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第23話 「友達も大事だけど」

「はあ~終わった~!!」

 

 期末テストも終わり、今日は修了式。次に学校に来るときは二年生。ってことはクラス替えがあるんだよね。あ~あ、わんこと一緒のクラスになれたらいいな~。

 

「お疲れ~姫」

「おっつ~」

「おつ~」

「お疲れみんな」

 

 ホームルームが終わるとすぐあたしに話しかけてきたのは大親友の三人。

 灰色のボブカットで大きなヘッドホンを首から下げているのが宇藤うどう比奈ひな。いっつも気怠けな様子で、何にでも力を入れようとはしないちょっと変わってるけど面白い子。

 艶のいい長い黒髪をなびかせているのが龍崎りゅうざき彩香あやか。気が強いとこがあって、この前あたしと喧嘩になった子。まあ普段は良い奴だけどね。

 そして茶髪のメッシュが入ったボーイッシュな黒髪が特徴の背の高い子が朝桐あさぎりみさき。バスケ部に所属する根っからのスポーツ女子。

 

 そんな面子で毎日楽しく過ごしてるってわけ。まあ、最近はこの子達よりわんこの方と遊んでるんだけどね。

 

「で、成績どうだった?」

「まあ、こんなもんかなって感じ」

 

 比奈がぱらりと成績表をめくる。そこに書かれていた数字は――。

 

「あんた、ほとんど四じゃない……」

「いや、日本史と美術だけ三だった」

「大して変わんないだろ。あたしなんか体育以外全部二だぞ」

「自慢するんじゃないわよ」

 

 何だかんだ頭はいいのよね比奈は……。彼女以外のあたし達三人はほとんど得意分野以外はどんぐりの背比べ。

 

「で、姫は?」

「私? ほら」

「ふむ……」

 

 あたしの成績? そんなものいつも二か三程度。だって勉強いやなんだもん。

 けど今回は違う。なんたって今回は……。

 

「姫、前期より成績上がってんじゃん!」

「ふっふ~ん、でしょう?」

「ついにカンニングに手を染めたか……」

「んなわけあるか!!」

 

 そう、今回はテストの度にわんこに勉強見てもらってたもんね! もちろんカンニングなんかしてない。

 おかげで全科目平均値はキープできた。本当、わんこには感謝しないと。今度ハグくらいしてあげよっかな~……なんてね!

 

「にしてもさあ、毎回この英語の高得点は何なのよ?」

「まあ得意だし♪」

 

 実はあたしは英語だけは得意でテストも九十点台だし、成績も五をもらっている。

 その理由は……まあ、家族の都合。

 

「さあて、帰ろうぜい」

「どっか寄ってく?」

「う~ん、そうねえ」

 

 みんなが帰ろうとしている。

 できるならわんこと一緒に帰りたい。けど友達関係も大事だよね。

 最近二人と一緒に帰らない日が多くて彼氏ができたなんて疑われたこともあった。もちろんあたしはみんなが大事だし、みんなとの関係も大切。

 

 だけど……!

 

「ごめん、あたし――」

 

 

 

 

 

 

「――って、よかったんですか!?」

「うん。二人にはすっごい疑われたけどね」

 

 結局犬飼さんはお友達との下校を断って僕と下校している。

 何でそんな――って、そんなこと聞くべきではないよね。もう理由は分かってるのだから……。

 

「よかったんですか……?」

「うん。もちろんみんなには今度埋め合わせしないとだけど。だから春休みはあんま会えないかも」

 

 大丈夫かな……この前も喧嘩になったって言ってたし……。

 僕が心配しても意味はないのかもしれないけど。

 

「あの、もしお友達に僕と一緒にいるの見つかっちゃったら……」

「ん? そうなったら……いっそ紹介しちゃおっか? あたしの彼氏ですって!」

「ええ!?」

「あははは!! さすがにそこまで言えないよ! もう~いちいちかわいいんだから~」

 

 笑いながら僕を撫でてくる。

 この人はもう……!

 

 けれど、こんな日々が僕は嫌いじゃない。

 先輩と三人で仲良くできたら素敵だと思うけど、でも僕はどちらかを選ばないといけないんだよね。

 

「じゃあここで。暇な時あったら連絡するね!」

「はい」

 

 駅に着き別れる。

 ――と思った矢先、犬飼さんが僕に近づき耳元で囁いた。

 

 

「……新学期、同じクラスになれればいいね♡じゃあねっ!!」

 

 そう言い残しいつものように去っていった。

 僕は……ただその姿を見ていることしかできなくて……。

 

 犬飼さんの姿が見えなくなったころ、ようやく僕は小さな声で返事をした。

 

「……はい……」

 

 犬飼さんの甘い香りが未だに鼻を離れないまま帰路に就く。

 自宅の近くでは引っ越しのトラックが荷物を運んでいた。新しく引っ越してきたのかな。もうそんな季節なんだ。

 

「そうか……もう春なんだ……」

 

 初めて声をかけられた時はまだ秋だったっけ。気が付けばそこから今日まで色んなことがあった。まさか二人から告白されるなんて思いもしなかったけど。

 僕もいい加減前に進みたいな。いつまでも答えを出せずにいるのは二人に悪いから。


 こうして高校生活最初の一年間が終わりを迎えた。もうすぐ二年生になるんだ。

 二年生のうちには答えを出したい。そう決心したのだった。

 

 

 






 

 

 

 

「やっと……やっと帰ってこれたんだこの町に!!」

 

 引っ越し先のベランダから町を眺める。

 八年ぶりに帰ってきたんだ……!

 

 そう、ようやく会えるんだ、と!

 

 

 

 

「待っててね……いっくん!!」

閲覧ありがとうございます!

PV、ブクマ、評価してくださった皆様ありがとうございます。


はい、友人キャラ一挙出しです。やっぱりラブコメには必要な立ち位置だと思ったので。

そして最後に出てきたのは…?


感想、評価、レビュー、ブクマ大歓迎です!

次回もよろしくお願いします!

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