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朝

 ドゴッ

 「ふぐっ」

 「ご主人様、起きてください、もうとっくに日が昇ってますよ!」

 勝也は、腹にかなりの衝撃を受け、目を完全に覚ました。

 「やっと起きましたね、ご主人様」

 目を開けると、シャロロが、若干非難するような目で、勝也を見ていた。

 「おはよう、シャロロ。まだ腹がじんじんとしているんだが」

 「おはようございます、ご主人様。自業自得ではないのですか?」

 二人は、そんな事を言い合いながら、部屋を出た。

 「おはようございます、勝也様」

 扉の前には、メイド服を着たナミットが、深々とお辞儀をしていた。

 「ああ、おはよう、ナミット」

 「はい、おはようございます」

 にっこりと笑顔でもう一度挨拶をすると、今度は、不思議そうな顔で、シャロロの方を向き、疑問をぶつけた。

 「シャロロさん、どうして勝也様を起こすのに、三十分も時間がかかったのですか?」

 「うぐっ」

 うめき声をあげるシャロロを、勝也が見ると、ものすごく目が泳いでいた。

 「そ、そんな事はどうでもいいでしょう。ご主人様、先に行って、朝食を温めています。では」

 と言って、そそくさと逃げていった。

 「どうしたんだろうな」

 勝也は、ぼそり、と呟いた。

 「ん?勝也様、何か言いましたか?」

 何を言ったのかは聞き取れなかったみたいだが、何かを言ったのは聞こえたらしいナミットが、勝也に聞いた。

 「いや、何もいってないが?」

 ここで勝也は、すっとぼけた。

 そうですか、と言い、ナミットはそれから何も聞かなかった。

 リビングに着くと、テーブルに、一人分の朝食が用意されていた。

 テーブルの側には、シャロロが佇んでいる。

 「ご主人様、朝食の用意は出来ております」

 と言って、深々と頭を下げた。

 「ああ、ありがとな、シャロロ」

 そう言って、勝也は、シャロロを労った。

 「いえ、これしきの事はメイドとして当然の事です」

 さも当然と言わんばかりに、シャロロは即答した。

 勝也が、椅子に座ると、斜め後ろに二人が立った。

 「いただきます」

 勝也は、白パンを一口大にちぎり、口に放り込んだ。

 ちなみに、朝食のメニューは、白パンが二つに、スープ、スクランブルエッグモドキ(?)、サラダ、牛乳といった、洋食系の定番の朝食だ。

 それと、これを作ったのは、シャロロだ。

 シャロロの料理は、プロの料理人にもひけをとらない。

 勝也は、シャロロよりも料理の腕が上だ。

 普通に王宮でも出せれる程の腕前だ。

 閑話休題

 勝也は、シャロロの料理に、舌鼓を打っていると、大あくびをしながら、拓斗がリビングに入ってきた。

 「ん?勝也、うまそうなの食ってるな。なあ、シャロロちゃん。俺も一食頼めるか?」

 「……ご主人様、よろしいですか?」

 「作ってやれば?別に作らなくてもいいけど」

 勝也的には、別にどっちでも良かった。

 それを聞いて、シャロロは、いそいそとキッチンに向かった。

 「ふぅ、ごちそうさま」

 勝也は、食器を重ねて、流しに持っていこうとすると、横からナミットにかっさらわれた。

 拓斗は、ニヤニヤしながら、勝也の正面に座った。

 「モテモテだな、勝也」

 「気持ち悪いぞ、親父」

 ちゃかす拓斗を、勝也は、バッサリと切り捨てた。

 「なんだよつれねぇな」

 「そんな事より親父、聞きたいことがある」

 つまらなそうに背もたれにもたれる拓斗に、勝也は、真剣な表情で、拓斗に聞いた。

 「ん?なんだ、言ってみろ」

 「親父、あの日の事を聞かせてくれ、どうしてこっちに来るはめになったのか」

 急に拓斗が、興味深そうに勝也をまじまじと見た。

 「どうしてそんな事を聞く。お前の力でわかるだろ」

 「なんとなく親父から聞きたくてな。他人からの見聞を理解する力もつけておこうかと思ってな」

 拓斗が、考え込むような仕草をする。

 「……向こうでは、俺達はどんなあつかいになってるんだ?」

 「トラックと衝突して、海に転落。その後、海から引き上げられた車の中から遺体は発見されず、行方不明あつかい、まあ、死亡あつかいだろうな」

 たんたんと答える勝也。

 はぁ、とため息をついて、だろうな、と拓斗が言った。

 「あの日一日分全部話してやるよ」

 ちょうどそのとき、シャロロが、朝食を運んできた。

 「どうぞ」

 「ああ、ありがとさん、シャロロちゃん」

 と言って、スープを一口、口に入れた。

 「うまい。あ、食いながらしゃべるわ」

 それから、拓斗は、あの日の事を話始めた。

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