第7話 力への誘い
〜山奥の小屋〜
また何処かの町が潰されてから数日後の朝、レオルドはいつもの様にマリエラから食べ物の入ったバスケットを受け取る
しかし、今までとは違いここ数日は、マリエラはバスケットを渡した後、レオルドの家に入り楽しく話をしたり等していた
時にはベットに腰かけ肩を寄せ合い、静かな時を過ごし
時には町へと降り、買い物を楽しんだり(レオルド自身は、周囲の目が気になりあまり楽しめなかったが)
そして時には夕焼けを背にキスを交わしたりと、数日でマリエラとレオルドの仲は親密になっていた
「ではレオルドさん…また明日…」
マリエラは小さな声で、そう言い残し、教会の扉を開け、中へと入って行く
見習いシスターとは言え、神を放って男と恋愛なぞどうかと思うが、老神父の計らいで『我が神は誠意を持った恋愛をする者に対しては寛大な心で見守られ、結ばれた際には大いなる祝福と加護を与えるじゃろう』
と言い、マリエラの恋愛を許したそうだ
そんな事はさておき、マリエラが入って行くのを見届けると、レオルドは踵を返し、早足で自身の家のある山へと戻って行った
やはりレオルドにとっては、マリエラといないこの町はいるに耐え難い物だった
住民から、畏怖の目で見られるのが堪らなく嫌だったのだ
「チッ…」
レオルドは舌打ちをし、早々に町から姿を消すのであった…
〜山の森林地帯〜
しばらく走り、レオルドは足を止める
「マリエラ…」
そして、自身の中で芽生える二つの思いと葛藤する
一つは、マリエラを絆贄の秘術の生贄とし更なる力を得ようと目論む思い
もう一つは、純粋にマリエラを愛し、守ってやりたいという、今までのレオルドからは絶対に芽生える事が無かったであろう思い
レオルドの中で、マリエラをどうしたいかが決められないでいた
そして日にちが過ぎていく毎にその二つの思いは交錯し、レオルドを思考の迷宮へと迷わせるのだった…
「クソ…俺が楽に強くなるにはマリエラを…けどッ…マリエラは殺したくない…けど…代わりなんていないし、俺には作れねぇし…クソッ!!」
行き場も無くどうしようもない迷いを晴らす為にレオルドは力任せに樹木に拳を叩き付ける
拳は樹木を砕き、大きく音を立てて倒れていった
「チィ…」
その後、幾らか気分が晴れたのか、レオルドは自分の家のある方向へと歩いて行った…
〜レオルドの家の前〜
レオルドが家の前に付くと、玄関に見知らぬ来客がいた
「あっども、君がレオルドかな?」
ややボサボサとした頭に、長い前髪で右目を隠した若い男性はレオルドを見ると、ニッと笑顔を見せ、レオルドの方へと歩く
レオルドは見知らぬ人物に一瞬戸惑ったが直ぐ様、剣を構え戦闘体勢に入った
何故なら、ボサボサ頭の背中には黒い樹木の様で触手の様な物が2本、翼の様に生えていたからである
「お前…人間じゃないな…?」
剣先をボサボサ頭に向け、距離を保ちながら相手を睨むレオルド
しかし、それに対しボサボサ頭は驚いた様子で、声を高くする
「ええぇ!?ちょっと!!確かに俺様人間じゃないけどえぇ…剣向けちゃう普通!?」
両手を軽く手を上げ、後ずさり、敵意は無い事を示そうとするボサボサ頭
「…」
レオルドは彼に敵意は無い事を感じ取ると、剣を鞘に収める
「んで…お前は何者で、俺に何の用なんだ?」
そう言い、再び彼を睨むレオルド
ボサボサ頭は、ふぅ…と息を付くと、ニヤリと笑みを浮かべ話す
「俺様の名前は…」
そう言い終わると同時に、ボサボサ頭の全身が黒く光り、急速に異常発達するかのように、ヒトの形から異形の姿へと変わり、光が消えると…そこには…先日、港町から逃げる人を虐殺した、悪魔が立っていた
「可愛い女の子に、愛と夢と希望と快楽を提供する提供者…アルヴァトールだ…」
「!!?」
突然の変化に驚き、再び剣を構え戦闘体勢に入るレオルド
しかし、アルヴァトールは両手を上げ再び敵意が無い事を示す
「あぁ、悪い悪い、別にアンタを殺そうとかそう言うのじゃないんだ…ちょっと聞きたい事があってね〜」
そう言い、優しい笑みを浮かべるアルヴァトール
しかし、その笑みは悪魔の様な顔のせいで逆に不気味に見えてしまう
これでよく、可愛い女の子に何やらと言えたものだ
「提供者…?てことは貴様…エグェ・ルォの仲間か!!」
レオルドは強気な声を上げ、アルヴァトールに問う
アルヴァトールはやや困った様に、頬であろう部分を掻きながら話す
「ん〜、仲間と言うか何と言うか…単なる同業者だよ」
「同業者…?」
アルヴァトールの解答に?マークを出すレオルド
そして、今度はレオルドにアルヴァトールが質問をする
「まぁね…んで、レオルド君…ちょっと聞きたいんだけど〜…君って時間とか止めれるみたいじゃん…その力…どうやって手に入れたの?」
「え…」
まさかの質問に一瞬たじろぐレオルド
「この世界では、どうやっても、君の扱う力は手に入らない様になってるんだけど…君、異世界とか行った事あるの?」
レオルドは戸惑うが、答える
「いや、異世界ってのには行った事無い…」
「じゃあ、その力はどうやって得た…?」
「それは…」
アルヴァトールの追求にたじろぐレオルド
ここで絆贄の秘術について知られるのは不味いと思ったが、相手がエグェ・ルォと同じ提供者である以上、そしてアルヴァトールから僅かに発せられる狂気の混じった殺意をレオルドは感じ取り、自身が力を得た経緯を説明する
「実はな…絆贄の秘術を行う為の方法が記された本が…」
レオルドが言い切ろうとした時、アルヴァトールが驚いた様に声を出す
「なななんだって!!絆贄の秘術だって!?知ってるとも!!」
レオルドの知ってるのか…?を聞く前にしゃべり切るアルヴァトール
そして、レオルドの元へと近付き話す
「その本は、今からこの世界が450回崩壊する前に存在した文明が作りあげた本だ…」
「…?」
レオルドはアルヴァトールが何を言ってるのかわからなかったが取り合えず話を聞く事にした
「まぁ、昔話は面倒だから話さないが…お前がその秘術を得たのは滅茶苦茶ラッキーでハッピーって事だ」
レオルドは話さねえのかよと顔に出しながら、アルヴァトールを見る
「んで、その秘術を俺が持つと何か不都合なのか?」
そう言い、アルヴァトールの顔を睨むレオルド
しかし、アルヴァトールは別に?とでも言わんばかりの素振りをする
「いや、俺様はただお前の力のルーツを知りたかっただけだ…おっ……そうだ…」
何かを思い浮かんだのかアルヴァトールはレオルドの方に顔を向ける
「レオルド…お前、エくぅ…エグゥエ…ルォを倒す気無い?」
「は?」
まさかの問いかけに思わず声を漏らしたレオルド
そして直ぐ様、先ほどの言葉で浮かんだ疑問を話す
「それってアンタの同業者を倒せって事か?」
「うん」
呆気なく返事をするアルヴァトール
レオルドは困惑した様子で半ば呆れた感じにアルヴァトールを見る
「でも…なんでそんな事を…?」
アルヴァトールはニヤリと笑みを浮かべると待ってましたと言わんばかりに話す
「いやぁ〜、だってアイツ?人類の調整って言って、色んな町壊してるじゃん?そのお陰で可愛い女の子達までも死んじゃうしさ〜、それに…単なるしたっぱ提供者の分際で、でしゃばるのが気に入らないんでね…」
レオルドはその言葉で、エグェ・ルォがやはり町を襲っていた事を確信し、同時にアルヴァトールが何らかの理由でエグェ・ルォを葬ろうとしている事も薄々感じ取り、その手段に自分が使われようとしている事も感じ取った
「すまないが…」
レオルドはそう言い、アルヴァトールの誘いを断ろうとした瞬間だった
「俺様の代わりに、エグェ・ルォを倒してくれるなら…奴を倒せるだけの…いや…お前が望むだけの『力』を与えてやる…」
力を与える…その言葉を聞いたレオルドに…ある考えが浮かんだのだった…
はい、すっかり更新が遅れました
何せ就活やらゲームやら体調不良やらで色々忙しかったもんで…
駄文が更に駄文になったなぁと自分でも思うのであった…
次回からはこんな感じで更新が遅くなると思われます




