後編:お家復興いたします!
最初のグッズは、シュシュだった。
布と糸。ゴムがないのでリボンを通す。安くて、軽くて、小さくて、作りやすい。そして何より、兄たち一人ひとりの「推しカラー」を、持ち歩けるようにできる。エリアスはクリーム色、マクシムは赤、アシュレイは紫、ヒューゴは藍色、ルネは若草色。僕は黄色だ。
「肖像画とか、豪華なものも作りたいですけど、最初から背伸びはしません! まずは一枚の布から!」
端切れの山を前に、僕は胸を張った。値段は小銀貨三枚。ヒューゴが帳簿を叩いて割り出した、「安すぎず、高すぎない」ぎりぎりの線だ。
ファンとの交流用に、くじの要素も付けた。シュシュを買った人は、小箱から一つ引く。いちばん出にくい「大当たり」は、兄ごとの紋章をかたどった小さな銀の飾りに、直筆のメッセージつき。次の「中当たり」はメッセージカードつき、「当たり」はサインつき。いちばん多い「ノーマル」は、推しカラーのシュシュだけだ。
「紋章の飾りは、屋敷の細工師さんが一個ずつ打ってくれるので、数が作れません。だから、五十個に一つくらいで」
「トーマ。確認だが」
ヒューゴが、真顔で言った。
「これは、客をだます類の商売ではないだろうな」
「ないです! 絶対にないです! どれを引いても、必ずシュシュは付きます。ハズレは作りません! 引けるのは、一日三回まで! お小遣いの範囲で楽しんでもらうこと!」
「……よし」
前世で、くじに給料を溶かした僕だからこそ、ここは譲れない。ファンを泣かせて稼ぐのは、ぜんぜんアイドルじゃない。
初めての握手会の会場は、ヴェローナ侯爵夫人邸のお庭だった。夫人が、さっそく手配してくれたのだ。庭に、長い机が六つ。それぞれの兄の前には、色とりどりのシュシュが入った小箱。ファンは好きな兄の列に並び、箱から一つ引く。それを、兄が手首や髪に結んでくれる。
僕は全体が見渡せる位置に立った。受付では、ヒューゴが整理券を配りながら、てきぱきと列をさばいている。
最初に動いたのは、エリアスの列だった。上品な夫人が、緊張した面持ちで箱に手を入れる。
「あら、これは……」
「あ、当たりだね。後で読んでね」
エリアスが、メッセージカードを、夫人の手にそっと握らせる。夫人は頬を染めて、カードを胸に抱きしめた。
(王子様の手渡し……! 尊い!)
隣のマクシムの列では、若い騎士が、ごくりと唾をのんで箱に手を入れた。
「お! 紋章付きで大当たりだ。俺とお揃いだな」
マクシムが豪快に笑って、赤いシュシュと銀の飾りを手渡す。自分の胸元にも、同じ紋章が光っている。騎士は感動で震えていた。
アシュレイの列は、静かだった。夫人が、息を整えて一枚引く。アシュレイは紫のシュシュを手に取り、ゆっくりと夫人の手首に結んだ。そして視線を絡めて――。
「ボクの色、いつもつけてね」
夫人が、ふらっと後ろへ傾いた。侍女があわてて支える。
(気絶した!? 大丈夫!?)
ヒューゴの列は、少しぴりっとしている。若い娘が、おそるおそる引き当てたのは、サイン入りだった。
「私の署名だ。字は、きれいなほうだろう」
「は、はい!」
「次回の席は、前から三列目に取ってある。来い」
「は、はいいっ!」
娘は、シュシュを握りしめたまま、涙目でうなずいた。ツンデレ度が、完璧すぎる。
いちばんほのぼのしていたのは、ルネの列だった。
「あ、あの。来てくれて、ありがとう。えっと……すごく、うれしい」
若草色のシュシュを結びながら、ルネが頬を赤くして微笑む。女の子たちの小さな悲鳴が波のように広がり、男の子の客も、顔を赤くして、そっと列に加わっていた。
僕のところは、子どもたちの行列だった。「トーマくん、元気でねー!」「君もね!」と黄色のシュシュを結んで笑顔を返すと、疲れが吹き飛ぶ。
そのときだった。庭の片隅で、どよめきが上がった。
「見ろ! 赤いのを、鞘に!」
「おお、いいな! 私もやる!」
振り向くと、マクシムのファンになった騎士たちが、もらったばかりの赤いシュシュを、腰の剣の鞘に結んでいた。
「えええええ!? そこ!? 髪とか手首じゃなくて!?」
「士気が上がるんだ!」
「戦場でマクシム様が見守ってくださる気がして!」
「なにそれかっこいい!」
叫んでから、僕は、はたと止まった。
……鞘に、ついている。街でいちばん目立つ場所に、赤いシュシュが、ずらりと揺れている。これは、広告だ。歩く看板だ。
「ふ、ふふっ……本当に、顔が金になった! 武器になった!」
隣で、ヒューゴが静かに帳簿を叩く。
「トーマ。今日の売上が出た。屋敷での生活費、半年分だ」
「半年分!?」
「ああ」
「やったー! 兄様たち、やったよー!」
ひときわ大きく叫んだ僕を、兄たちが、離れたところから笑って見ていた。
* * *
問題は、その後だった。
握手会の翌日から、予約が山のように届いた。シュシュが、圧倒的に足りない。僕は夜な夜な、居間の暖炉の前で、針を動かしていた。
「いて」
ちくり。また、指を刺した。
居間の長いテーブルは、僕たちの作業台になっていた。片側には、針と糸と端切れを広げた僕。反対側には、兄たちが並んでいる。シュシュに添える、メッセージカードとサイン入りの札を、ひたすら書いているのだ。
エリアスは、お手本みたいにきれいな文字で、『あなたの毎日に、陽だまりを』と書いている。マクシムは、筆圧が強すぎて、ペン先をすでに二本折った。アシュレイは、一枚ごとに、少しずつ違うひとことを考えている。「甘すぎるのはボクの流儀じゃないんだよね」とのこと。ヒューゴは、署名を、機械のような正確さで量産中。ルネは、小さくてかわいい文字で、カードの隅に、小さな花の絵を添えていた。
「トーマ、そろそろ休め」
エリアスが、顔を上げて言った。
「ごめんなさい、あと十個だけ……」
「それを、昨日も言っていた」
ヒューゴが、僕の隣に腰を下ろした。渡された紅茶で、ようやく、手がかじかんでいたことに気づく。
「お前が一人で縫うのは、限界だ。そして、お前一人を働かせるのは、兄として許せない」
「でも、人を雇うお金が」
「領地を使え」
「え?」
ヒューゴは、灰色の目で、じっと僕を見た。
「領地の村には、針仕事の得意な者が大勢いる。冬の間は特に、手が空いて、仕事を探している者も多い。年老いた者も、体の弱い者も、座ったままできる仕事だ。……領地の帳簿を見ながら、ずっと気になっていた。仕事が、足りない」
貴族たちが、うちの取引を止めさせたせいだ。ミルフォード家が困れば、領民も困る。でも、僕たちが稼げるなら、そのお金を、領民にも回せる。
「出来高で、きちんと賃金を払う。お前が作った見本と材料を送る。品質は、父上が信頼している代官に見てもらう。……どうだ」
「それだ!」
思わず、立ち上がった。
「それです! それがいいです! 僕たちだけで稼いでも足りないって思ってたんです。領地にも、お金が回るなら、それが一番です!」
「そう言うと思った」
ヒューゴの口元が、ほんの少し、ゆるんだ。
「だから、お前は、もう寝ろ」
数日後、領地から、最初の荷物が届いた。
木箱の蓋を開けると、きちんとたたまれた色とりどりのシュシュが、ぎっしり詰まっていた。同封された手紙には少し震えた、でも一生懸命な文字。
『ミルフォードのぼっちゃま方のおかげで、冬の仕事ができました。ありがとうございます。 ウルスラ』
「縫い目、僕より、きれいだ……」
「当たり前だ。何十年も針を持っている人だぞ」
ヒューゴが、得意そうに言う。居間では、兄たちが集まって、そのシュシュを一つひとつ眺めていた。
「領地の皆が、作ってくれたのか」
エリアスが、シュシュをそっと撫でる。その目が、少し潤んでいた。領地を守れなかったと、いちばん悔やんでいたのは、兄だった。それが今、ひとつ、取り戻せた気がした。
* * *
そして、あの三人が、再び屋敷にやって来た。
応接間に、ランベルト侯爵、イゾルデ女伯爵、ブルクハルト伯爵。三人とも、今日は険しい顔だ。向かいのソファには、礼服姿の父様。その隣に、帳簿を抱えたヒューゴ。僕は、父様の指示で、同席している。
「フェリクス殿。単刀直入に言おう。もう、遊びは終わりだ」
ランベルト侯爵が、一枚の書状を、机に叩きつけるように置いた。
「ご子息たちの縁談。借財の件も含めて、返答を、今日、いただきたい」
「借財、ですか」
父様が、穏やかに微笑んだ。
「ヒューゴ」
「はい」
ヒューゴが、分厚い帳簿を、三人の前に、ぱたんと広げた。
「借財は、借入先の商会と再交渉し、返済計画を組み直しました。毎月の返済額は、現在の収入で十分に賄えます。取引を止められていた商会に代わる新しい取引先も、ヴェローナ侯爵夫人のご紹介で、増えました」
「な……っ!?」
「持参金も、ご援助も、もう必要ありません」
三人が、ぐ、と言葉に詰まる。父様は、にこやかに続けた。
「ですから、息子たちは、どなたのお屋敷にも入りません。ですが、皆様のお気持ちは、ありがたく頂戴いたします。そこで、ご提案がございます」
「提案、だと?」
「皆様のお屋敷の催しに、息子たちをお招きください。出演料は、こちらの表のとおり。貴賓席のご用意もございます。息子たちを高く評価してくださる方には、特別に」
父様が差し出した、金文字の料金表。そこには、「特別席」の文字が、燦然と輝いていた。
「…………」
三人が、顔を見合わせる。やがて、イゾルデ女伯爵が、ぽつりと言った。
「……紫の、シュシュ。まだ、残っているかしら」
「じょ、女伯爵!? あなたも買ったのか!?」
「買ったわ。握手会の列に、三回並んだわ」
「抜け駆けだ!」
「そちらこそ!」
「待て、特別席は私が最初に――!」
三人が、わあわあと言い争いを始めた。父様は、静かに紅茶をすすっている。僕とヒューゴは、そっと目を合わせて、うなずき合った。
(勝ち、だ)
もう誰も、兄たちを囲い込めない。兄たちが、一人ずつ誰かのものにならなかった。それが、僕たちの勝ちだった。
* * *
春。初舞台の夜から、ちょうど半年。
王都の劇場、アルカディア座。父様の人脈で押さえてもらった、王都でも指折りの舞台だ。客席には、ヴェローナ侯爵夫人をはじめとする夫人たち、赤いシュシュを鞘に結んだ騎士たち、街の人々、そして、例の三人の貴族まで、ぎっしりと並んでいる。
舞台袖で、僕は兄たちを見回した。
「今日は、初めての、本格ライブです! 楽しみましょう!」
「ああ」
エリアスが、静かにうなずく。
半年前は、シーツを縫い合わせた幕だった。今日は、本物の緞帳だ。あの夜、客席で「何を見せられているんだ」とつぶやいていた人たちが、今は、開演前から、シュシュを握りしめて待っている。
幕が上がった。
最初は、エリアスのソロだった。ゆっくりとしたバラードを、胸に手を当てて、静かに歌う。声が、劇場の隅々まで、あたたかく染みわたる。客席のあちこちで、夫人たちがハンカチを取り出した。
次は、マクシム。剣舞だ。鍛え上げた体で、大きな剣を、まるで羽根のように振る。風を切る音が、客席まで届く。鞘に赤いシュシュを結んだ騎士たちが、立ち上がって、地鳴りのような歓声を上げた。
照明が落ちて、アシュレイの番。歌い出した瞬間、客席の空気が、とろりと変わった。古い恋歌だ。甘くて、低くて、ゆっくりと客席を見渡し、一人の客と目を合わせて、一、二、三。外す。客席から、押し殺した悲鳴が漏れた。ミステリアスで大人な妖艶さ。この人は、もう、完全に自分のものにしている。
ヒューゴは、低く落ち着いた声で、ゆっくり歌い始めた。派手な動きはない。けれど、一音一音が、静かな炎のように、客席の心を引きつけていく。気がつけば、観客が、彼の刻むリズムに合わせて、手拍子をしていた。
そして、ルネ。ヴァイオリンを手に、一人、舞台の中央に立つ。弓を引くと、澄んだ音色が響いた。弾きながら、ゆるやかに足を運び、やがて、ヴァイオリンを置いて、踊り出す。回る。跳ぶ。髪飾りの花が、光の中で、きらきらと舞う。客席の誰もが、息をするのを忘れていた。男の子も、女の子も、騎士も夫人も、全員が、同じ顔で彼を見つめていた。
(兄様、見てる? みんな、ルネ兄様を見てるよ)
最後は、全員で歌う、『陽だまりの歌』だった。客席が、いっしょに歌ってくれた。最初の夜会では、しんと静まり返っていたあの歌を。
歌い終わった、静かな余韻の中。僕は、一歩前に出て、手を挙げた。
「みんなー! 今日は、来てくれて、本当にありがとう!」
「ありがとうー!」
客席が、返してくれる。
「それで、今日は、みんなにお知らせがあります!」
兄たちが、僕の後ろに並ぶ。エリアスが、うなずいた。
「僕たち、領地に帰ることになりました!」
……客席が、凍りついた。
「えっ!?」
「どういうこと!?」
「これからでしょう!? こんなに人気なのに、どうして!?」
ざわめきが、波みたいに広がっていく。
「でも、活動をやめるわけじゃないよ!」
マクシムが、すかさず叫ぶ。
「領地に、小さな舞台を作る! そこで、また会おう!」
アシュレイが、にっこり笑った。
「王都にも、また来るよ。出稼ぎにね」
ヒューゴが、冷静に付け足す。
「領地の特産品も、シュシュも、新しい商品も直接買える。宿もある。ぜひ、足を運んでほしい」
ルネが、小さく、でもまっすぐに言った。
「み、みんな、会いに来てほしいな」
エリアスが、胸に手を当てて、微笑む。
「私たちの故郷で、お待ちしています」
そして、僕が、一歩前へ。
「領地で待ってるよ!」
しんと静まった客席から、最初に声を上げたのは、やっぱりヴェローナ侯爵夫人だった。
「行きますわ! 領地まで! 宿は、どこ!?」
「わたくしも!」
「私もだ!」
ばたばたと、立ち上がる夫人たち。騎士たちも、街の人たちも、例の三人の貴族までも。
「領地の特産品とは?」「宿は、いくつあるのだ!」「馬車を手配せねば!」
劇場が、お祭り騒ぎになった。
舞台の袖で、父様が、静かに、満足そうに微笑んでいた。
* * *
それから、半月後。
僕たちは、領地へ向かう馬車に揺られていた。窓の外には、春の野原がどこまでも広がっている。
「トーマ」
向かいの席から、ヒューゴが、書類を一枚、差し出した。
「王都の屋敷の売却が、正式に決まった」
「え」
「購入先は、屋敷を劇場兼サロンに使いたいという商会だ。提示額は、悪くない。この代金で、残っていた借財は、すべて完済だ」
僕は、書類を二度見した。
「ぜ、全部ですか!? 売らなきゃ生活できないから、じゃなくて?」
「違う。この半年で、領地で暮らしながら活動を続けられるだけの基盤は、整った。王都の屋敷は、維持するだけで、領地の十倍かかる。持っていても、お金を食うだけだ。手放すほうが、身軽になる。これは、追い詰められた末の話じゃない。経営判断だ」
「ということは……」
「借財は、ゼロになる」
「借金ゼロ!」
馬車が揺れるほどの声で、叫んだ。
「やった! やったー!」
「うるさいぞ、トーマ!」
マクシムが、笑いながら僕の頭を、わしゃわしゃと撫でる。アシュレイが「ボク、こういうときの顔、まだ練習が足りないな」と笑い、ルネが、ほっとした顔で、目元をぬぐった。エリアスは、静かに、父様のほうを見た。父様は、窓の外を見たまま、小さく、うなずいた。
「よーし、これからガンガン稼ぐぞ!」
「その意気だ」
ヒューゴが、にやりと笑った。
やがて、丘の向こうに、小さな村が見えてきた。麦畑、石造りの家々、煙突から上がる細い煙。そして、村の入り口に、ずらりと並んだ人影。
「ぼっちゃま方! おかえりなさい!」
「おかえりなさーい!」
杖をついた小柄なおばあさんが、ぶんぶんと手を振っている。あの人が、手紙をくれたウルスラ婆さんだ。その手には、僕が縫ったものより、ずっときれいな、黄色のシュシュ。
「ただいま!」
僕は、馬車から飛び降りて、叫んだ。
その日の晩、久しぶりに、家族全員が、同じ食卓についた。ベンノが、大きな鍋を運んでくる。領地の野菜がたっぷり入ったスープだ。
「いただきます!」
にぎやかな食事だった。父様を囲みながら、エリアスはいつもより大きな口で、マクシムが三杯おかわりして、アシュレイが「ボクの色のスープだ」と紫キャベツを自慢し、ヒューゴが宿屋の予約状況を読み上げ、ルネが、ウルスラ婆さんにもらった手編みの靴下を、嬉しそうに眺めていた。
そして次の日の朝、僕たちは、丘の上の小さな墓に、花を供えに行った。
母様の墓だ。父様が、一輪、白い花を置く。
「君に似た子たちは、みんな、元気だよ」
父様は、小さな声で、墓に語りかけた。兄たちも、一人ずつ、黙って手を合わせる。僕も、目を閉じた。
(母様。見ててくれましたか)
兄様たちは、誰のものにもならなかった。その代わりに、少しだけ、みんなのものになった。それで、いいんだと思う。
影は、きっと、完全には消えない。でも、今の兄たちは、あの暗い居間の中で諦めていた頃とは、ぜんぜん違う顔で笑っている。
ふと、あのゲームのことが頭をよぎった。ヒロインがもし、この領地まで来たら、握手会の列に並んでもらおう。順番は、ちゃんと守ってね。
「トーマ。何を笑っている」
エリアスに訊かれて、僕は首を振った。
「いえ、何でもないです!」
丘の下には、小さな村が広がっている。畑も、家も、少し古びているけれど、これから、たくさんの人が訪れる。宿を直して、舞台を作って、特産品を売って、シュシュも縫って、新しいグッズも作って、たまに王都にも出稼ぎに行って、父様の手帳は、きっと、またびっしり埋まる。
やることが、山ほどある。
僕は、両手を、思いきり空に突き上げた。
「領地でも、忙しくなるぞー!」
僕の声が、青い空に、まっすぐ吸い込まれていった。




