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第43話【ライゼVSヴィゴ】

「さぁ、帰るか」


 ライゼがそう言うと、観客席からまばらに疑問が出る。


『おい、賭け金どうなるんだよ』

『そうだぜ、この場合は──』


 すぐ観客席全体に伝播でんぱし、騒ぎになった。


『金返せ!!』『何終わろうとしてんだ!』『金はどうなるんだよ!』『まぁいいじゃねえか』『お前は当たったからそう言ってんだろ!』『何!?八つ当たりか!?』


 ガービィに賭けた人達から不満が噴出する。


 エイリアスは事態を収めようと話し、集音マイクを通じて観客席に伝える。


「もちろん、今日の賭け金は全額──」


 《ちょっと待ったぁ!》


 治療を終えたヴィゴがエイリアスの話を遮った。

 ちゃんとしたマイクを手に、中央に向かって歩きながら観客を煽る。


 《このままじゃあこのヴィゴ様のプライドが許さねぇ!それに、お前らもこんな結果のまま帰っていいのかぁ!?もう一試合だ!》


『……?』『金さえ帰ってくりゃ、なぁ?』『まぁバトル好きで来てんだから見たい気はするな』


「勝手に何言ってるの!?」


 エイリアスが制止すると、ヴィゴはエイリアスの口に人差し指を当て、続けた。


 《事の発端は俺がインタビューでライゼをバカにしたからだ!それでそこのガービィが怒っちまった!》


『いや、あれ見るとなぁ』『そりゃこんだけ大恩ある人にあれ言ってたら怒るだろ』『おう、あれ見た後だと俺もちょっとヴィゴにムカついてるもん』『俺も俺も』


 野次が飛んでくると、ヴィゴは慌てて真実を伝える。


 《あれは言わされたんだ!!まぁちょっとくらい本音も言ったが……。そこでだ!このヴィゴ様対ライゼってのはどうだ!?ああ!?》


 シーン……


 と一瞬アリーナ全体が戸惑い、時が止まったように静かになった。

 それからぽつりぽつりと観客も本音が出る。


『あ。あいつバカなんだ』『ガービィとあの実力差でよくさらに上とバトルしようと思ったな』『誰が見ても……なぁ?』


 《賭けじゃない!純粋なバトルだ!エイリアスさん!どうだ!?》


 ヴィゴがマイクを投げ捨て、その音が『ガタッ、ゴトン』とうるさくアリーナに響くと観客は迷惑そうに耳に手を当てた。


「いいわ、やりましょう。準備して」


 エイリアスが承諾するとライゼは明らかに嫌がっていた。


「お、おいエイリアス!何で俺が──」


「ごめんなさいライゼさん。この子、こんな子なの。私もちょっとムカついちゃって。それにほら」


 エイリアスが指した先には──


「ぐ…ギギ…ギ……」


 既に怒り狂ったガービィの姿が。


「ね?やるしかないわ」


「そうだな……」




「パパ!ヴィゴとやるの!?やったー!」


 アリーナ大好きなヒーローは、小さい頃から見ていたヴィゴとパパの対戦にわくわくしていた。

 サリーがはしゃいでいるヒーローの肩に手を置き、体を観客席に向けて言った。


「ほら、シートに行ってなさい」


「うん!」


 ヴィゴがエイリアスに宣言。


「エイリアスさん、このヴィゴ様が一番だって事を観客にもわからせてやるぜ。アリーナの誇りに賭けてな」


 エイリアスにちょっとでもいい所を見せようとするヴィゴだったが、観客には筒抜けだ。


「はぁ、アリーナの中央で喋る事は全てマイクが拾ってるのよ?何年やってんだか……」


『かっこつけたかっただけじゃねぇか!!』『聞こえてんだよ!』『早くやれ!こっちは予定あんだよ!』




 何とか事態を収集し、試合開始のアナウンスが流れる。


 《こんな事があっていいのでしょうか!?あの!最強!No.1HERO(ヒーロー)!!ライゼがここアリーナでバトルです!!》


 さすがにバトル好きで集まった観客たち。

 なんだかんだと文句を言いつつも煽りが入れば盛り上がってしまう。


 《世界中が先程の物語に心を打たれた事でしょう!誰もがその結末を目にしました!しかし!しかしここはアリーナだ!!いったい誰が強いのか!?》


『ワァアアアアアアアアアアア!!』


 《No.1は果たして本当に強いのか!?ようやく答えが見れるんです!世界中の皆さん!是非!今夜!!一緒に目に焼きつけましょう!!》


 否応なしに沸くアリーナ。しかし……


 《対しましてご存知!!ヴィゴォオ!!》


『……』


 今宵の観客も試合前の煽りも、ヴィゴに対して冷たかった。


「あれ?ヴィゴ様に熱量がないぞ?もっといつもは──」


 《今!ゴングです!!》


 アナウンサーさえもヴィゴを遮った。


 ──カァアンッ!!


 とゴングが鳴るもヴィゴはエイリアスに夢中だ。


(エイリアスさん、見てるか!?このヴィゴ様が世界一だ!)


 こんなに隙だらけにしているのはヴィゴなりの作戦ではあったが、ライゼに目をやると攻撃を仕掛けて来る気配すらない。

 チャンピオンとしての自負がこれを許さなかった。舐められている、そう受けとった。


「雷帝にならなくていいのか?」


 《ヴィゴが雷帝になれと挑発している!!》


「ハハハッ、大丈夫だ」


 《余裕のライゼだ!No.1の貫禄!技なんかいらないんだと余裕の表情!!》


「その余裕がむかつくな!行くぜ!」


 《ヴィゴ、早くもエアカッターの構え!!》


「エ」


 バチンッ!!ビタンッ!!


 とヴィゴはエアカッターを出す間もなく、ビンタで横に倒れた。




 《……今夜のアリーナは以上です。お気をつけてお帰り下さい》




『………………』




カットした台詞です。






「お、おいエイリアス!何で俺が」

「ごめんなさいライゼさん。この子、こんな子なの。私もちょっとムカついちゃって。それにほら」


 指差した先には──


「ぐ…ギギ…ギ…」


 怒り狂ったガービィの姿が。


「あ、ダメだ。男梅みたい」

「ね?やるしかないわ」

「そうだな…」







カットしましたが、きっと500年後も売ってるはずです。男梅。

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