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チョコボ車はサスペンション付き。

 部屋へ戻ると新しい衣装が用意されていた。

 少しくたびれた長袖シャツのような服だ。


「*****」

「いちばへむかわれるなら、こういったふくのほうがよいと」


 侯爵家の用意したにしては微妙な衣装のくたびれ具合を観察していると、メイドさんの言葉をメリルちゃんが伝えてくれる。

 ヨーロッパ辺りでも街を歩くのにあまりいい格好をすると危ないって言うし、これから行く市場というのは東南アジアの激安マーケットプレイスみたいな庶民が日常の買い物に詰めかける場所なのだろう。東京でいえば御徒町とか原宿の竹下通りとか。あとアキバとかな。

 オシャレが必要な銀座とか青山みたいな場所は、もう少し親しくなってからデート気分で案内して貰いたい。



 用意された服を着て、案内されるまま館の玄関へ向かう。

 玄関にはケイトさんの他に三人ほどが俺を待っていた。

 男性が二人と女性が一人。

 ケイトさんをのぞく三人はなんだろう。


「*****」


 俺より少し年上に見える男性が何か言う。


「さんにんはよういちさんのごえいだそうです」


 ほほう。護衛付きか。

 もっとも三人とも威嚇の効くゴリマッチョではなく、人当たりの良さそうな、全然普通の人に見える。

 休暇中の使用人仲間がケイトさんとダベってるのかと思ったくらいだ。

 まあ俺なんかに三人もいかつい黒服がついたら余計目だってしょうがない。

 さりげなくまわりに立って、スリとか揉め事から俺を守ってくれるのだろう。

 揉め事とか怖いな。文化的摩擦とかわからんから。

 おいてある商品を手にとったらダメとかありそうだし。

 手を差し出したら不敬だとか敵対行為と思われるくらいあるかも知れない。

 あー、ちょっと不安になってきた。

 怖いんで腕にしがみつかせて貰っていいですかね。できればケイトさんか、護衛のお姉さんに。

 思っても口にしないがな。しないよ。メリルちゃん変なこと通訳しないでね。

 まあ歩いていていきなりヤンキーに絡まれるほど物騒では無いと信じたい。


「おはようございます」


 三人に挨拶する。

 何を言われているかわかっていない三人にこちらの言葉と日本語で再び挨拶を重ねる。


『おは..よ..ござ...す』「おはようございます」

「▲□○×□□」


 挨拶をしたのはわかってくれたみたいだ。


「*****」


 さらに何か言ってくるので慌てて頭を振り、解らないという仕草をする。


「*****」

「*****」


 うーん。変にしゃべると、語学習得に熱心な人物と思われてしまうかもしれない。

 ああ、でも三ヶ月でなんとかしないとダメなんだよな。憂鬱だ。



 和やか?な挨拶を終え館の外に出ると箱馬車?が待っていた。

 馬車と言っても引いているのは馬型動物ではない。

 黄色い駝鳥。

 有り体に言えばチョコボだ。

 もちろん頭はチョコボほど大きくなく、全体のフォルムは駝鳥なのだが、色の黄色さがインパクト強くてチョコボ以外考えられない。

 そのチョコボが4頭で引くなかなかがっしりとした箱馬車だ。

 魔法のエンジン使った自動車とか出てくるかと思ったが、そこまでは無いようだ。


 あれ? この馬車サスペンションが付いてる。そのうえ後ろは車軸懸架だけど、前は独立懸架じゃないか?

 思わず床下をのぞき込んでしまった。


「ほほう、まえのしゃりんどうしはつながっていないのですな」


 メリルちゃんも一緒に覗き込んでくる。


「このうずまきじょうのぼうをばしゃにつかうのはまえにみたことがあります。なかにじくがあるのははじめてみましたな」


 この箱馬車はサスペンションも付いてるのだ。コイルバネは鉄製っぽい。ダンパーっぽいものも付いているが中身はなんだろう。案外魔法が詰まっているのかもしれない。


「*****」


 箱馬車の床下を覗き込んでいる俺のすぐ横に、ぬっと誰かが頭を突っ込んできた。

 ケイトさんだ。ビックリした。頬が触れちゃうかと思った。


「*****」


 護衛の一人が車輪の向こう側から覗き込んで、何か言っている。


「さいしんしきのあしまわりだそうです」


 スプリングも新しい技術なのかな。


「メリルちゃん、この渦巻きの鉄棒はバネとかスプリングといいます。スプリングの中にある棒はたぶんダンパー、減衰器といって揺れを弱める作用をする装置です。車軸が左右で分かれているのが独立懸架です」

「すぷりんぐ、だんぱー、どくりつけんかですか」

「スプリングとダンパーは余所の国の言葉をそのまま使っています。独立懸架というのは独立がそれぞれということで、懸がぶら下がっていること。架が空中に橋のように渡すことを意味します」

「なるほど。どくりつけんかでさゆうべつべつにうえからつりさげていることをいみするのですね」


 ふむふむと頷くメリルちゃん。


「*****」

「*****」

「*****」

「*****」


 護衛さんが何かをいい、それを受けてメリルちゃんがケイトさんに尋ね、ケイトさんが護衛さんに伝える。端から見ていると護衛さんとケイトさんの二人が話し込んで居るみたいだ。


「だんぱーもどくりつけんかもついさいきんばしゃにさいようされたばかりだそうです」


 最新式の馬車を貸してくれるのか。待遇いいな。

 それにしても馬車なんてちょっと心配だったが、乗り心地は安心できそうだ。


「スプリングは前からあったんでしょうか?」


「*****」

「*****」

「*****」

「*****」


「ばしゃについたのはかれがここにしゅうしょくしたあとのことだと」


 それに、とメリルちゃん。


「ようせいのすみかには、つるのまきをりようしたゆうぐがふるくからあります」


 妖精さんは蔓をバネ代りに利用していたのか。

 そうか。メリルちゃんは日本語の名称を知らなかっただけで、バネは古くからある技術なんだ。

 人間サイズだと蔓のたわみなんて使い道なさそうだけど、妖精サイズなら十分価値がある。それを使ってるのを誰かが気付いて参考に作ったとかの歴史があるのかも知れない。

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