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心の傷

シンカが11年振りの里帰りを果たし15日が過ぎた昼下がりの事だった。


シンカは毎日の様に自分の子供を師事させるべく訪れる中途半端な関係性の親を追い払い、優秀な孫を得ようと考えて娘を嫁がせようとする頭の螺子が緩んだ親をあしらう日々で里に帰った事を既に後悔していた。


しかしこの日は朝から誰も訪ねて来ることもなく、随分と爽快な半日を家で過ごしていた。

家の掃除は全て終わり家庭を持つ為の一歩を踏み出した様な、そんな気分でいた。


リンレイが訪れたのは洗濯を終えて1人で崖下の里を見下ろしながら風に吹かれていた時だった。

林檎を片手で食べ、丁度酸味に顔を顰めた時、崖に刻まれた階段を登ってくるリンレイの焦茶の頭髪を見に止めた。


「やあ。シンカ。少し歩かないかい?」


シンカは無言で頷くと林檎の残りを食べてしまい、残った芯を藤の根元に埋めた。

少し手に付いた土を払うと無言で父に近寄る。

リンレイは柔らかく笑うと元来た道を戻り始めた。

何処に行くのかとは聞かなかった。


「久し振りの里はどうだい?」


目を細め、午後の日差しに輝く川を見下ろしながら尋ねてくる。

リンレイの目は小川が照り返す陽光を映してきらきらと輝いていた。


この人の目は本当に綺麗だ。

幼い頃からシンカはそう思っている。

目元の窪みが自分と似ており、其処に多くはない血縁を感じ、何時もシンカは嬉しく思っていた。

この優しい養父と自分は血が繋がっているのだと。


「……………少し……煩わしいな」


「はは。そうだろうね」


軽く笑い声を上げて笑みを浮かべた。

何も変わらない。

自分はあれから変わったのだろうか?

ふとそんな疑問を持った。


30年も生きていないシンカにとって、11年という歳月はその多くを占める。

しかし里は何も変わっていなかった。

戦争の影響も、不作の影響も、何も無い。


3000年ずっと変わりなくここに在り続けたのだろう。


「父さんから見て、俺は変わったか?」


尋ねる。

リンレイは少し立ち止まりシンカの顔を見つめる。

再び歩を進める。


「あまり変わらないかな。でも昔より自分の感情を表に出す様になったと思うよ。……いい女の人と出会えたんだね」


「うん」


それから無言で階段を降り切った。


「そう言えば」


大分経ってからシンカは口を開いた。


「父さんはどうして5人と結婚したんだ?」


あまり考えたことがなかった疑問だった。


「……そうだね………色々さ。5人と結婚したいと思っていた訳じゃないんだ。大人になればなるほど、年を取れば取るほど、僕達は色々な想いや柵を抱えて歩みが遅くなり、生きる事が難しくなる。あの人達といるとそれを忘れられた。一緒に居たいとか、そういう気持ちには理由が付けられない。君もそうだろう?」


「うん」


そうだ。居たいから居ればいいのだ。それが許される関係ならそうすれば良い。


川に沿って2人で歩いていると人影が目に付いた。

女が川を見詰めている。

リンファだ。


「リンファ」


リンレイはリンファに向けて微笑し、片手を上げた。


「父さん」


リンファの返事は硬い。

リンファは顔を上げてシンカを見た。

真っ直ぐ、見た。

久し振りの感覚だった。


そうだ。昔はこうしてリンファは真っ直ぐに自分を見つめて来た。


リンファの瞳に浮かぶ感情をシンカはいつでも読み取れたのだ。

あの時までは。


「シンカ。少しいい?」


尋ねられたシンカは父を見た。

リンレイに誘われてここまで来たのだ。


「僕の用事は終わったよ」


再び手を挙げてリンレイはシンカ達に背を向けた。

遅くもなく早くもなく。

そんな歩調で歩き去って行った。


子供達が剣を振る掛け声が耳に届く。

小川のせせらぎが耳に心地よい。


ふと、シンカに視線を送り続けるリンファに気付いた。


「うん。何の用だ?」


「付いて来て」


リンファはくるりと背を向けると木立へ向けて歩き出した。

里の中を緩やかに流れる小川。

川には名前は無い。


この川は里から出て暫く流れると伏流水となり姿を消してしまう。

何処に流れ着くのか、どこにも流れつかないのか。誰にもわからない。


そんな小川を覆う様に木立は繁っている。

小楢や楓の木立。

あの時は濃い緑の葉が茂り、木々の命の在処を伝える様に緑の匂いを伝えていた。


今は最後の時を伝える様に、燃える様に赤らんで存在を主張している。


あの時は嫌気がさす程羽を擦り合わせて鳴いていた蝉の声。


今は鈴虫が羽を擦り合わせていく涼やかに秋の訪れを伝えている。

あの時と変わらないのは静かな川のせせらぎだけだ。


経の気配を感じ取りシンカは辺りを見回す。

悪いものではない。感覚的にそれは分かった。

子供達の訓練だろう。

だが里の様々な物音は木々に阻まれ木立の中迄は届かない。


今この場所はシンカとリンファ、2人だけの世界だった。


リンファはあの時と同じ、なだらかな川岸で立ち止まった。

シンカの胸が痛んだ。

あの時の光景は今でもはっきりと思い出せる。

苔色のゆったりした服も、シンカが送った胡桃色の珠の首飾りも。

髪型も、匂いも。殆どが同じだった。


だがあの時の弾ける様な若さは2人にはもうない。

年を重ね、経験を積み、思い出や記憶の積み重ねが表情に現れていた。


リンファは真っ直ぐとシンカを見つめていた。

ラクサスで再会して以来どこか伏し目がちだったリンファ。

今日はしっかりと視線が合う。


「年取ったな。お互い」


自然と口に出た言葉はそれだった。


「何それ。当たり前でしょ?」


「うん」


近くの大きく丸い岩に腰掛けた。僅かに水分を纏うひやりとした感触と押し込むと沈む柔らかさが心地良い。


リンファが目の前に来た。

漸く始めるらしい。

彼女を見上げた。胡桃色の瞳がシンカを見下ろしている。


「あの時の事。覚えてる?」


「……うん」


忘れるはずが無い。

今のシンカはあの時の折れた梢から伸びた新しい幹だ。


「あの時、あんたがどう思ったのか、あたしに教えてほしい」


「……………いや」


断った。

言う必要などない。弱い部分など見せる必要は無い。

昔なら話したかもしれない。

だが今は話さない。その必要は無い。それを聞くのはナウラ達でいいのだ。

そう思った。


だがリンファは視線を逸らさず真っ直ぐ見つめ続けていた。


「あれが無ければ、話してくれてた?」


その過程に意味はない。シンカはそう思う。

だから首を振った。

リンファは寂しそうに瞳を揺らした。


それでも口を引き締めてシンカを見続ける。

リンファの癖だ。この口をすれば絶対に引かない。


この口をするリンファとお互い口を閉ざし無言の喧嘩をした事がふと脳裏をよぎった。口は聞かなかったが、それでも隣にいた。


「………ずっと、一緒にいるものだと思っていた。辛かった。惨めだった」


耐えかねた訳ではない。話さなければ様々な事が先に進まないのだとシンカにも分かったからだ。それはこの時間だけの事ではない。


「あの時………お前は笑っていたんだ………」


少し間の抜けた顔になった。惚けた表情だった。

そして直ぐにくしゃりと表情が歪んだ。

それでも目は逸らされなかった。


「だから、あの言葉は誰かに言わされた言葉ではない。俺は確信した」


「っ」


小さく息を飲む音が聞こえた。


「お前は………何を考えていたんだ?」


それを聞かなければならないのだろう。

或いはそれは11年前に聞いておかなければならない言葉だったのかもしれない。


リンファは長らく口を開かなかった。


顔を歪ませ、今にも涙を零さんとする瞳を只管シンカに向けていた。

たっぷりと時間が経ち漸く口を開いた時には午後の日差しは夕日に変わり、木立の隙間からひどく眩しい赤い帯を伸ばしていた。


「あんたの事が……好きだった………」


漸く口にした言葉をシンカは理解出来なかった。


「あんたの事を愛してた……。でも、私には、不釣合いなんじゃないかって、ずっと思ってた……」


「世の中に不釣合いな人間など居ない。俺とてお前には不釣合いなのではないかと、思い悩んだこともあった。それでも失いたく無かった。だから、お前が誰かに馬鹿にされない様努力をした……」


「あんたはずっとそう。心が強くて優しくて。でもあたしはそこまで強く無かった……」


強く無いから何なのか。

シンカは考えを巡らせる。

答えは出なかった。


「あの時ね、あたし、シンカの事を試したの。本当にあたしの事愛してるのか。傷付けてシンカの顔見て、確かめたっ!」


最早涙は堪えられていなかった。


一言話す度につり目がちの瞳から涙が溢れ出ていた。


意識がぼやけた。

血が足りない時の様に僅かに視界に霞がかかる。


エシナでユタを助けた時のことが唐突に思い出された。

シンカは空を見上げた。


「他の人なんて好きになってなかった。あたし、嘘吐いたのよ。あんたを傷付けるために……。今も昔も、あんた以外を好きになった事なんてない」


シンカの胸中に様々な感情が過った。それは多岐に渡りすぎて、シンカは言葉を詰まらせた。


混乱していた。


「あの時シンカは傷付いてた。私の言葉に傷付いて、顔を青ざめさせてた。足に力が入らなかったのよね?ふらついて。息も……乱してた。嬉しかった。………自分が笑ってたなんて気付かなかったけどね」


微かにリンファは笑った。だがその顔は涙に濡れ押し殺した感情で歪んでいた。


「……全部嘘で、お前はずっと俺を思っていた。そう言う事なのか?」


「………そうよ。あんたなら、分かるでしょ。あたしが嘘なんて吐いてない事」


まず真っ先にはっきりとシンカに自覚出来た感情は怒りだった。


「……俺は、お前の嘘で苦しんだのか?」


「そうです。御免なさい」


「………まあ、いい。終わった事だ」


感情を抑えきれず言葉と口調が刺々しくなる。

それでもシンカは抑えて謝意を受け取った。


岩から立ち上がろうとする。だがそれをリンファは押し留めた。


「まだ話は終わってないの。あたしね、最初の半年は喜んだの。あんたにそれ程の傷を与えられたって。本当、最低って分かってる。でもあんたは帰ってこなかった。一年経って私はまだあんたがあたしのところに帰って来るって疑ってなかった。でもそりゃそうよね?他の男と番いたいって振った女の所に帰って来るわけない。そんな事も分かってなかった」


「もういい」


言葉を遮る。聞きたく無いと思った。


「あたしはずっとシンカの事を愛してるのよ!11年ずっとあんたの事を思い続けた!帰って来たら謝って!それでやり直して貰おうと思ってた!」


感情の発露とは正にこれだとシンカは僅かに残る理性で考えていた。


「でもっ………あんたの隣には別の女の人が居た!何にも言えなかった!私が悪いって分かってる!でも!」


シンカの脳裏に11年前の記憶が過ぎる。

傷付き泣きながら荷造りをし、夜更けに1人里を抜け出した記憶。


惨めだった。


食欲も湧かず何日も碌に飲み食いせずに森を渡った。

他人に顔を見られるのが嫌で深く笠を被りひっそり街を歩き、酒を浴びる程飲んで倒れた。

人いきれを嫌い齢の森に半年以上篭り腕を磨いた。


そんな数年が唐突に胸の内で湧き上がった。

徐に立ち上がり激昂した。


「俺の!俺の数年を!何だと思ってる!お前の玩具か!馬鹿にするな!巫山戯るな!」


思考も言葉が纏まらなかった。


「愛してる?!巫山戯るな!愛していたらそんな事を言うものか!俺は認めない!馬鹿にして!」


「嘘じゃ無い!嘘じゃ無い!」


顔をくしゃくしゃにしたまま滂沱するリンファを歯を噛み締め剥き出しにしながらもシンカは怒鳴り付けた。


「あんたの事ずっと待ってた!帰って来たら直ぐ分かる様に何時も入り口で立って待ってた!」


「知るか!戻る訳がない!ずっと帰りたく無かった!恋人を取られた情け無い男だと言われたくなくて!何処を旅しても同胞の目を避ける様に過ごしていた俺の惨めさが!気持ちが!お前に分かるものか!」


「分かってるっ、本当に!申し訳無かったと思ってる!あんたの気持ちは痛い程分かる!今のあたしがそうだから!恋人を駆け引きで振って失って!薹が立つまで待ち続けて!挙句あんたは他の女と結婚する!惨めよ!馬鹿で愚かで救いようが無い!分かってるわよ!あんたがどんな思いをしてきたかよく分かった!辛くて!胸が痛くて苦しくて!消えて、仕舞いたいって………ずっと思ってる……」


震える声で叫び続け、リンファは最後には泣いて言葉が出なくなった。

其れでもリンファはシンカを見続けて居た。


「俺は、滑稽か?弄ばれて。お前の思い通りだったんじゃ無いのか?お前の最後の笑った顔を今でも思い出す。俺の痛みが!お前と同等のはずが無い!俺は無駄に傷付けられて、お前は自業自得じゃ無いか!」


「………そうです。ごめんなさい。シンカは何も悪くありません……。何も、言い返せません」


しゃくり上げながらリンファは必死に言葉を紡いでいた。

リンファの足は笑っていた。崩れ落ちそうになるのを必死に堪えているのが分かった。


しかしそれはシンカも同じだった。

脳が何かを分泌しているのか、浮き足立ち、震えが止まらず、歯の根すら合わなかった。


「………お願い。あたしを見捨てないで………あんたと一緒に居させて………」


か細く告げるリンファにシンカはまたしても逆上した。


「お前が……お前が言うのかそれを!」


「好きなの。他の人なんて考えられなかった!」


「全部お前が自ら捨てたものじゃ無いか!」


到頭リンファは崩れ落ちた。

シンカは手を差し伸べなかった。


リンファは膝を突きシンカの筒履きの腿を掴む。


「あんたがもう私を必要として無いなら、はっきり今、そう言って……。あたし、忘れる努力、するから………」


「………」


こんなに打ちひしがれたリンファを見るのは初めてだった。


シンカは答えられなかった。

気付いていたのだ。それでも気付かない振りをしていたのだ。


リンファの顔を見た時、シンカは確かに胸が痛んだのだ。


ナウラ達と出会い、傷を癒せたと思った。

じくじくと痛み続けていた心の傷は彼女達の愛のお陰で確かに塞がった。

それでも傷の内側はリンファの顔を見て疼いてしまったのだった。


シンカはその痛みを過去の感傷と断じていた。

だが、違ったのだ。


11年経ち4人の伴侶を得て尚、シンカはリンファを忘れられなかったのだ。

その事実に気付き、愕然として言葉が出なかったのだ。


お前は必要無い。

その言葉をシンカは口に出せなかった。


嫌いな訳がない。大切な家族だ。

未練を抱えながらもリンファを突き放す。それ自体はいい。


だがそれは嘘なのだ。シンカにとって幼い頃から共に過ごし、お互いを思い合い愛を交わしたリンファを必要無いと断じることは明確な嘘に当たるのだった。


リンファに嘘を吐かれて傷ついたからこそ、シンカはその台詞を口に出す事が出来なかった。


「うううぅぅぅぅぅっ」


シンカは呻いた。その場に崩れ落ち顳顬を押さえて呻吟した。


許されない。

シンカにはナウラ達がいる。

それは矛盾だ。


リンファを許せない気持ち、許したい気持ち。

決断を下せずにナウラ達へ申し訳が立たないという気持ち。

ごちゃ混ぜになって吐き気すらする。


自分がここまで優柔不断だとは思わなかった。

いや、そうではない。拗れているのだ。


11年かけ、簡単に答えを出せないほどに拗れてしまったのだ。


服に染みが出来ているのにシンカは気付いた。

顔を触ると指が僅かに濡れる。

気付かぬうちに泣いていたらしい。


気付けば日は大分傾いていた。

空は黄昏て濃い橙色に変わり日暮が近付いていた。

シンカは強い疲労を全身に感じていた。


全てリンファが悪いのだ。

このまま立ち上がり歩き去っても誰も責めないだろう。

だが考えてしまうのだ。


その後リンファは、5歳から共に過ごした従姉妹であり姉であり、恋人だった女がこの後どうなるのか。


直ぐに立ち直り半年程で別の男とひょっこり結婚するかもしれない。

良くある話だ。


だが今の塞ぎ込みようを見ると、どうしてもこのまま隠者の如く過ごして行く光景や、あの時のシンカの様に1人夜陰に紛れて里を出て何処かで森に飲まれる光景が思い浮かんでしまう。


それで良いのだろうか?自分がされた事をそのまま還す事が良い事なのか。


リンファは敵ではない。他人でもない。家族だ。

そして未だに女としての好意を抱いてしまっている相手。


必死に自分に縋るリンファを見て、真っ直ぐに瞳を向けて謝罪し、好意を伝える彼女を愛しく思っていた。


「シンカに決めさせる自分が情け無い。カヤテ達を捨てろなんて言うつもりもない。あたしもそばに居させて?……それが無理なら……きちんと、とどめを刺して………」


「……分かった。時間が欲しい。2日くれ。2日後の夜にヤカを行かせる」


シンカはまだ震えの抜け切らない脚に力を入れ立ち上がると川の水を掬い顔を洗った。


リンファに背を向けて木立から歩き去った。

よく考えなければならない。


木立を出るとこちらに向けて手を突き出すセンコウの姿を認める事ができた。

手から空気中に薄く経が広がっている。


風行法・薄籠

薄い気幕を張る行法だ。

複数人で行う事で一定の範囲を囲い、遮音する事が出来る。

半球状の薄い気幕が木立を囲んでいた。


薄く経を周囲に吹き出すと木立周辺に残る4人の母がおり、同じく行法を使っている事がわかった。

母達で木立から人払いをし、声が漏れ聴こえない様にしていたらしい。


確かにあれだけ思いの丈を叫んでいれば優秀な森渡りの聴力をすれば、かなりの者に聴こえてしまうだろう。

様子を見に来る者も居たはずだ。


行法を行う5人の側には弟妹達がおり、更なる人払いを行なっていた。

娘や姉の為に場を作ったと言う事なのだろう。

となると家族にリンファとシンカの事情は余す事なく筒抜けという事だ。


センコウに手を挙げると彼女が法を解除した。

連鎖的に全ての気幕が霧散した。


センコウは少し微笑み何も語らなかった。

今のシンカの様子は母にはどう見えているのか。リンファを見捨てたように見えるのか、受け入れたように見えるのか。


今から思い返せば父の言葉はリンファの気持ちがまだシンカにあるという事を如実に表していた。

父としては自分の娘に幸せになって欲しい。

つまりシンカと結ばれて欲しい。

そういう事なのだろう。


そしてそれは父だけではなく母達、弟妹達の総意だという事だ。


シンカは陽が落ちかけ、壁面の長灯石の灯を頼りに階段を登り家に辿り着いた。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 人類の終わりの始まりが進行するなか、一人の男と一人の女の思いが交差する。多くの人に見守られながら。 世界が変革する中にあっても、人の交わり(痴話げんか?)は変わることなく営まれる様が、どこ…
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