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タラ

 シャワーを浴びた湯利はブログを確認した。コメントが一件来ていた。それは非常に長文で複数の文章に対する感想だった。一昨日書いた文章についても言及されている。ウクライナの戦争やイラン・パレスチナ問題を抱えたままベネゼエラに侵攻したとランプ政権を揶揄した文章だ。コメントは過激な内容を諭しながらも炎上を心配している。アカウント名は「タラ」。タラはこのブログサイトで最近閲覧するだけでこのコメント以外は書き込みをしていない。イギリス在住のイギリス人だが日本語ができる。文末には他のSNSのアカウントも紹介している。


 タラのアカウントを確認しようか湯利は迷った。湯利は英語が苦手だ。また、ロマンス詐欺を疑っている。しかし初めてのコメントなのでタラをブロックするのもつまらないと感じた。返信をしなかったが、湯利はタラのコメントに言及する文章を書いた。


 アメリカによる原爆投下を肯定し日本のアジア侵略を欧米の植民地支配以上に軽蔑する欧米諸国。コロナが流行った時には中国人を含むアジア人を排斥していた。ポリティカルコレクトネスを理由にアジア人による黒人の差別を非難するが黒人によるアジア人差別には言及しない。湯利は欧米人や白人が嫌いだった。日本女性を売春婦扱いして入国させないアメリカ政府やアジア女性を醜いとするルッキズムにも辟易している。イギリス人は湯利のブログが読めても異常な差別主義者だとしか見ないはずだ。運営に報告したり暴言を投げつけたりして湯利のアカウントを凍結させるに違いない。しかしタラは冷静だ。賛美もしないが攻撃もしない。湯利には意外だった。


 タラがもし執拗にコメントを投稿したり攻撃したりブログを世界に晒したりしたら警察に通報しよう。タラのアカウントが偽物で危険なサイトの可能性もあるので直接覗かない。それでも危険が有ればブログのアカウント自体を削除する。湯利はそう決めて暫くは様子を見ることにした。

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