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悪役令嬢、現代日本に転生する~処刑された元公爵令嬢は、今度こそ自分の才能を自分のために使います~  作者: にゅん


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お金だけでは買えませんの?

 北辰電池を訪問した翌日、玲奈は自室の机へ資料を広げていた。昨日の工場見学で聞いた内容と、秘密保持契約を結んだあとに開示された資料、それに同行した隆一から聞いた技術面の感想まで整理すると、公開情報だけを調べていた段階より会社の姿がかなり見えてくる。


 財務状態は、少なくとも東雲精機を初めて調べたときほど危うくない。営業利益は年度によって上下しているものの黒字を維持しており、借入金も返済不能を心配する水準ではなかった。主要顧客への依存はあるが、一社が売上の大半を占めるほど極端でもない。


 玲奈が気になったのは、むしろ今後必要になる投資だった。現在の利益だけを見れば安定した会社に見えるものの、安全性に関わる試験設備の更新や、新しい製品へ対応するための開発費まで考えると、買収後に追加で資金を入れる必要がある。


「買った金額だけ考えていては駄目ですわね。東雲精機でもそうでしたけれど、会社は買った翌日からお金を使わなくなるわけではありませんもの」


 玲奈は買収価格とは別に、取得後三年間で必要になりそうな投資額を概算していった。設備、研究開発、人材採用、給与、営業体制の強化まで考えれば、取得費用だけを用意して終わりにはできない。


 さらに今回は、東雲精機との連携も考える必要がある。


 モーターとバッテリーを組み合わせれば、顧客へ提供できるものは増える。しかし実際に一緒に仕事をするなら、設計情報をどう共有するのか、営業窓口をどうするのか、どちらの会社が案件全体へ責任を持つのかといった問題が生まれる。


 二つの会社を所有すれば、自動的に相乗効果が発生するわけではない。


 その当たり前の事実を、玲奈は東雲精機を持った今だからこそ実感できた。


 数日後、玲奈は外部の会計士と弁護士、それに技術調査を依頼した専門家を交えて打ち合わせを行った。北辰電池の資料はさらに精査され、過去の業績だけではなく、主要契約や知的財産、品質管理、安全面での記録まで確認範囲が広がっていく。


「現時点で、致命的な問題は見つかっています?」


 玲奈が尋ねると、会計士は資料を確認してから首を横へ振った。


「少なくとも、現段階で買収検討を中止すべき重大な問題は見つかっていません。ただし、設備投資については想定より少し多めに見ておいた方がいいでしょう」


「買収後に必要になる資金まで含めて判断します。購入価格へ使えるお金を全部使ってしまうつもりはございません」


 東雲精機を買った経験が、ここでは役に立っていた。


 一社目のときには、会社そのものへ値段を付けることに意識を向けるだけでも精一杯だった。今回は会社を買ったあとに何が始まるのかを、以前より具体的に想像できる。


 技術調査を担当している専門家からも、大きな問題は報告されなかった。


 北辰電池が世界で唯一の技術を持っているわけではない。資金を大量に投入すれば誰にも追いつけないような、魔法じみた優位性があるわけでもなかった。


 それでも、小規模案件へ柔軟に対応してきた経験と、安全性を含めた設計・評価の蓄積には価値がある。


 東雲精機と似ている。


 技術そのものだけではなく、その技術を使って顧客の細かな要求へ応えてきた人間たちに価値がある会社だった。


「……また、人ですのね」


 玲奈が呟くと、美咲が隣から娘を見た。


「何か言った?」


「いいえ。少し考えていただけですわ」


 玲奈は資料へ視線を戻した。


 御堂から聞いた言葉を、そのまま答えとして使うつもりはない。


 自分で確かめたかった。


 会社の価値のうち、数字へ直接表れない部分がどれほど大きいのかを。


 北辰電池について調査を続ける中で、玲奈は一つ気になる数字を見つけた。主要取引先の中に、三十年以上関係が続いている企業が複数存在している。


 長い付き合い自体は珍しくない。


 しかし過去の資料を遡ると、北辰電池は単に製品を納入してきただけではなく、取引先の新製品開発へ早い段階から参加した実績が何度もあった。


「北村社長個人の人脈なのでしょうか。それとも会社としての関係なのでしょうか」


 玲奈は質問項目へ追加した。


 東雲精機で隆一への依存を減らそうとしている以上、同じ問題を抱えた会社を何も考えずに買うわけにはいかない。


 ところが調べていくと、北辰電池は玲奈が想像していたより組織的だった。


 北村一人だけが顧客と話しているわけではなく、営業責任者や技術責任者が長年の取引先と直接関係を築いている。社長が退けば全ての顧客が消えるような会社ではなかった。


 それは玲奈にとって好材料だった。


 同時に、別の疑問も生まれた。


「これだけ社内に人が育っているのでしたら、なおさら社内承継ができそうに見えますわね」


 その疑問への答えは、二回目の北辰電池訪問で少しずつ明らかになった。


 今回は経営陣との面談が中心だった。


 北村だけではなく、五十代の営業責任者、四十代後半の技術責任者、管理部門の責任者も参加している。玲奈は彼らへ、自分が北辰電池を取得した場合に考えている方針を説明した。


「東雲精機と北辰電池を、すぐ一つの会社へ統合するつもりはございません。それぞれ別の会社として残したうえで、共同で受けられる案件があれば協力する形から始めたいと考えております」


 技術責任者が玲奈へ質問した。


「将来的には統合する可能性がありますか?」


「必要性があるなら検討します。ただ、二社を一つにすること自体を目的にはいたしません。別会社の方が動きやすいのであれば、その形を維持します」


「北辰という社名は?」


「変更する理由が今のところございません。名前を変えれば利益が増えるというのでしたら検討いたしますけれど」


 何人かが少し笑った。


 玲奈は冗談だけを言ったつもりでもなかった。


 ブランドを統一することで利益が出るなら考える。しかし四十年以上使ってきた社名を、買収したという理由だけで消すことに価値は感じない。


 次に営業責任者が尋ねた。


「人員削減は考えていますか?」


「買収したという理由だけで解雇するつもりはございません。ただし、将来どのような状況になっても絶対に一人も減らさないとは約束できません。それは、わたくしには責任を持てない約束です」


 玲奈は東雲精機のときと同じように、できない約束をしなかった。


 社員を安心させるためなら何を言ってもいいとは思わない。


「むしろ現時点では、技術者については不足する可能性を心配しております。東雲精機と共同で新しい案件を取るなら、現在の人数で足りるのか確認したいくらいですわ」


 技術責任者の表情が少し変わった。


「本当に東雲と組ませるつもりなんですね」


「その可能性に価値を感じております。ただし、北辰電池単独でも利益を出せる会社であることが前提です。東雲精機を助けるためだけに北辰電池を買うつもりはございません」


 面談は二時間近く続いた。


 玲奈は質問されるだけではなく、こちらからも経営陣へ尋ねた。


 会社に残る意思はあるのか。


 現在の経営で変えたいところは何か。


 設備投資で最優先したいものは何か。


 若手社員の定着率をどう見ているのか。


 北村が退任したあと、誰がどの判断を引き継ぐのか。


 数字だけを確認していた東雲精機の買収前より、玲奈の質問は明らかに人間へ向くようになっていた。


 面談が終わったあと、北村だけが玲奈たちを別室へ呼んだ。


「天城さん。一つ、聞いてもいいですか」


「もちろんです」


「どうして二社目が欲しいんです?」


 玲奈は少し考えた。


 東雲精機と組み合わせれば面白い。


 バッテリーとモーターを持てば、提案できる範囲が広がる。


 会社そのものにも利益を出す力がある。


 理由はいくつもある。


 しかし北村が聞いているのは、もっと根本的な部分だと感じた。


「できることを増やしたいからですわ」


 玲奈はそう答えたあと、言葉を続けた。


「東雲精機を買う前のわたくしは、会社を一つ持てば、その会社の技術を使えるようになると考えておりました。実際に買ってみると、そんなに簡単ではございませんでしたけれど」


「でしょうね」


「ですが、面白かったのです。東雲精機だけでは受けられなかった仕事がございます。北辰電池だけでは難しい仕事もあるでしょう。その二つが組めば、新しくできることが増えるかもしれません」


 北村は黙って聞いていた。


「もちろん、組み合わせだけが理由ではございません。北辰電池そのものが会社として残る価値を持っていると判断できなければ、買収いたしません」


「正直ですね」


「欲しいからといって、何でも買っていましたらお金がなくなりますもの」


 北村が声を出して笑った。


「十四歳の子から聞く台詞じゃないな」


「最近よく言われますわ」


 そこで面談は終わった。


 帰り際、玲奈は前回のように御堂と鉢合わせることはなかった。


 しかし仲介担当者から、買い手候補の選定は少しずつ進んでいると聞かされた。


 玲奈たちは候補として残っている。


 他にも複数いる。


 その中に御堂グループがいることは、もう隠す意味もなかった。


 数日後、玲奈側には次の段階へ進むための条件提示を求める連絡が届いた。


 買収価格だけではない。


 買収後の経営方針、雇用、設備投資、現経営陣の扱い、北村の引き継ぎ期間などについて、具体的な提案を出す必要がある。


 玲奈は専門家たちと何度も数字を確認した。


 北辰電池の価値を低く見積もるつもりはない。


 しかし御堂グループと競争しているからといって、上限なく価格を引き上げるつもりもなかった。


「ここまでですわね」


 玲奈は最終的に、自分が合理的だと思える上限を決めた。


 その金額を超えるなら諦める。


 東雲精機の設備投資や運転資金まで削って北辰電池を買うのでは、本末転倒だった。


 提示する条件についても整理した。


 北辰電池の社名は維持する。


 買収を理由とした一律の人員削減は行わない。


 現在の経営陣には、本人が希望し能力上の問題がない限り残ってもらう。


 必要な試験設備について、取得後の投資計画へ組み込む。


 東雲精機とは段階的に共同案件を増やし、最初から組織統合は行わない。


 北村には一定期間残ってもらうが、北村一人へ判断が集中しない形で引き継ぐ。


 玲奈は条件を確認してから、美咲へ資料を渡した。


「どう思います?」


「玲奈が本当にこの条件で経営できると思っているなら、私はいいと思う。ただ、一つだけ聞いていい?」


「何でしょう?」


「御堂さんに勝ちたいから、無理してない?」


 玲奈は母親を見た。


 すぐに否定しようとして、少しだけ考え直した。


 御堂と競うのが楽しいという気持ちはある。


 自分より遥かに経験のある相手と同じ会社を見て、どちらが取得するのか競うことに高揚しているのも事実だった。


 だからこそ、その感情が判断へ入り込んでいないか確認する必要がある。


 玲奈はもう一度、買収価格と取得後の投資計画を見直した。


「……欲しいですわ」


「うん」


「お爺様に勝ちたい気持ちもございます。ですが、お爺様が明日この案件から撤退したとしても、わたくしはこの条件なら北辰電池を買いたいです」


 美咲は娘の顔をしばらく見てから、穏やかに頷いた。


「それなら、いいんじゃない?」


「ええ。これで出します」


 玲奈側の提案が正式に提出された。


 あとは北辰電池側が判断する。


 玲奈は自分にできることを終えたつもりだった。


 ところが、それから数日後。


 玲奈のもとへ、北村から直接会いたいという連絡が届いた。


 条件について確認したいことがあるという。


 玲奈は美咲とともに指定された場所へ向かった。


 北辰電池本社ではなく、都内の小さな料亭だった。


 案内された個室へ入ると、北村が一人で待っていた。


「急に呼び出して申し訳ありません」


「構いません。条件についてのご質問でしょうか?」


「それもあります。ただ、その前に天城さんへ話しておいた方がいいことがあります」


 北村の表情は、これまでより少し硬かった。


 玲奈は席へ座り、相手の言葉を待った。


「御堂グループが候補にいることは、もうご存じですよね」


「はい。偶然こちらでお会いしましたので」


「そうでしたね」


 北村は苦笑したあと、しばらく言葉を選んだ。


「私は、御堂会長と三十年以上の付き合いがあります」


 玲奈は瞬きをした。


 知らなかった。


 資料には当然、そんなことは書かれていない。


「北辰電池と御堂グループが、ですか?」


「それもあります。ただ、それだけじゃありません。私個人もです」


 北村は昔を思い出すように目を細めた。


「うちがまだ今よりずっと小さかった頃、大きな不良を出したことがありましてね。取引先を一つ失えば済むような話じゃなくて、会社が傾きかけました」


 玲奈は黙って聞いた。


「そのとき、御堂さんが助けてくれたんですか?」


「助けた、という言い方を本人は嫌がるでしょうね。金をくれたわけでも、借金を肩代わりしてくれたわけでもありません」


 北村は少し笑った。


「仕事をくれたんですよ。ただし、安く買い叩くこともしなかった。品質を戻せるなら、この条件で納めてみろってね」


 玲奈は初めて聞く話だった。


 御堂が七十二歳なら、三十年以上前にはすでに四十歳前後だったことになる。


 現在ほど巨大ではなかったとしても、経営者として動いていた時期だ。


「それで会社が立ち直ったのですか?」


「御堂さんの仕事一つだけで立ち直ったわけじゃありません。ただ、あの実績が信用になりました。それから少しずつ取引先を戻して、今があります」


 北村はそこで一度言葉を切った。


「もちろん、だから無条件で御堂さんへ売ると決めているわけではありません。それなら最初から他の候補と会っていません」


 玲奈は頷いた。


 しかし同時に理解していた。


 これは、数字に載らない。


 貸借対照表にも、損益計算書にも、企業価値評価の計算式にも直接は現れない。


 三十年以上の付き合い。


 会社が危なかった時代に始まった関係。


 その後も積み重ねてきた信用。


 玲奈が北辰電池を調べ始めてから数週間で作れるものではなかった。


「わたくしに、そのお話をされた理由を伺っても?」


 北村は玲奈をまっすぐ見た。


「天城さんの提案は、良かったです」


 玲奈は黙って続きを待った。


「値段だけじゃありません。社員のことも、設備のことも考えてくれている。東雲精機と組ませる話も、うちの連中は面白がっています」


「ありがとうございます」


「だから、迷っているんですよ」


 その言葉で、玲奈はようやく状況を正確に理解した。


 自分の提案が悪いから負けているわけではない。


 価格が明らかに低いわけでもない。


 事業計画が評価されていないわけでもない。


 それでも、御堂には自分が持っていないものがある。


 時間だった。


 三十年以上をかけて作った関係そのものが、御堂征一郎の提示条件の一部になっている。


 玲奈は初めて、自分の若さが買収交渉の中で明確な不利として存在することを実感した。


 十四歳であることは、これまで速度という強みにもなった。


 余計なしがらみが少なく、面白いと思ったものへ自分で判断して動ける。


 しかし十四年間しか生きていない人間には、三十年の信用を持つことだけは絶対にできない。


 どれほど頭が良くても、努力しても、金を持っていても、その場で買うことのできないものがある。


「……なるほど」


 玲奈は静かに息を吐いた。


 悔しくないと言えば嘘になる。


 それでも、条件を上げれば解決する問題ではないことは分かった。


「北村様。わたくしから提示した金額を上げることはいたしません」


 北村が少し驚いた。


「いいんですか?」


「わたくしが北辰電池へ支払える価値として、あの金額を提示しました。お爺様との関係を壊すためのお金まで上乗せするつもりはございません」


 玲奈は穏やかに続けた。


「そのうえで、わたくしの提案と御堂グループの提案を比べて、北辰電池にとって良いと思う方を選んでくださいませ」


「負けるかもしれませんよ」


「買収ですもの。相手がいる以上、当然でしょう?」


 口ではそう言えた。


 だが玲奈の胸の奥には、今までとは違う感情が残っていた。


 東雲精機では、自分が動けば結果が変わった。


 価格交渉でも、ウェブサイトの改革でも、調べて考えて修正すれば前へ進めた。


 今回は違う。


 今から努力しても埋められない差がある。


 玲奈はそれを初めて突きつけられていた。


 北村との面談を終えて外へ出ると、美咲が隣を歩きながら娘を見た。


「玲奈、大丈夫?」


「ええ。ただ……少し悔しいですわね」


「まだ決まったわけじゃないでしょう?」


「そうですけれど、今までとは違います。わたくしがもっと勉強すれば解決する問題ではございませんもの」


 美咲はすぐに励まそうとはしなかった。


 玲奈も、それを求めていなかった。


 自分より先に生きてきた人間が持っているものを、十四歳の自分が持っていない。


 それは当然のことだった。


 しかし、当然だから悔しくないわけではない。


 数日後、北辰電池から正式な連絡が届いた。


 玲奈は自室でその内容を最後まで読み、しばらく画面を閉じなかった。


 北辰電池が最終的な譲渡先として選んだのは、御堂グループだった。


 玲奈の二度目の企業買収は、成立しなかった。


 提示価格が足りなかったからではない。


 調査で重大な問題を見落としたからでもない。


 玲奈の経営方針が拒絶されたわけでもなかった。


 北村が最後に選んだのは、長年にわたって会社と自分を知り、これまで何度も関係を積み重ねてきた御堂征一郎だった。


 玲奈は椅子へ背中を預けた。


 悔しかった。


 それでも、北辰電池を無理に高値で買わなかったことを後悔してはいない。


 自分が合理的だと思った条件を出し、それでも相手が別の買い手を選んだのなら、その結果は受け入れるしかない。


 玲奈は北辰電池の資料を閉じようとして、スマートフォンが震えたことに気づいた。


 表示された名前を見た瞬間、眉が動いた。


 御堂征一郎。


 玲奈は数秒だけ画面を眺めてから、通話へ応じた。


「ごきげんよう、お爺様。わざわざ勝利宣言のお電話ですの?」


『負けた直後でも口は減らねえな、小娘』


「泣いて差し上げた方がよろしかったです?」


『気色悪いからやめろ』


 玲奈は思わず笑いそうになったが、すぐに表情を戻した。


「それで、ご用件は?」


『明日の夕方、時間を空けろ』


「命令ですの?」


『嫌なら来なくていい。ただ、今回お前が何を見落としたか知りたくないならな』


 玲奈の表情が変わった。


 自分は何かを見落としたのか。


 北村との関係だけではないのか。


「……場所を送ってくださいませ」


『素直じゃねえか』


「使える話なら聞くと、以前お爺様から学びましたので」


『そういうところだけ覚えやがって』


 通話が切れたあと、玲奈は北辰電池の資料をもう一度開いた。


 財務も見た。


 技術も調べた。


 設備投資も計算した。


 社員とも話した。


 北村の希望も聞いた。


 それでも御堂は、玲奈が何かを見落としていると言った。


 翌日。


 玲奈はその答えを聞きに行くことになる。


 そしてそれは、北辰電池を買えなかった理由だけではなく、玲奈がこれから何社もの会社を持とうとするなら、決して避けて通れないものだった。

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