勇気 凛々 beauty 藍鸞 nothing
ビューティーに怖いものはもう何もない!
「ようこそB兄ちゃん。僕の故郷、白鬼夜行へ」
北の果ての村は、終着駅にふさわしい荘厳さで出迎えてきた。
空は青く澄んでいるが異様に寒く、海は遠くまで凍りついている。厳しくも美しい大自然の出迎えだ。
当然人間は出歩いていない。先触れの労働者が凍りつきながら領主のとこに向かい、しばらくしてスーちゃんや虹の魔法忍法で寒さ凌ぎながら寒村、というか極寒の村に入った。
シュバルツバイスも相当寒い地域だったんだが、まだ地下深くだったから快適だったな。ここはヤバい。
「ピギィ。ノーパンに太もも晒してるから。やはり元に戻しましょうか?」
H々ハム原木ことソテー氏が全員分の防寒着を用意してくれたのだが、サキュバスのハーフとしては皮膚呼吸出来ないと本能的に嫌なのでオレだけ仕立て直してもらったのだ。
意地でも肌は晒したいのでスーちゃんお得意の《魔獣覚醒:人狼変生》を悪漢スキル《猿真似》でデッドコピーして発動してモサモサモードになった。暖かいしワイルドで良い感じだぜ。
…わざわざスキル使わなくても、普通にサキュバスの能力で肉体を変異させてモフモフになれば解決したんじゃないかこれ。無駄に戦闘モードになってるなこれ。
「お祖父ちゃん!神様を連れてきたよー」
邪聖少年が義兄弟以外には余りしない甘え声で領主に呼び掛ける。ふむ。何だかんだ実家家族に対してと同じ距離感で接してくれていたんだな。これが雌柿王子様とその実家だとまた複雑な話にるんだろうな。
「……我らの土地から王が生まれるとは」
感無量、と言った体で体を震わせオレに跪く領主。まだ五十に届かない位だが過酷な環境のためか体に大分ガタきてるな。王家に成り代われるくらいに原種に近い邪聖少年が生まれるくらいだ。ヒューマンの血が濃い連中にはここはそんだけ酷なんだろうな。
初心者の街から故郷に帰る旅とか今までどうしてたんだ?ああ、いや、昔は要所要所にあったもんな。初心者の街1しか機能しなくなったのもあって先細るばかりだったのか。
ま、これから環境整備するし、こいつも今から若返るし、何も問題ないな!
「藍鸞!アザラシを獲りに行こうか!」
「うん!お祖父ちゃん!」
翌朝、ピンク髪の美少年二人がわちゃわちゃ尊く狩り仕度を調えてる様を眺めながら茶を飲む。ふふふ。太陽が白いぜ。あれ、なんで低い位置なのに白いんだ?土地が変われば太陽も違うもんなんだなぁ。
「それでは、神様。また夜に」
こちらの手の甲に口付けしてきた。サラサラのピンク長髪が下りてきて腕をくすぐる。熟練だ。熟練の美少年である。趣き深い。




