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公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。  作者: 木山楽斗
本編

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第36話 作るものは

 私はレティとともに、家庭科部に来ていた。

 ティアナさんの提案によって、今日の部活は料理ということになった。

 という訳で、今はその準備中をしている。


「それで、今日は何を作るの?」

「そうだなあ……まあ、最初だし、お菓子作りとかにしようか?」

「お菓子作りか……それは、いいかも」


 私の質問に、トルカはそう答えてくれた。

 どうやら、今日はお菓子を作るらしい。


「お菓子ですか……なるほど」


 その言葉に、レティも嬉しそうにしている。

 レティは、基本的にお菓子が大好きだ。それは、あまりに好きすぎて、お兄様に食べる量を制限されているくらいである。

 以前、お菓子の食べ過ぎで、夕食を食べられなかったため、そうなっているのだ。


「丁度、材料もあるし、今日はクッキーでも焼いてみようか?」

「クッキーだね。いいと思う」


 今回のお菓子は、クッキーであるらしい。

 お菓子としては、一般的なものである。私も、よく作る部類だ。


「ルリアは、料理とか今でもしているんだよね?」

「うん。最近は、お弁当も作ったりしているよ」


 そこで、トルカがそんな質問をしてきた。

 私は最近、三人分のお弁当を作っている。そのため、料理はよくしているといえるだろう。


「お弁当……誰に?」

「え? 自分とレティとお兄様のとだよ?」

「へえ……」


 トルカは、さらに質問を重ねてきた。

 そして、私の返答に、目を細めていく。

 なんだか、変なことを考えているようだ。


「つまり、学園長は愛妻弁当な訳だ。羨ましいことだね……」

「あ、愛妻弁当って、そんなのではないよ……」

「またまた、そのつもりなんでしょう?」

「そ、そんなつもりもないよ……」


 トルカは、私がお兄様にお弁当を作っていることに引っかかったようである。

 別に、私はそのようなつもりで作っている訳ではない。もちろん、お兄様に食べてもらいたいと気持ちはあるが、それは私個人の感覚でしかないはずだ。


「まあ、どっちでもいいけど……そうだ! 今日作るクッキーも、リクルド様に食べてもらったら?」

「え? クッキーを?」

「うん、せっかく部活で作ったんだから、誰かに食べてもらいたいでしょ? それなら、最適じゃないかな?」


 トルカの言葉に、私は考える。

 確かに、お兄様に食べてもらえるなら、食べてもらいたいと思う。この提案は、モチベーションにも繋がるし、とてもいい提案だ。


「うん、そうしてみるよ。お兄様、喜んでくれるかな?」

「きっと、喜ぶよ」


 私の言葉に、トウカはそう言ってくれる。

 なんだか、とてもクッキーを作りたくなってきた。


「レティも、それでいいよね?」

「え? い、いえ、私は嫌ですよ。あのお兄様が、私から何かをもらって、喜ぶはずがありません」


 そこで、私はレティにもこの話を振る。

 すると、レティは少し落ち込んで言葉を返してきた。

 どうやら、レティはお兄様が喜ばないなどと思っているらしい。

 レティは、こういう所で、少し自己評価が低い。お兄様は、レティから何かを貰ったら、とても喜ぶだろう。なぜなら、お兄様はレティのことをとても大切に思っているからだ。


「そんなことないよ。お兄様は、レティから何か貰ったら、嬉しく思うに決まっている」

「そ、そうでしょうか……」

「当り前だよ。そんなのは……」


 私の言葉で、レティは少しだけ笑顔になる。

 色々と言っているが、レティもお兄様に喜んでもらいたいと思っているのだ。


「あ、でも、そもそも私にクッキーは作れるんでしょうか? 私、料理はド素人ですよ? もし、できなかったら……」

「それなら、問題ないわ」


 レティが問題を口にしたが、ティアナさんがすぐにそれを否定した。

 ティアナさんは、レティの肩に手を置き、笑顔を見せる。


「私も、料理については何もわからなかったけど、それでもトルカに教えてもらってなんとかできたわ」

「そ、そうなんですね……」


 ティアナさんは、自身の経験から、レティを励ましてくれた。

 これは、とてもありがたいことだ。

 本来なら、こういうのは私の役目ではある。だが、ティアナさんの方がレティに近しい立場である。そのため、私よりもレティの心に響いてくれるだろう。


「だから、レティちゃんもきっと大丈夫。多少駄目な所はあるかもしれないけど、それでもリクルド様は喜んでくれるのではないかしら?」

「そ、そうですかね……?」

「ええ、こういうのは、気持ちが大事なのよ。あなたのお兄様は、きっとそこを評価してくれるわ」

「はい……」


 ティアナさんの言葉で、レティは少しやる気を出したようだ。

 すると、ティアナさんは私にウィンクしてきた。私はそれに、一礼して答える。

 こうして、私達はクッキー作りを開始するのだった。

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