↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら、仇討ちが普通の世界に一人で立っていた。  作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
PR
7/17

第6話〜小田急線の券売機はトラップだらけにつき

法律よりも「仇討ち権」が優先され、日常のいたるところで刃物が飛び交う世界——そんな狂った異世界へ、僕はなんの戦力もチート能力も持たずに転生してしまった。

 この世界では、すれ違いざまの小ぜり合いから駅の改札前に至るまで、誰もが正当な権利として命を狙ってくる。頼れるのは己の悪知恵と、コンビニで買い集めた日常の小道具だけ。

 一歩踏み外せば即・返り討ち。血で血を洗う世田谷の街で、僕は今日もしぶとく生き残るための生存戦略を繰り広げる


 ポカリスエットのペットボトルを握りしめ、僕は息を切らせながら小田急線の駅へと駆け込んだ。

「ハァ……ハァ……ここまで来れば、流しくらいの仇討ち志願者は撒けたはず……!」

改札へ向かう前に、ICカードの残高をチャージしようと券売機へと近づく。だが、画面をタッチしようとしたその時、券売機の裏からガチャリと重厚な金属音が響いた。

「——ターゲット補足。チャージ料金の上乗せ、並びに命の清算を行います」

「は!?」

券売機の取り出し口から飛び出してきたのは、長大な日本刀を手にした改札係員だった。胸元には『特級・仇討ち改札官』のワッペンが輝いている。

「ちょっと待て! 券売機の中に隠れて張り込むな! 狭いだろ!」

「小田急線の平和と売り上げを守るため、無防備な乗客の首を取るのは業務範囲内です」

改札官が鋭い突きの構えをとる。狭い切符売り場、壁を背にした僕に逃げ場はない。

(刃物相手に距離を詰められたら終わりだ……何か、何か使えないか!?)

僕はポケットに手を突っ込み、さっきコンビニで無意識に掴んで買っていた『熱々のアメリカンドッグの串』と、持ち運んでいた強力なスタイリングムース(男性用スーパーハード)を取り出した。

「喰らいやがれ! 『世田谷流・高粘着目つぶし噴射』!!」

缶を逆さに構え、ノズルを一気に押し込む! 濃密な硬化泡が勢いよく改札官の顔面へ直撃し、視界と鼻口を完全に塞いだ。

「ぐおっ!? なんだこの、一瞬でガチガチに固まる泡は……っ!?」

「さらに、足元注意だ!」

目をもがく改札官の靴底へ、アメリカンドッグに残っていた油分とケチャップの残りをぶち撒ける。踏み込んだ改札官の足がすてーんと滑り、派手に券売機の筐体へ後頭部を打ち付けた。

「くっ……定期券の……更新時期に……」

バタリと倒れた改札官を跳び越え、僕は残高不足の改札を必死のパッチで駆け抜けた。

狂気の街・世田谷。小田急線の駅構内すら血で血を洗う戦場だが、僕の手持ちの小道具と悪知恵がある限り、意地でも次の駅まで生き延びてやる。

    【第6話・完】

お読みいただきありがとうございます!

小田急線の券売機の中に改札官が潜んでいるという、狂気の世田谷へようこそ。

コンビニのアメリカンドッグと強力ムースがまさかの大活躍でしたが、主人公は毎回本気で命がけです(笑)。

残高不足のまま改札を突破してしまいましたが、果たして無事に次の駅へ辿り着けるのか……!?

次回も身近な小道具を駆使した生存戦略をお届けします。

少しでも楽しんでいただけましたら、ブックマーク登録や評価(ポイント)をいただけますと大変励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。