科学
ブログでクマムシが数学について語っている。ジョンは読むのに苦労したが楽しくなった。今回のクマムシは珍しく社会への怨嗟は無く、自然科学の探求を楽しんでいる。過去に情報技術関係の会社で働いていたジョンにとって数学は慣れ親しんだ分野であり、文章には新しい発見は無かったが、苦手分野に挑戦するクマムシの姿勢を見下す気にはならなかった。
ジョンはまた日本人アカウントのブログを覗いて学術の姿勢を分析してみた。確かに専門家や技術者のブログには説得力があるが、他分野について興味を持つ者は少ないか的外れな話をしている。自然科学関係者は数式に抵抗はないが、人文科学や社会科学関係者はブログで数式を扱うのを嫌う。また、知識人ではない者は数学をはじめとする自然科学を避ける。科学的根拠の無い噂や発見に簡単に踊らされて他人を攻撃する者さえいる。精神医学や犯罪心理学を曲解して知能指数の低い者や発達障碍者を犯罪者予備軍のように扱い排除しようとする。欧米でも陰謀論を振りかざす者が沢山いるが、日本人も下らない情報に踊らされている者が少なくない。
日本人は英語と数学に対して劣等感を抱いているようだ。頑張っても修得が難しく敬遠すべき対象になっている。特に数学は自然科学を扱う知識人だけの世界だと感じている。
クマムシはどんな人物なのだろうか。ジョンが想像したが性別すら不明だ。貧困層なのか低学歴なのか障碍者なのか分からない。けれども独特な価値観で自国を憂いて数学を勉強している。単なる冷笑主義者でもなければ社会を呪うだけの弱者でもない。クマムシは身近な人達には優しいのかそれとも冷淡なのか。社会的地位はどれくらいでどんな仕事をしているのだろうか。家庭を築いているのだろうか。
クマムシはアジア諸国による監視団という提案で暗号学の利用を勧めていた。機密情報を非公開のまま相手に改竄していないことを証明する技術。これを駆使すれば予算編成も戦略も議論できる。場合によっては一部を世界に公表できる。
ジョンにとって暗号学は専門外だが情報技術分野で働いていたので重要性は知っている。数学が苦手だがそれを勉強し暗号学に興味を持っているクマムシに暗号学の奥深さと面白さについてコメントで少し語ろうとジョンは思った。恐らくクマムシは英語が苦手だ。英語が基本な暗号学についてクマムシに分かる方法でどうやって何を伝えればよいだろうか。ジョンは考えた。




