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夢の中の君に、恋をした。  作者: 桜木 モモ


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「夢の中の、嫌な奴。」

――私が初めて恋をした相手は、夢の中にしか存在しなかった。


もっとも、出会った当初の彼を好きになるなんて、天地がひっくり返ってもあり得ないと思っていた。


口を開けば悪口ばかり。偉そうで、生意気で、何を言っても必ず言い返してくる。


顔だけは腹が立つほど整っていたけれど、性格は最悪。


そんな男の子だった。


それなのに。


何年も経った今でも、私は彼の声を覚えている。


『……絶対迎えに行く。だから待ってろよ、馬鹿』


あの日、泣きそうな顔でそう言った彼は、最後まで私の手を離そうとしなかった。


そして、その夜を最後に。


私は二度と、彼の夢を見なくなった。

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