blackwhite partynight paladinknight7
「ああ、強き、死よ。プイ…プイ」
相手のあぐもん2体を道連れに砕け散るマーティン。
虹は異空間転移という凶悪なスキルが使えるので、マーティンの燃料気化爆ドラゴンの呼吸によるだいばくはつから逃れ今、ひとりコロシアムで優雅に佇んでいる。
さて、ハンエイの最後の1匹は誰かね?
壁兼物理アタッカーのドゼルブンか、高速戦闘のシザハンズか。ふふん。ハイパーあぐもんズ五人衆への対策はバッチリだぜぇ?
「見事に一対一まで戻されちまったか。まさかというか、さすがというか。行くぜB-T!こいつが、オレの最後のあぐもんだ!」
召喚契約石が回転し、あぐもんが召喚される。出てきたのは、
「……」
触手の不定形生物だと!?
「ムトプア=ニプルチャンハカワイイアメリカヨコレガニホンバンテッドダ。サキュバスのあぐもん。そして、お前の弟だB-T」
オレに実の弟が!御母様は優秀な個体だから、基本的にほかの種族のあぐもんを殖やすのが仕事で、そいつらを含めたらオレの兄弟はいっぱいいるのだが、純粋にサキュバスとしての子供はいなかった。サーマモン、皇家がバックについたからサキュバスも増やして高ステータス個体をどんどん殖やしていくつもりだな?
あれ、いや、よくみたら弟じゃねぇぞ。テレパシーでわかる。そいつ妹だな。
「え、あれ?でも男同士の裸の付き合いだっていつもお風呂に。あれ?」
さすが我が妹。ウソついて役得していたらしい。今も、え?そんなこと言ったっけ?とでも伝えたいかのように全身でハテナマークを象りシラを切る構えだ。
「まあいい!このムトプアがこの場にいる。それがどういうことかわかるか?B-T」
「…何が言いたいハンエイ?」
甥っ子姪っ子が近いうちに拝めるな。と言おうとしたが我慢する。ムトプアがふいうちをしかけて、ハンエイがびっくりする様が拝めなくなるからな。ある日突然、知らぬ間に手持ちのあぐもんが附子を産む様を見て慌てふためくがよい。
我が妹の事だ。きっと他のあぐもん達も焚き付けて、気付いた頃には後戻り出来なくしてるはずだ。楽しみだぜ!
「サキュバスは相手の望む姿になれるが、別にそれが全てじゃねえ。相手の心を読み取れるから、相手の望む姿にもなれるってだけだ。つまり、」
ムトプアが変身していく。この姿は!
「相手の嫌がる姿、あるいは、相手と全く同じ姿にだって変身できちまうんだよぉ!おお、これが虹!凄いパワーを秘めたあぐもんだなぁ!」
そんな手が!まずい!
「虹ッ!」
「ムトプアァ!!」
「「思念波乗り!」」
エスパー忍法による念導遁。火遁や水遁のような、仙道からの流れを汲む遁術の1系統を応用した攻撃、思念波乗りがぶつかり合い、コロシアムを虹色のオーラが飛び散る。
たとえ何が来ても、最後のこいつが全抜きすると余裕かましていたのだがな。
「B-T、お前は、お前なら予想もつかないびっくりするものを出してくると思ってたぜ。俺の好敵手。お前を信頼し、愛情を抱いてたからこそ、俺はムトプアに賭けた」
くそ!親愛の方の愛情だな。こいつ、初心者の街に旅立つ年頃なのに全然そっちの愛情ねぇのな!逆に不健全じゃねぇかな!?
ムトプアが虹を完全再現したのなら、ステータスも互角だが…あとは《しょじひん》次第だな。
あぐもんは1体につき1個、特殊なアイテムを《しょじひん》として持たせる事が出来る。冒険での蛮用には耐えない、デリケートでピーキーな競技用アイテムは、だからこそ強力な瞬間火力を生み出す。
最初からこの1対1を狙っていたならば、《しょじひん》は決死の覚悟によって、本当に死中に活を得られるようになる《白襷》か、あるいは使えるスキルに制限がかかるがステータスが格段に向上する《槍一本》か。どっちだ?それによって対応が変わるぞ。
くっ、どうするオレ!どっちだ。読みきれるか!?虹色のオーラの奔流が、オレの思念を掻き乱す!!




