21 二人の女神様
シルルテ村を出発してからしばらく歩いた。
まだ、王都ギルバデンスには着くという気配はない。
というか、歩いてるところは、目の前がまっすぐまっすぐと続いている道、右には名前の分からない森、左にも名前の分からない森、そんな感じなところを俺とリーナとエルの二人と一匹は歩いている。
ちなみに、エルは元の大きさに戻って俺とリーナを背中に乗せている。
「主、まだ王都ギルバデンスってところには着かないのか?」
チワワ状態になっていた時とは違い、大きい狼サイズなので声が野太い。
「ん? そうだなぁー、見ての通りだな」
正直言って、一、二時間は確実に経っていると思う。
さすがにエルも歩き疲れていると思うから、どこかに休憩が出来る場所があれば良いのだが……。
そう思いながら、
「リーナ、暑くないか?」
俺の前で静かにちょこんと座っているリーナに訪ねてみる。
いや、エルの毛って思ってたよりも生えてるんだよね。だから、思ってたよりも暑い。
「うん……気持ちいよ」
熱くなくて、毛が気持ちいらしい。それは、良かった。
まあ、一応水魔法のミストフィールドっていう魔法を使っているから、暑さ対策はどうにかなっているみたいだ。
ただ、問題はなぁー。
「疲れたぜ、主」
ずっと歩いてくれていたエルがもう無理と言ってきたことだ。
ハイ・ヒールで今までどうにか持ちこたえていたけど、これ以上歩かせてしまうと動物虐待とかいう法律に触れる恐れがある。
この世界にその法律があるかどうかわからないけれど……日本人という気持ちは忘れてはいけないのだ。
なので、動物虐待に繋がる行為などしたくない。
「とりあえず、ここで休憩でもしようか」
「……ここで?」
俺の発言がおかしかったのか、エルが聞き返してきた。
まあ、こんなところで休憩してると魔物に襲われる恐れがあるかもしれない。
けど、その恐れがないように結界を使うのである。
「結界があるから大丈夫だよ」
エルの背中から降りると、早速結界をかけていく。
どのくらいの範囲にしようかと迷ったが、余分に大きくしておこう。何が起こるかわからないからな。
結界をかけ終えると、まだエルの背中に乗っているリーナを降ろす。
「パパ、休憩するの?」
「そうだよ。三十分くらいしたら、出発かな」
「おーけー、主」
そうして、俺たちは結界のかかっている範囲から出ないように休憩をしたのだった。
ちなみに、水魔法でミストフィールドを寒くならないように使っておく。
◇
知らないうちにシルテのところに来ていたみたいだ。
この前会ったばかりというのに、どうしたのだろうか。
「こんにちは、シルテ」
「んー」
俺は、目の前にいるシルテに挨拶をする。
ただ……女神なのにめちゃくちゃラフな格好というか、なんかエロい。
「やあ、こんにちは。ナギルくんだったね」
「――っえ!?」
そんなことを思っていたら、急に後ろからそんな声が聞こえてしまった。
俺、思わず変な声出したんだけど!
「えっとー、誰ですか?」
まあ、シルテのところにいるということは女神関係の誰かなのであろう。
「私は、シルテの友達の、アステル。どうぞ、よろしく!」
……なんというか、この女性――アステルさん、テンションが高い気がしなくもない。
「こちらこそ、よろしくお願いします。えーっと……アステルさん?」
「あ! 私のこともシルテみたいに呼び捨てでいいわよ」
「了解です、アステル」
うん……テンション高いな。
「良い子ねぇー!!」
そう言いながら、アステルは、俺の頭に手をかけて、自分の胸の寄せてきた。
一瞬の出来事すぎて何が起こっているのかわからなくなり――。
「シ、シルンンン――」
口が胸に当たってしまって、テ、まで言えなかった。
しかしそれでもシルテは反応をしてくれて、
「なっ、アステル! 何してるのよ!!」
と言いながら、俺とアステルを引き離してくれる。
やはり、女神。胸に溺れてしまうところだった!! ありがとう!
「胸に溺れるってどういうことよ!」
心を読まれてしまい、考えていたことがバレてしまう。
「いや、別にシルテの胸が小さいからアステルの胸に溺れてしまったわけではなくて――」
あ……これ以上言うのはなにかまずい気がする。
そう思った瞬間にはすでに遅く、シルテに首を絞められてしまう。
「……ちょ、ちょっと……待って……」
いや、本当に息がヤバいから。
「あははは、やっぱりににぎやかで楽しいね」
「そうね」
……え? にぎやかで楽しいの? 言っている意味が全く分からないのですけど……!!
その後も、めちゃくちゃ首絞められた。




