終幕
2003年から始まった巨獣時代。
突如として現れた巨獣群は、都市を蹂躙し、国家を崩壊させ、人類が築き上げてきた文明と秩序を容赦なく破壊していった。
度重なる襲撃と混乱の中で、多くの土地が失われ、多くの文化が途絶え、数え切れない命が消えていった。
海は変わり、森は変わり、生態系そのものが書き換えられていった。
かつて人類の支配下にあった世界は、巨獣という存在を中心に再構築され、各地には新たな環境と生命圏が形成されていった。
その果てに残された世界は、荒廃していた。
廃墟と化した都市群。
人口を失った国家。
分断された地域社会。
そして、巨獣によって恐怖を刻まれ、変わってしまった人類。
だが、残されたのは絶望だけではなかった。
瓦礫と廃墟に覆われた世界の中にも、人類が再び立ち上がるための未来と、確かな希望は確かに存在していた。
困難の時代を生き延びるために奔走した人々がいた。
命を賭して前線に立ち続けた兵士たちがいた。
崩壊した世界でなお、新たな命として生まれてきた子供たちがいた。
“地球の意思”の器として生まれた、一人の少女がいた。
そして、巨獣へと姿を変えながらも、人類の未来を繋ぎ続けた一人の少年がいた。
網倉雅久──彼が選び、彼が背負い、彼が遺したものは、単なる勝利や終戦ではない。
それは、人類が再び「次の時代」を選び取るための時間と可能性そのものだった。
多くの犠牲によって生まれた新しい世界は、決して平穏でも、完全でもない。
傷跡は深く、失われたものはあまりにも多い。
復興には長い年月を要し、人類はこれからも数え切れない困難に直面し続けるだろう。
それでも、人類は再び歩き始めている。
瓦礫の上から、過去を背負い、喪失を抱えながら──それでも、未来へ向かって。
巨獣時代は終わった。
だが、この時代を生き、戦い、苦しみ、それでも誰かのために選択し続けた者たちの記憶は消えない。
その物語は、戦後を生きる人々の中で語り継がれ、やがて歴史となり、未来を生きる誰かへと受け継がれていく。
──どんな時代にも、必ず希望はある。
それが、この世界に生きた者たちが、最後に遺した証だった。
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