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異世界召喚されたけど家でだらだらする  作者: マスカット寿司
ミルクの幸せまで

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20/26

大金が入ってきた!

チャリンッ


 冒険者ギルドの女の人に渡されたのは、大きな袋。

 中には、大量の金貨。


「二億ジェニー、お支払い完了ですっ!」


「はぁぁぁあああああああ!?!?!?」




「ただいま〜」


 家のドアを開け、ミルクに声をかける。


「あ、リツさん、お帰りなさい」


 律は、冒険者ギルドに報酬を受け取りに行っていた。ミルクは律がいない間のお留守番だ。


「ちゃんと30万ジェニー受け取れましたか?」


 30万ジェニーというのは、元々の依頼の報酬だ。


「あー。えーっとだな⋯⋯」


「はい?」


 歯切れが悪い律に、ミルクは半分困惑、半分心配といった表情をする。


「二億ジェニーもらった」


「⋯⋯」


 さっきよりも困惑が強まった表情。大きく見開かれた目。


「⋯⋯え?」




 この異世界の通貨は、ジェニーが基本で、地域によっては違う通貨を使う場所もあるものの、大体の地域ではジェニーが使えるといっていい。

 ジェニーの価値は、日本円に直すと1ジェニー=約10円。

 つまり、律が手に入れたお金の価値は、日本円で約20億に相当する。


「20億円、かぁ」


「何でそんな大金をもらえたんですか?と言っても、大体想像はつきますけど⋯⋯」


「突然変異ゴブリン討伐のボーナスだな。だとしても、こんなにもらえるものなのか?」


 そう、律に2億ジェニーもの大金が入ってきた理由は、突然変異ゴブリンの討伐によるものだ。

 先に1つのパーティーが潰されていた事もあり、討伐報酬が増えたのだろう。

 それにしても、これほどの大金が入ってくるのは想定外だったが。


 いずれにしても、大金が手に入ったなら、やる事は1つ。


「ミルク」


「どうしました?」


「借金を返しに行こう」


「え?」


 ミルクが、ぽかんといった表情を浮かべる。

 そうして、少し考えるような動作をしてから、


「えーっと、リツさん、借金してたんですか?」


「違う違う、ミルクの借金だよ!いや正確にはミルクの父親が残した借金だけどさ」


「え、いやいや、これはリツさんが稼いだお金です。それを私の借金を返すために使うなんて、出来ません」


「父親が残した借金は、ミルクの借金じゃない。だから、ミルクが借金を背負う責任なんてないんだよ。それに、俺はもう生活が安定してるしね」


 【食料自動追加】による無限の食料と、【飛行】を使った移動。

 【魔法障壁】や、【魔法砲撃】があれば、モンスターとも戦える。

 もう律はこのままでも生きていける。お金を稼ぐ必要は全く無い。


「だから、この大金はミルクのために使いたいんだ」


「リツ⋯⋯さん⋯⋯」


 律の言葉に、ミルクが目頭を熱くする。


「私⋯⋯リツさんと過ごす毎日が楽しくて⋯⋯⋯⋯それだけでもすごく救われたのに⋯⋯⋯こんな事まで⋯⋯⋯⋯⋯」


「ミルク」


 涙で濡れた顔を隠すように手で顔を覆ったミルクに、律はさっきよりも感情を込めて、さっきと同じ言葉をかける。


「借金を返しに行こう」


「はい⋯⋯!」





 少し時間が経ち、2人は今街にいる。借金取り達がいる、ミルクの故郷の街だ。


 あえて姿を晒すことで借金取り達をおびき寄せ、借金を返済するのだ。


 もちろん、さらわれないように対策はしてきている。

 新しい家の機能、【瞬間帰宅】。

 家の持ち主と、本人の許可を得て、あらかじめ設定しておいた人間を即座に家へ瞬間移動させる機能。

 もしさらわれそうになったらこれを起動し、上空で待機させている家に帰る気だ。


 対策とお金はばっちり、あとは借金取りを見つけて返済するだけ。

 借金取り達に会うために、2人はあえて人がいなさそうな路地に入っていく。


 そのまま数分間、誰もいない路地を歩き続ける。

 ふと、律は後ろを振り返る。

 すると、一瞬何かが隠れたような影と、音が聞こえた。

 十中八九、借金取りだろう。

 律は、わざと囲まれやすい道に入る。

 すると案の定、十数人の男達が2人を囲んで来た。


「よぅ、ミルク」


 ビンゴだ。


「ちょっと待て」


 早速ミルクを攫っていこうとした借金取りに、律は静止をかける。


「なんだおめぇ」


「俺達は今日、借金を返済しに来たんだ」


「返済だぁ?金はあんのかよ」


「ここにある」


 顔を近づけて威圧してきた借金取りに、2億ジェニーが入った袋を見せる。


「金はあるみてぇだな。よし、ついてこい」


 金があることに驚いたのか、借金取りは一瞬驚愕の表情を浮かべた。

 だがすぐに元の表情に戻り、どこかに向かって歩いていく。


 借金取りについて10分ほど 歩いていると、小さめの建物の前で立ち止まった。


「ここだ」


 いかにもアジトっぽい、少し古めの建物に入っていく借金取りに続いて中に入ると、家具はほとんどなく、少しの食料と、いくつかの椅子があるだけだった。


「ボス!戻りました!」


 借金取りが大声で呼びかけるも、返答は無い。


「ボス?」


 借金取りが、今度は問いかけるように呼びかけるが、やはり返答は無い。


「少し待ってろ」


 律とミルクにそう言って、借金取りは部屋の奥へボスを探しに行った。


 少しして借金取りが戻ってくるも、やはりボスとやらは連れていない。


「お前ら、ボスがどこに行ったか知ってるか?」


 この言葉は、律達に対した言葉ではなく、一緒にいる他の男達に対して言ったものだ。


「⋯⋯誰も知らないか。お前ら、ちょっと来い」


 借金取り達が集まり、話し始める。


「本当に誰も知らないのか?」


「ああ」


 1人の問いかけに対して、もう1人が答える。


「⋯⋯おかしいな。ボスは出かける時は必ず置き手紙を置いていく」


「置き手紙はどこかに置いてないのか?」


「家中を探したが、それっぽいものは無かったぞ」


 1人の言葉に、ボスを探していた男がが反論する。


「じゃあ、ボスはどこに行ったんだ?」


 当然、その問いに答えられる者はここにはおらず借金取り達を静寂が包み込む。


「魔法カメラが置いてあったはずだろ。それを見てみよう」


 そんな空気を打ち破るように、1人が提案する。


「⋯⋯そうだな」


 そう言って男は魔法カメラとやらを取り、映像を映す準備を始める。


「ちょっと待ってろ、調整するから」


 そう言って男は調整していたが、その顔が突然さぁーっと青くなる。


「どうした?」


 それに気付いた1人が、男に声をかける。


「見たほうが早い」


 そう言って男は壁に魔法で映像を映す。


 映像には、ボスらしき人物が映っている。

 そこに突然誰かが入ってきて、ボスの抵抗虚しく、彼を攫っていった。


 それを見た借金取り達の顔が、男と同じく青くなっていく。


「おい。ヤバいぞ、これは」


「ああ。マジでヤバい。どうする?」


 深刻そうな顔をして話し合い始める借金取り達に、耐えきれず律は質問する。


「何がそんなにヤバいんだ?ていうか、そのボスって人を攫っていったのは誰なんだ?」


「お前、知らねぇのか?」


「ああ、知らない」


「あいつはな⋯⋯」


 男は、心底怯えたような表情で、口に出すのも恐ろしいという風に告げた。


「魔王だ」

すいません!更新とんでもなく遅れました!

いつもより1.5倍くらい長くしたからユルシテ

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