1話 『東露』の街--(8)
これがプロローグラストです!果たしてプロローグなのか!
(よく考えたらプロローグから変更されてましたね)
界暦179年6月
ドボルメントとの戦争を終えた、初めての朝。
出発予定まで2日を切った。
半日ぶりに出会った仲間は、感情を三極化させていた。
とことん普段通りの人。名残惜しさを隠せてない人。そしてこれからに期待をしている人。
「早いね。翡翠も、シャラも、クララも」
「まあ、呼ばれましたからね……」
「高鳴りを抑えられないってのもあるな」
「まぁ、どうせ今まで通りでしょ。どこに行っても」
「僕はなんとも言えない混沌とした感情の中にいるよ……」
「欲張りですね……あはは」
「それがあんたでしょ? 気をしっかり持ちなさいよね」
「……皆がいたからだろうね」
「ああ、そうだろうな。どんな立場であっても、誰かは他の誰かを思っているんだ」
「翠らしくないこと言うのね」
「……言われたからだな」
何かがあったのだろう。翡翠に、どこかよそよそしさを感じた。
バッグ機能から、白い布を取り出す。
何か大文字が書かれた布だ。
そして、この場で話しておきたいことがある。
「今後について、以前説明した通りだ」
「移動型だったわね」
「ああ。今のところは和地域を目指そうと思ってる」
「そんでその布が?」
「目印だ」
別に自意識過剰とか、目立ちたいとかは思っていないが、この記念に作って頂いた。
商業都市国家ストックブルクさまさまだ。
〈TTOAC〉
「ただの世界ウン周ギルド……」
これまで約1年。色々考えてきた。
慣れない日々も、探検に明け暮れた日々も、そして戦争も、出会いも目の当たりにしてきた。
「では……終わりたくないね」
その一言が、どこか気取っているように聞こえたのだろうか、苦笑しながらシャラルは、頭を撫でる。
「当たり前でしょ」
「ああ、つまんねえギルドなら、速攻解約だぜ」
「出来るかな?」
「さあな。結局決めるのはギルマスのお前だからな」
その言葉に思わず照れてしまう。
もちろん、終わらせたりはしない。
どこの国のだれよりも、闊歩してやる。
晴れた空は、どこか懐かしく、新しい。掴めないと知っている、太陽を掴んでいた、あの日がぶり返したようだ。
『東露』の街--(8) 登場人物
TTOAC
来霧・シャラル・クララ・翡翠