第三十八話
ぺぺや他研究員が調査する中。
それを邪魔しない様区切りを立てて、アルフェルドとアスラが座る。どうやら研究員たちが暗がりしか駄目な体質となっているため其の配慮か研究室自体が暗がり。各々で小さなライトを使っている様子。この場所がこんななので机を照らす程度のライトを借りる。
アルフェルドとアスラの目の前の机に積んだ資料。
「アクア卿の事?胡蝶蘭」「へーここまで?」「レイラ、これに噛んでねぇよな?」
とぶつぶつ呟くアスラ。
その耳に自由になって嬉しそうな紫蘭の鳴く声の入ってきたと同時にアスラはアルフェルドと見合わせると、
「嬉しそうねぇ」とにっこりしてアルフェルドが呟く。
「いいの?」
「まあ、予想通りだし? その聖女様似のコのところが本拠地ならボコボコにしちゃうだろうし?
凍らせるなら凍らせるで後で溶かしてゆっくり調査すれば良いのよ。ちょっと凍傷になってること多いけど……」
「そ。それより、あの港町のオーガ。
わかったよ。普通にあの辺に暮らしてた人たち」
と、先ほど連絡があったのか、ぺぺから紙媒体を貰う二人。また「第一部隊隊長の堕天使様にはこっちで持ってると思うタブレットに送っとくから。大丈夫」と、魔道式のパソコンに向かう。ややあって、キーボードを打つ音が聞こえてきた。
ちなみに紙は魔樹系の魔物か普通の木から加工したもので価値も魔物の方が安い。
教会のそれも討伐任務が多い為その紙が使用されていた。
それの感触を楽し見ながら、アルフェルドが読む。
「あら。
やっぱり村人で、精神や水の魔石の作用があるのね。
……
…………ふーーん。
想像通りというか。魔法使いの兵隊作りたいって訳じゃないのね」
鬼人は魔石を飲んで魔法が使える人間たち。
オーガはその慣れ果て。
それを了承の上でここの騎士団たちは力を得た。
いつか果てるまで命をかける。
「オーガなんて我を忘れてるから、確かに兵隊化は無理。
鬼人たちは……兵隊には向いてるけど
最近は火竜の国とか桜の島に引き取ったりされて余生をって感じだからそこへの攻撃って訳じゃないだろうし」
「これと合わせんなら、私怨じゃね?」
「なーーんだ。ちっちゃいわね」
と、ぶつぶつ言う二人。彼らの通り、オーガは
それに反して、
「やっぱ、レイラ関わってんのかな」
アスラ。
无玖呀阿修羅。
元火竜の国の武家の人間だった。
竜に関わり、アルフェルドたちと出会う事になるギルドに入った。
それからギルドの外から来た者に関わって、鬼人や魔物を退治していた自分の実家、集落が小さく思えてしまっていた。
そのギルドで初めてパーティを組んだのがレイラだった。
だからこそ、アスラは気になって仕方ない。
「不安だ……」と何度も呟いた言葉を言う。
「一番長いんだっけ?」と聞くアルフェルドに、「ああ。ギルドにいる時、あいつにパーティ誘われたんだ」
「そう……。ま、本人に聞いてみるのが一番だと思うけど、私はまあ、ただあの鳥さまと戦う口実じゃないかしら?
だからそれをただの小さな内乱で済ませて……それで大団円よ」
と、アスラ似の実は戦闘大好きなレイラを庇うのとアスラを宥めるアルフェルド。
「ま、そ、そうだといいな」
「こっちはこっちでやれることをやりましょう」と、ホッとしたアスラを見て言い「で、オーガちゃんたちは元に戻るの?」
「できる。彼らから魔石を吸引する。まあ、その人たちが後遺症ないなら良いけど必要ならその後、ちょっと氷天の力借りるつもり」
二人して?としていると、「まあ、ぶっちゃけると同じように吸引して魔石を貰う。氷か蘇生か回復か。どっちが出るかはわからないけど」
少しぺぺや付近で聞いていた研究員の目が輝く。
多分自分たちで試したんだ、とアルフェルドとアスラが目を合わせながら、
「あらあら。物騒ねー」
「お、おう」
と、お互い反応した。
「まあ…聞くと危ないけど、鬼人化を防げるかもだし。その人用の専用武器とかバフかかるアクセサリーとか作れるかも。ちょっと楽しみでしょう? ……だから」
そこまで聞いて「説得しといて」と絶対叶わないお願いを伝え、顔を見合わせた。
「と、とにかく。ぺぺ、第三部隊…地上の研究員たちと引き続き連携とってあとはよろしくね。
で。アスラちゃん、私たちもレイラちゃんたちが吠えるか小鳥さんが鳴くかちょっとわからないけど、対策でもしておきましょうか」
と、アスラに伝えた。