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第102話 「新年のイジワル」

「今年もたくさんいるなあ」

 

 今日は元旦、新しい一年の始まり。毎年恒例で僕は初詣に来ていた。冷えた体をコンビニで買った温かいココアで温める。

 思い起こせば去年ここで初めて犬飼さんと先輩が顔合わせしたんだっけ。いつの間にやらもう一年経つのかあ。

 人が込み合った神社を前にして手に息を吐く。あまりの寒さに手はすぐに冷えてきちゃうんだ。 

 それから少し経って人込みの中から僕を呼ぶ声がしてきたのでふとそちらに視線を送る。

 

「おまたせ、あけおめ」

「あけましておめでとう」

 

 走ってきたせいか息を白くさせる蓮ちゃんだった。この寒さでもいつもの元気は微塵も失われていないみたい。

 加えて反対側からもう一つ別の声が聞こえる。

 

「あ、奇遇だね二人とも!」

「あっ、ギャル先輩じゃん」

「あ、あけましておめでとうございます」

「あけおめことよろ!」

 

 なんという奇遇だろう、去年と同じようなタイミングで犬飼さんと出会うなんて。

 

「ギャル先輩は一人?」

「いや、みんなと待ち合わせしてるんだけど少し早く着いちゃって」

「そうなんですね」

 

 そうして普通に雑談していると話題は変わっていく。

 

「そういえば、昨日のパイセンの試合見た?」

「見た見た! 凄かったね先輩」

 

 先輩は大晦日に試合があると言っていた。二人の話を聞く限りでは試合に勝てたみたい。そのため今日はホテルで記者会見をしているとのこと。

 本当はちゃんとテレビや会場で見るのが一番良いんだろうけど……。それでも踏み切る勇気は出てこないんだ。どうしてもあの日のことが頭に浮かんじゃうから……。

 

「あ、そうだ」

「なんですか?」

「パイセンにお祝いのLIMEしてあげよう」

「いいですね」

「じゃあ……」

 

 

 ◇

 

「そろそろか」

 

 元旦。試合から一夜明け、私は会見場に来ていた。昨日の試合で勝利した選手は皆この会見に参加することになっている。昨日の試合でカットした眉間が若干痛むけれど、この場にいられることが高揚感を感じさせる。

 思えば一年前までこんな場所に立てるなんて思いもよらなかった。現に去年の元旦は神社で……

 

「ん?」

 

 去年の思い出に浸っていると携帯に通知が来ていた。見るとLIMEに新着メッセージが入っている。アプリを開くとそこには犬飼君からのメッセージだった。

 

『あけおめ&試合おめでとうパイセン!』

 

 その文字にふと笑みが零れる。なんだかんだ言っても可愛げのある子なんだ。

 ――だがその後すぐに送られてきた写真に私は目を剥いた。なぜなら送られてきた自撮り写真は一ノ瀬君の両隣で犬飼君と蓮君が抱き着いていた。二人の表情を見るに明らかに私に対する挑戦である。

 

「な……なん……!」

 

「選手のみなさん、準備をお願いします!」

「……すいません」

「はい、どうされました?」

 

「帰ります」

「え、ちょ、ちょっと!」

 

 私はすぐに向かおうとしたがスタッフに制止されてしまった。学校が再開したらあの二人には……!! 

閲覧ありがとうございます。

最近まったく投稿できずに申し訳ないです。この話を書き始めたのは11月なのですが2ヶ月かかってしまいました…。


現時点では次の話をどうするのかまだ決めていないのですが、どのみち本作は最終章に片足を突っ込んでいる状態だとお思いください。

自分の仕事の都合もあるのでポンポン投稿できないのですが、必ず完結はさせます。


思ったこと、要望、質問等があれば感想いただけるとすごくありがたいです。

感想、評価、レビュー、ブクマ大歓迎です!

次回もよろしくお願いします!


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― 新着の感想 ―
[良い点] とても面白く一気に読ませてもらいました これからも頑張ってください 応援しています
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