その10 第八話 神様との約束
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第八話 神様との約束
カー子に抱えられての時空移動。真っ暗闇なのはやっぱり怖いな。
「ミズサキ。涼子。帰る前にひとつ教えておかなければならないことがありマス」
「えー。今更なによ? ここで言うことー?」
「いや、もっと早く言うべきなんですけど忘れテテ」
「たくもー。それで、何よ?」
「地球に帰ったらマージの記憶はほぼほぼ消えますので。それだけ、ご了承下サイ」
「エッ」
「は? カー子とかキュキュのこと忘れるってこと?」
「はい、そうですネ」
「エッ、やだよ、ヤダヤダ。そんなのないよ」
「ちょ、暴れないで下さイ。危ないカラ」
「な、なんで。忘れるの?」
「そういう規則なんです。異世界での記憶は持ち帰ると混乱を招くカラと、私の代になる前から決まってたマージの法なんですヨ……。まあ、たまに消しきれない記憶もあったりしますケド」
「はー? 自分らは異世界文化で発展しようとしてるのにズルくない? これだから魔法使えるやつらはズルイのよ」
「それは……ミズサキの言う事も一理ありますネ」
「でも、翻訳魔法と怪力魔法はくれたじゃん。あれは私が忘れたらどうなっちゃうわけ?」
そうなのだ。私は最初の契約通り1つ魔法をもらうということで翻訳魔法を持ち帰ることにした。
涼子は『トマトジュース回復薬』を開発した事も評価され、2つ魔法を持ち帰ってよしとされたので翻訳魔法と怪力魔法を持ち帰ることにした。
「翻訳魔法は常時機能するように聞きたいなと思ったものが常に聞けるモードに設定してありマス。怪力魔法も同じで、力を出したい時に出るモードになってます。威力は控え目にして節約モードになってますから消費魔力値はそれほどではないハズ」
「カー子はなんでそんな大事な話を今までしないかなー」
「だって、言いにくくって。……忘れちゃうよ。とか、悲しいしサ……」
カー子は声をちょっとだけ震わせてた。もしかして泣いてる? そっか、そうだよね。私達もう家族だもんね。忘れるなんて、お別れなんて、そんなのつらすぎるよ。
「エル……」
「グスッ、そうだ、カー子。また呼んでよ。もう一度行き来するのも可能って言ってたじゃん。今度呼ばれるまでに私は本当に強くなっておくからさ。今回の勝ち方は正直まだ納得できてないし。伝道師としてもまだまだ伝えなきゃいけないことあると思うの。だから、ね」
「その時は私も呼んでよね」
「りょうちゃん」
「2人とも……ありがとうございます。そしたら、また必ず2人をマージに呼びマス。麻雀大会もまたやりまショウ」
「ウソじゃないでしょうね。約束だよ?」
「涼子は私を誰だと思っているんですか。私はマージの神ですよ。神は嘘をついたりしません」
「そうだったね」
「私たちはこの約束も忘れちゃうんだろうけど、信じるよ。カー子」
出口が見えてきた。いよいよカー子ともお別れだ。




