きな娘のひみつ⑤
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不届き者を成敗した私!
でも、これからどうしたらいいの?
教えて! 石ころさん!
『変なコーナーを作ろうとするな小娘』
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中年男性が幸せそうに気絶?している中、再びきな娘は光に包まれた。
「わ、戻った!」
元の姿に戻ったきな娘は、全身をキョロキョロと不思議そうに眺めている。
「これで一件落着ということだな」
「でも、このおじさん、どうするの?」
腕組みをしながら話す石ころ太郎に、きな娘は首をかしげながら聞く。
「放っておけ。 そのうち目覚める」
「えっ!? いいの……それで?」
目をぱちくりしながら、石ころ太郎の発言に驚いている。
「構わん。 次に目覚めるときは、穢れた心が浄化されている。 その後は彼の行動次第だ」
「どういうこと?」
理解が追いつかないきな娘は、"ぬーん"とさっきよりも首の角度を大きくかしげる。
「良いか小娘。 心を浄化したとて、誰しもが善人になるわけではない。 その後の行動次第では、再び同じように穢れてしまうこともある」
「えっ!? じゃあ、私の浄化が無駄になっちゃうかも――ってこと?」
首をかしげたり驚いたりの繰り返しで、忙しい女である。
「無駄ではない。 少なくとも、浄化された記憶は残っている」
「なるほど! その記憶が、その人の心をどう動かすかってことだね!」
"浄化"の意味を理解したきな娘の頭の上に、光る電球がみえた。
「そういうことだ」
それを見て、石ころ太郎はきな娘が理解したと悟った。
そして、きな娘はポケットからマカロン型のスイーツコンパクトを取り出す。
それをまじまじと見つめながら、次々に湧いてくる疑問を投げかけた。
「ふーん。 "戦うスイーツメイド"かぁ。 でも、なんで石ころさんはそんなに詳しいの?」
「余は何人もの"戦闘型甘味娘"を目にしてきたからな」
「え!? スイーツメイドって何人も居たの!?」
「"戦闘型甘味娘"だ。 小娘のあの姿は、小娘のイメージと今の時代を合わせたコスチュームが具現化している」
「私ってメイドさんになりたかったんだ……」
自分でも知らない自分を発見したきな娘は、少し複雑な気持ちになる。
「ねぇ! 他にはどんな格好の人が居たの?」
だが、"イメージと今の時代を合わせたコスチューム"と聞くと、先輩方のコスチュームも気になるところだ。
「先代には"コギャル"や"ゴスロリ"、"割烹着"という姿もあった」
「おぉ。 個性的だねー」
きな娘は、先代の少女達を想像しながらニヤニヤと笑った。
「その昔、百姓の格好をしていた者も居たぞ。それはもう、鍬がよく似合っていた」
「それ……、もはや一揆だね」
だが、やたら現実的な先輩も居たようで、きな娘は一気に現実に引き戻される。
一揆だけに……。
「でもさ、なんで"鍬"なんだろう?」
ここでようやく本題だ。
石ころ太郎は、「来たか……」と小さく呟いた後、おもむろに語り出した。
「その昔、ある村で豊作を願って『おくわさま』として鍬を祀っていたのだが、ある日盗人にその鍬が奪われそうになってな。 その時たまたま居合わせた少女の正義感が鍬と共鳴して、初代の"戦闘型甘味娘"が誕生したと聞いている」
「すごい! 神様の力じゃん!」
「そう。 それ故に"穢れた心を耕す"という浄化が引き継がれてきたのだ」
「おお。 それじゃあ、本当にこれは特別な力なんだね」
きな娘は、なんだか神聖な気持ちになってきた。
まさか、自分が神様から選ばれるなんて。
これまで特に自慢できることもなかった私にとって、これはとんでもない大事件だった。
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勉強も運動も苦手な私が、今日からスイーツメイド。
小さい頃にテレビで見ていたような世界が本当にあるなんて。
私、これからどうなっちゃうんだろう?
教えて!石ころさん!
『知るか! 変なコーナーを作ろうとするなと言っているだろう小娘』
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