その10 第七話 奇跡は努力の先にある
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第七話 奇跡は努力の先にある
「ミズサキおめでとゥ! さすがは私が見込んだトッププレイヤーデス!」
「ありがとう、カー子」
「いやおれは納得いかねえよ!」
「ジャガフ……だよねえ。私もあまり納得はしてないし。あなたの方が強かったよ」
「ふん、冗談だよ。やっぱ強えよミズサキは。これは結局ミズサキの強さあってこその勝利だったっておれだってわかってる。悔しいけどな」
「そんなことはないよ」
「いや、ジャガフの言う通りヨ。これ私だったら南3局にノーテンで終わってたモン」
「僕も、それにオーラスのあれ、テンパイだって即認識するのもすごいよ。親が切った第1打は選択が早かったし、僕ならアワアワしてるうちに南家が切って進んじゃったかもしれない」
「みんな優しい。こんなのツイてただけだってば」
「マコトはそう言うけどさ。でも、全ての奇跡は努力の先にあるものよ。今日のこの大会。いや、ここに至るまでの日々。全ての日を、私がダラダラ生きてる横でマコトは必ず全力出してた。あなただから掴み取れた奇跡なの。すごいよ、マコト。あなたの存在は私の誇り」
涼子がそんな事言うから私は目頭が熱くなってきた。こんな、胸熱な話になるような勝ち方だったっけか。こんなんマグレなんですけど。
……まあ、マグレでもマグロでもなんでもいいや。とにかく私は勝ったんだ。
「うん。ありがとう。みんなありがとう」
大会終了――
「ミズサキさーん。麻雀教えてー」
終わったら教えてあげると約束した子供たちが駆け寄ってきた。
「うんうん。教えてあげるよ。お母さんがむかえに来るまでね。ネルビイもジャガフも来なよ。あなたたちが私の代わりに教えてあげれるようになって欲しいんだから」
「そういうことなら」と2人の他にマタイさんも一緒に参加して麻雀教室を日が暮れるまでやった。そしてその日が終わり、翌日――
今日はマージに来て100日目。地球に帰る日である。遅番出勤は今日は無しで髪を切りに行くことをすすめられた。
「3ヶ月以上伸ばしっぱなしだからね。地球帰った時変に思われないように伸びた分は切っておいた方がいいよ。僕のおすすめの床屋を紹介するから行っておいでよ」とキュキュがおすすめの店に連れて行ってくれた。
床屋さんのシャンプーとトリートメントはプロ仕様のすぐれもので私の髪じゃないくらいツヤッツヤのサラッサラになった。素敵。このシャンプー欲しい。染めることは出来なかったので帰ったら私は生え際を金に染めないとね。
「じゃあ、帰ろうか……りょうちゃん」
「そうね。ちょっと寂しい気もするけどね」
ネルビイとジャガフには伝えたが他の人には言ってない。自分たちが地球人で今日帰るということはスタッフしか知らないことだ。見送りとかされても後ろ髪ひかれるだけだし、これでいいんだ。
すると……
「ミズサキ!」
「涼子!」
ネルビイとジャガフだった。
「あ、あんたら。隣町からわざわざ来たの? あんたたち2人は今夜仕事でしょ。なんで起きてるのよ」
「最後なんだ。見送りくらいさせてくれよ。色々ほんとに世話になった」
「おれはミズサキのこと好きだった。一度くらいデートしたかったけどそんな日も時間もなかったな」とネルビイが言った。
「そうだったんだ」
気付きもしなかったな。嬉しいサプライズ告白だ。その気持ちはありがたく受け取ろうと思う。
「おれは涼子が好きだった。またいつか会いたい」とジャガフも告白。涼子も隅に置けないねぇ。
「私? そ、そーなの? アンタら2人とも気持ち隠すのうまいわね」
「ふ、ギャンブラーだからな。ポーカーフェイスっていうやつだ。うまいもんだろ」
「ジャガにいいこと教えてあげる。りょうちゃんは脱ぐとすごいんだよ。おっぱいとかお尻とか。すごいおっきいし綺麗なの」
ブホッ! ゲホゴホッ!
「いらんことを言うな!!」
するとカー子が魔法を使った音がした。ブゥンと空間に穴が開く。
「もう行くヨー」
「はーい」
「みんな、元気で!」
さようなら、スノウドロップ。さようなら、マージ。
ありがとう、さようなら、私たちの異世界――




