な子と思われている。
どうにかして、クラスメイトに自分を認識させたい。
自分はこんなに強いんだと証明して見せたい。
そこから、心の底の歪みが深まっていった。
決して表に出ることのない歪みが。
──誰だってどこかは異常性を持っているものだ。
異常者は、それがなにかの要因により、それが表面に出てしまっただけなのに。
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