第20話 「大事なこと」
連続投稿2話目です!
「ただいま~」
「……」
「おっ、今夜はカレーかあ」
「……」
「いただきます」
「……」
『なんでやねん!』
『アハハハハハ!!』
「はははは!!」
「……」
「いや、いい加減何か喋りなさいよ!!」
「はっ!」
お姉ちゃんの声でようやく自我が戻ってきた。完璧に無意識だった。学校から帰って今の今まで放心状態になっていたんだ……。
「どうしたのよボーっとして?」
「お姉ちゃん、僕明日死んじゃうのかな……」
「何バカなこと言ってんのあんた……?」
訳が分からないといった目で僕を見る。それも当然だよね。でも本当にそうなりそうで怖いんだ。まさか奇跡が二回も起きるだなんて……。
「で、一体どうしたってのよ?」
「……実は――」
◇
「そうか、あたしの言った通りになったわけね」
「うん……」
ありえないと思っていたことが本当に起こった。まさか二人から告白されたなんて……。
「それにしては嬉しくなさそうね」
「そんなことはないよ。僕なんかに告白してくれたことは凄く嬉しかった。けど……」
「けど、何?」
「分からないんだ」
「分からないって?」
「何で僕なんかをす、好きになってくれたのか……」
そう、僕が一番分からないのがそこだった。
僕を好きになる理由が分からないんだ。体も小さい、運動も苦手、顔だってかっこよくない。そんな僕にあんなに素敵な二人が何で……? 学校には僕なんかよりかっこよくて、運動もできて、友達も多い人達はたくさんいる。そんな中でなぜ僕を……。
「はは~ん、理由が分からずに悩んでたんだ」
「……うん」
家族であるお姉ちゃんは僕の良さを知ってるのかな? まあ仮にあっても教えてくれないかもね。
「まあ、それで困惑するのも理解はできる。けどさ」
「けど……?」
「大事なのはそこじゃないんじゃない?」
「え?」
お姉ちゃんの言っていた意味がよく分からなかった。人を好きになるって理由があってこそのものなんじゃないの?
「いい? 人を好きになるってことは誰だってある。そこにいちいち理由やら打算なんて必要ないのよ。本当に大事なのは好きになる理由よりも、好きになった後なんじゃない?」
「好きになった後……」
そうか、僕は勘違いしていたんだ。理由がどうこうなんて本当は大した問題じゃなくて、好きな気持ちを成就できるか。それとどう向き合うかが大事なんだ。理由が分からない云々で悩んでる暇なんて、僕にはない。
「ありがとう、お姉ちゃん」
「いいのよ」
ここ最近、お姉ちゃんにはかなり助けられている。いや、最近だけじゃなくずっと前からだね。僕も小さいころはよくお姉ちゃんに甘えてたっけ。何だかんだ言いながら、僕の自慢のお姉ちゃんだ。
「うん、何だかすっきりした気がする」
心なしか、肩が軽く感じる。悩みが一つなくなったからかな。同時にもう一つ問題があったことを再確認する。
二人に告白されたこと、二人にはまだ伝えていないんだ……。
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ラブコメ描いたのは自身初めてなんですがいやあ、ラブコメって難しい。
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