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推し似に迫られて困ってます!〜私、推しは遠くから見ていたい派なので!〜  作者: 媛乃 暁姫


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「えっ!美味しい!」

「うわっ!にっが〜!」

 ーーまぁ、そうなるよね。

 好みは人それぞれだ。

「苦いと思ったら、砂糖とミルクを入れてみなさいな。最初は少しづつね」

 砂糖とミルクを押しやると、顔を顰めてた見習い娘達は半信半疑で砂糖とミルクを入れる。

 私は少し薄いブラックをそのままいただく。

「うん、ちゃんとコーヒーだわ美味しい」

 煎ってる時に漢方みたいな匂いがしたから正直不安だったが、これならば充分だろう。

 タンポポコーヒーはノンカフェインで身体にも優しい。

「うわ、砂糖とミルク入れたらめちゃくちゃ美味しい!」

「あたしはミルク多めの砂糖少なめが好み」

「両方いっぱいがいい!」

 好みのアレンジも好評らしい。

「ミルクを多く入れたのはカフェオレっていうのよ。コーヒー飲んでからクッキーを齧ってみなさい」

 クッキーの乗った皿を渡すと、それぞれ手に取って口に入れた。

「!?」

「うわっ!美味し〜い!」

「これ合いますね!」

 甘いお菓子をコーヒーで流す。

 やっぱりこれよね!

「コーヒー出来たなら、ティラミス作れないかしら⋯⋯」

 コーヒーゼリーはゼラチンが必要だが、ティラミスならマスカルポーネチーズとスポンジで作れるはず。

 でもココアがないな⋯⋯と、考えていると不思議そうに首を傾げている見習い娘達。

「てぃらみ⋯⋯?ってなんですか?」

「チーズを使ったコーヒー味のケーキよ」

 ケーキの言葉に、見習い娘達は一気に目を輝かせてアンナに詰め寄った。

「え?ケーキ?食べたい!」

「お嬢様いつ作るんですか?」

「チーズってケーキになるの?」

「甘いチーズ?想像できない⋯⋯」

 そりゃそうか⋯⋯こちらにはフレッシュチーズがない。

 と言うよりフレッシュのまま食べない。

「スポンジにはベーキングパウダーは必要ないし⋯⋯そうね明日はティラミス作りしてみましょうか」

 勢いよく頷く見習い娘達に小さく苦笑い、アンナはクッキーをサクリと齧った。

(材料は色々足りなくても、この世界では初めてのチーズを使ったケーキになるのね)

 いうなればティラミス風となるわけだが、本来のものを知らなければ、これから作るものが本物になるのだ。

 そしてこれが後にスイーツ界に歴史を刻むケーキとなるとは、アンナさえも予想していなかった。



 次の日の朝食後、厨房にはお菓子作りの材料が並べられていた。

 そしてその作業台の前にはエプロン姿の幼女が、腰に手を充てて見習い娘達に宣言した。

「いい?このお菓子はハッキリ言ってもの凄く大変だから」

 まずスポンジを作るのには体力と根気がいる。

 前世のような自動泡立て器などないのだ、全て人力で卵白を泡立てなければならない。

 クッキーやパウンドケーキのようにはいかないのだ。

 そしてスポンジは休ませる時間も必要だ。

 ケーキ作りは時間も手間ももの凄くかかる。

 見習い娘の一人が困惑したように、おずおずと手を挙げた。

「えっと、お嬢様。具体的にはどこが?」

「明日は腕が動かない程度?」

「ーーえっ?」

 ピキリと固まって、アンナを凝視する。

「コレね腕がすっごく疲れるのよ⋯⋯多分明日は筋肉痛で動かなくなるわよ」

 ザッと青ざめる見習い娘達に肩を竦め、アンナは容赦なくニッコリ笑った。

「食べたいと言ったのだから、最後までしっかりね」

 見習い娘達は一斉に顔を引きつらせたのだった。




 

 


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