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悪役令嬢、現代日本に転生する~処刑された元公爵令嬢は、今度こそ自分の才能を自分のために使います~  作者: にゅん


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二つ目は、もっと難しいですわ

 《Aster One》の発売から数か月が経った頃、東雲精機では二つ目の家庭用製品を作りたいという声が本格的に上がり始めていた。最初に動いたのは玲奈でも隆一でもなく、《Aster One》の開発に参加した若手社員たちだった。


 産業用モーターを作り続けてきた会社にとって、自分たちの技術を使った完成品が店頭へ並び、一般の利用者から直接評価される経験は新鮮だった。吸引力や稼働時間を褒められた一方、重量について厳しい意見を受け、それを次の生産へ反映させた経験まで含めて、社員たちにはこれまでと違う手応えが残っている。


 もう一つ、自分たちの商品を作ってみたい。その意欲自体を玲奈は歓迎していたが、熱意があるという理由だけで会社のお金を使わせるつもりもなかった。


 放課後に東雲精機を訪れた玲奈は、会議室で渡された企画書を最初のページから読み始めた。向かい側には隆一のほか、《Aster One》の開発に参加した若手技術者と商品企画担当者が座っており、玲奈へ直接企画を説明することに緊張しているのか、若手社員の一人は普段より背筋を伸ばしている。


「それで、これが皆様の二つ目の商品ですのね。まずは最後まで拝見いたしますから、少しお待ちくださいませ」


 玲奈は彼らを急かさず、企画書を読み進めた。


 提案されていたのは、ロボット掃除機だった。


 《Aster One》と同じ掃除分野なら、東雲精機が持つ小型高性能モーターの技術を生かせる。さらに天城ホールディングスが出資するネクサリンク・ロボティクスには、自律移動するロボットの制御やセンサーについて蓄積があり、北辰電池や相馬電子技研との協力関係も既に存在する。


 必要となる技術を並べれば、確かに相性は良かった。


 玲奈は最後のページまで読み終えると、そのまま最初の市場分析へ戻った。若手社員たちは彼女の反応を待っていたが、玲奈はすぐに結論を口にせず、競合製品の価格帯や特徴まで改めて確認する。


「作れそうではございますわね。東雲精機だけでは足りない技術も、今のわたくしたちなら協力してくださる会社がございます。ただし、作れることと売れることは別のお話ですわ」


 承認されると思ったのか、わずかに明るくなっていた若手社員たちの表情が引き締まった。


 ロボット掃除機は、誰も商品化していない新しい市場ではない。国内外のメーカーが既に参入しており、価格を抑えた商品から高度なセンサーや自動充電機能を備えた高価格帯まで、消費者には複数の選択肢がある。


 玲奈は市場分析のページを開いたまま、企画担当者へ視線を向けた。


「《Aster One》が売れたから、次も掃除に関係する商品を作る。それだけでしたら、わたくしは反対いたします。東雲精機だから作れるものは何ですの? ネクサリンクと組むことで、既に市場へある商品より何が良くなりますの? そして何より、お客様が知らない会社の商品を選ぶ理由はどこにございますの?」


 三つの問いは別々に見えて、すべて同じ問題へ繋がっていた。


 後から市場へ入るなら、既に売られている商品ではなく、自分たちの商品を選んでもらう理由が必要になる。


 企画担当者は用意していた資料を開き、強い吸引力、小型化、静音性、長時間稼働、障害物回避性能など、現在検討している特徴を説明した。どれも商品として魅力になり得る要素ではあるが、玲奈は説明を聞き終えると、競合比較の欄へ指を置いた。


「その特徴は、他社の商品にはございませんの?」


 企画担当者はすぐには答えられなかった。


 吸引力を強みにする製品は既にあり、静音性を売りにする商品もある。長時間稼働や障害物回避も珍しい機能ではなく、すべてを高い水準でまとめれば良い商品にはなるとしても、それだけで後発企業の商品を選んでもらえるとは限らない。


 会議室には考え込むような静けさが広がったが、玲奈は答えを急かさなかった。自分で結論を教えてしまえば、次の商品でも同じことを尋ねなければならなくなる。社員自身が「作れる商品」と「売る意味のある商品」の違いを考えられるようになる方が重要だった。


 やがて若手技術者の一人が資料を見直しながら、遠慮がちに口を開いた。


「だったら、本体をもっと小さくするのはどうでしょう。今あるロボット掃除機は、センサーやバッテリー、吸引機構まで全部入れる必要があるので、それなりの大きさがあります。でも、うちのモーターは小型化が得意ですし、ネクサリンクも小さな移動ロボットを作っています」


 玲奈は否定も肯定もせず、続きを促した。


 技術者は話しているうちに考えが整理されてきたらしく、既存製品の寸法比較を画面へ表示する。単に家具の下へ入れる高さだけではなく、本体の直径そのものを小さくできれば、椅子の脚が多い場所や家具同士の隙間など、通常サイズでは動きにくい場所へ入り込める可能性がある。


 しかし小型化にも代償はある。


 ダストボックスを小さくすれば頻繁にゴミを捨てる必要があり、バッテリー容量を減らせば稼働時間が短くなる。吸引口が狭くなれば、同じ床面積を掃除するために必要な移動距離も長くなり、単純に小さくすれば優れた商品になるわけではなかった。


「つまり、小さいこと自体を目的にしてはいけませんのね。小さいからこそ何ができるのか、それが必要ということでしょう?」


 玲奈が確認すると、若手技術者はしばらく考えてから頷いた。その横では別の社員が既存製品の使用場面を調べ始めており、やがて一台ですべてを掃除するという前提そのものを変えてみてはどうかという意見が出た。


 大きなロボット掃除機と同じことを、小さな本体で再現する必要はない。


 小型だからこそ、通常サイズの製品が苦手とする場所を得意にすればいい。


 ソファやベッドの下へ入り込み、椅子やテーブルの脚が多い場所でも動き回り、家具同士の狭い隙間まで掃除する。人間が普通の掃除機を差し込みにくい場所まで担当できるなら、小さいことそのものが価値へ変わる可能性がある。


 玲奈は説明を聞きながら、《Aster One》の案件配信を思い出していた。


 あの商品でも、資料上の重量を見たときには大きな問題だと思わなかった。実際に持ち上げた瞬間に初めて、利用者にとって数字がどんな負担になるのか理解できた。


 今回も、性能表だけを比較していては同じことになる。


「面白くなってまいりましたわ。ただし、まだ企画を通すつもりはございません」


 期待しかけた社員たちが玲奈を見る。


「本当に、そのような場所を掃除できず困っている方がいるのか調べてくださいませ。わたくしたちが便利そうだと思っただけでは、商品を作る理由として足りません。既にロボット掃除機を使っている方が、どこを自分で掃除し直しているのか。購入したのに使わなくなった方がいるなら、何が面倒だったのか。まずはそこを知りたいですわね」


 今度は社員たちも、単純に企画を否定されたとは受け取らなかった。


 《Aster One》の購入者から任意で意見を集め、販売店にも利用者が何を気にして商品を選んでいるのか聞く。既存製品の口コミだけではなく、使わなくなった理由まで調べれば、メーカー側が宣伝している長所とは違う問題が見える可能性もある。


 企画担当者が調査方法を書き込み、若手技術者も必要な比較項目を追加していく。最初に会議室へ入ったときの緊張は既に薄れ、自分たちの企画を作り直すことへ意識が向いていた。


 三週間後、玲奈のもとへ届いた二度目の企画書は、最初のものよりページ数が減っていた。


 その代わり、冒頭には利用者調査の結果が置かれている。


 既存のロボット掃除機への不満として目立ったのは、家具の配置によって掃除できない場所が生まれることだった。椅子やテーブルの脚が多い場所では移動効率が落ち、低い家具や狭い場所には本体そのものが入れないという声も少なくない。


 床へ置かれた物への対応にも課題があった。


 充電用のコードや小さな玩具、脱いだ衣類や鞄など、家庭の床にはロボットの走行を前提としていない物が日常的に置かれる。工場や倉庫のように、機械が動きやすい環境を常に維持してくれるとは限らない。


 さらに玲奈が興味を持ったのは、購入したロボット掃除機を使わなくなった人たちの回答だった。


 掃除を始める前に床の物を片づける必要があり、それを面倒に感じて普通の掃除機へ戻ったという回答が複数ある。便利になると思って購入したはずなのに、機械を動かす準備が新しい家事になってしまっていた。


「ロボットに掃除していただくために、人間が先に片づけておりますのね。これでは、便利にするための商品なのか分からなくなってしまいますわ」


 自宅で資料を確認していた玲奈がそう呟くと、隣で技術資料を見ていた直人が笑った。ただし、すぐに技術面の話へ移り、家庭内で障害物を認識することの難しさを指摘する。


 東雲精機の小型モーターを使えば、本体サイズを抑えられる可能性がある。北辰電池との協力で小型化と稼働時間の両立を探り、ネクサリンクが持つ移動制御と障害物認識を家庭向けへ調整すれば、最初の企画より各社が組む意味も明確になっていた。


「久世さん。作れると思われます?」


「作るだけならできる。ただ、家庭の床は工場より面倒だぞ。毎日同じ位置に同じ物があるわけじゃないし、コード一本を巻き込んで止まるようなら、そのたびに人間が助けることになる。便利さを売るなら、そこをどこまで減らせるかが一番難しいと思う」


 直人は資料へいくつか条件を書き込みながら説明した。玲奈は難しいと言われて落胆するどころか、むしろ最初の企画より興味を深めていた。


「簡単でしたら、既に大手の皆様が解決しておりますもの。難しくても、それを解決できれば後から市場へ入る理由になりますわね」


「まあ、そう言うと思ったよ」


 直人は呆れたように笑ったが、その後も必要になりそうなセンサーや処理能力について確認していた。玲奈には、彼自身も少なからず興味を持っていることが分かった。


 翌週には、ネクサリンクを交えた共同検討が始まった。


 瀬川拓海は家庭用ロボットという企画を聞いた段階から慎重だった。施設向けの自律移動ロボットと家庭用製品では、同じ移動技術を使うとしても環境がまるで違うからだ。


 工場や倉庫なら、走行経路へ物を置かないという運用ルールを決められる。床面の状態も把握しやすく、ロボットが動くことを前提として設備配置を調整することさえできる。


 家庭では、昨日までなかった鞄が床へ置かれ、椅子の位置が変わり、充電用のコードが垂れる。子供が玩具を置いたままにする家もあれば、ペットが機械の前を横切る家もあり、利用者へ完璧な環境整備を要求することはできない。


「人間の生活って、ロボットから見ると相当滅茶苦茶なんですよ。業務用なら『ここには物を置かないでください』と言えますけど、家庭用で同じことを要求しすぎると、便利にするための商品が人間の仕事を増やします」


 瀬川が試験映像を見せると、画面の中では既存の実験機が細いコードへ引っかかり、そのまま停止していた。


 玲奈は映像を何度か見直したあと、企画書へ新しい条件を書き加えた。


「でしたら、人間がロボットに合わせすぎなくても使えることを目標にいたしましょう。多少物が置いてあっても自分で避けて掃除を続ける。それなら、小型であることにも障害物を認識することにも意味がございます」


 瀬川は追加された条件を確認し、簡単ではないと前置きしたうえで、試作する価値はあると答えた。


 そこから開発は一気に進んだ。


 もっとも、完成品へ近づく速度より、問題を見つける速度の方が速かった。


 最初の試作機は本体をかなり小さくできたものの、ダストボックスまで小さくなりすぎて、頻繁にゴミを捨てなければならなかった。次の試作では容量を増やした結果、本体の高さが増してしまい、低い家具の下へ入れるという長所が薄れている。


 障害物認識でも失敗が続いた。


 床に置かれたコードを避けることには成功したものの、黒い靴下を正しく判別できず、そのまま巻き込んで停止した試作機もある。別の機体は細い椅子の脚が並ぶ場所へ器用に入り込んだところまでは良かったが、奥まで進んだ末に自力で抜け出せなくなった。


 試験映像を見ていた玲奈は、椅子の脚に囲まれて右往左往する機体をしばらく眺めた。


「久世さん。この子、自分から入り込んで出られなくなっておりますけれど、少々お馬鹿ではございません?」


「開発途中のロボットに人格攻撃するな。今は失敗させるために試験してるんだから、むしろここで引っかかって正解だよ」


 直人が苦笑しながら映像を巻き戻すと、玲奈もそれ以上はからかわなかった。量産して何千台も家庭へ届けてから見つかるより、試作段階で一台が止まってくれた方がはるかに安い。


 その考え方は、東雲精機の技術者たちにも浸透し始めていた。


 失敗した試作機を隠すのではなく、なぜ止まったのかを記録する。問題が解決したあとも記録を残し、次の設計変更によって別の不具合が発生していないか確認する。《Aster One》で初めて一般消費者向けの商品を作った経験が、二つ目の商品では開発方法そのものへ生かされていた。


 冬を越え、玲奈が高校一年生を終える頃には、試作機は第七世代まで進んでいた。


 初期案より本体は少し大きくなったものの、一般的なロボット掃除機より小型で、低い家具の下にも入りやすい。東雲精機の小型モーターを使った吸引機構に加え、北辰電池との共同開発によって必要な稼働時間を確保し、相馬電子技研も電力制御の調整へ参加している。


 そして最も時間を使った障害物への対応も、ようやく商品として検討できる水準へ近づいていた。


 完璧にすべてを見分けられるわけではない。


 それでも床に置かれたコードや衣類、小さな物体を認識し、巻き込む可能性が高いものについては自分から進路を変えられる。行き止まりへ入り込んだ場合にも、同じ動作を延々と繰り返すのではなく、経路を再計算して抜け出せるようになっていた。


 最終試験の一つとして用意された部屋は、以前より意図的に散らかされていた。


 椅子と机の位置を不規則に変え、床には鞄やスリッパ、小さな箱を置き、壁際には充電用のコードまで垂らしてある。普通に暮らしていれば十分にあり得るが、ロボットにとっては嫌がらせのような環境だった。


「以前より、ずいぶん意地悪な部屋になりましたわね」


 玲奈が室内を見回すと、瀬川はこれくらいで動けなければ普通の家庭へ出せないと笑いながら、試作機を充電台から出発させた。


 小型の機体は椅子の脚の間を抜け、床へ伸びたコードの手前で進路を変える。鞄の横を回り込み、そのまま低い棚の下へ潜り込んだあと、反対側から出てきた。


 途中でスリッパへ軽く触れたものの、そのまま押し続けることはせず、位置を認識し直して別の方向へ進んでいく。


 玲奈は口を挟まず、動きを追った。


 五分が過ぎ、十分が過ぎても、人間が助ける必要はない。


 十五分を越えたところで一度狭い場所へ入り込んだが、数秒停止したあと自分で後退し、角度を変えて抜け出した。


 最初の試作機なら、その時点までに何度も人間の手を借りていただろう。


「商品になりそうですわね。少なくとも、最初に見せていただいた『小さいロボット掃除機』より、今の方が何を売りたいのか分かります」


 玲奈がそう告げると、長く試作を続けてきた技術者たちの表情がわずかに緩んだ。


 ただし瀬川は慎重だった。


 まだ長時間の耐久試験が残っており、異なる間取りでも同じように動けるか確認する必要がある。価格についても、センサーや制御機能を増やした結果として高くなりすぎれば、小型という特徴だけでは選んでもらえない可能性があった。


 玲奈も、試験が一度成功しただけで発売を決めるつもりはない。


「量産へ向けた検討は始めてくださいませ。ただし、発売日を先に決める必要はございません。価格と耐久性、それから複数の家庭環境での試験結果を見てから最終判断いたしましょう」


 最初の企画書では、東雲精機の技術を使えばロボット掃除機を作れるというところから始まっていた。


 今は違う。


 狭い場所へ入りやすく、多少散らかった部屋でも人間へ助けを求める回数を減らす。そのために小型モーターが必要となり、ネクサリンクの移動制御が必要となり、北辰電池や相馬電子技研の技術も必要になる。


 ようやく、各社が一緒に作る理由が商品そのものへ現れていた。


 既存の商品すべてに勝つ必要はない。


 この商品を必要とする人間にとって、他の商品より便利であればいい。


 それが、玲奈たちが二つ目の商品企画で見つけた答えだった。


 そして数日後、皇電機の商品企画部では、東雲精機が小型ロボット掃除機の開発を進めているという情報が市場調査の一項目として報告されていた。


 以前の会議で取り上げたときは、《Aster One》という一つの商品だけだった。


 今回は二つ目になる。


 担当役員は報告書を読みながら、東雲精機が単独で開発しているのではなく、ロボット企業や電池会社、電子制御会社と協力している点にも目を留めた。


「発売時期は決まっているのか?」


「まだです。量産検討へ入ったという段階ですので、正式発表もされていません。ただ、家庭環境での試験をかなり重ねているようです」


 担当者の説明を聞きながら、役員は以前の会議で自分が口にした言葉を思い出していた。


 一つだけなら、偶然で終わる。


 二つ続くなら、話は変わる。


 もちろん、二つ目はまだ売れていない。


 開発に成功したとしても、市場で受け入れられる保証はなく、皇電機と東雲精機では販売網も生産能力も企業としての規模も大きく異なる。


 それでも、最初の商品が偶然当たっただけの会社なのかを確認する理由は生まれていた。


「発売されたら、一台買ってくれ。競合製品だからというより、まずは普通の客として使ってみたい」


 担当役員は資料を閉じかけてから、《Aster One》の発売直後に重量問題が話題になったことを思い出したらしく、少しだけ笑った。


「性能表だけ見て判断して、あとから『持ってみたら重かった』では格好がつかないからな。今度は最初から、自分たちで触って確かめよう」


 会議室にも小さな笑いが広がったが、誰も東雲精機を笑っていたわけではない。


 むしろ、発売後すぐに欠点を認めて改善へ動いた会社だからこそ、その次に何を作るのかが調査対象になっている。


 東雲精機はまだ小さく、天城ホールディングスも皇電機と並べて語るような規模ではなかった。


 それでも一つ目の商品で市場へ入り、二つ目の商品を作り始めたことで、玲奈たちはようやく大手メーカーから継続して観察される存在になり始めていた。


 玲奈自身は、皇電機の会議で自分たちの商品が話題になっていることなど知らない。


 彼女が考えているのは、次の試作結果と量産した場合の価格、それから間もなく始まる高校二年生としての生活だった。


 一つの商品が売れたから、次も作る。


 そんな単純な成長を、玲奈は望んでいなかった。


 なぜ作るのかを考え、必要としている人間を探し、自分たちだから実現できる形へ変えてから市場へ出す。二つ目の商品でその習慣を会社へ残すことができれば、玲奈が一つ一つ答えを出さなくても、三つ目からは社員たち自身が同じ問いを投げかけられるようになる。


 玲奈にとって、それこそが二つ目の商品を作る最大の意味だった。

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