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最終話

 


 結婚式は滞りなく終わりました。幼馴染のルドルフが式の最中に異議を申し立てることもなく。

 両親の喜びっぷりに周りの人たちは少々引いていたけれど、大きな問題はございませんでした。

 


 わたくしはずっと会いたかったアレク(アレックス様呼びから結婚を機に変えました!)のお姉様ともお会いすることができました。

 想像よりもはるかに悪役令嬢っぽくてわたくしは感動いたしました。

 艶々とした黒い巻き髪をゴージャスに結い上げ、真っ赤なドレスが非常にお似合いの美人。旦那様は熊のように大柄かつ毛深いお方で、悪役令嬢をその大きな体と包容力でお守りになられているように感じました。



 さて、初夜ですが。

 結論から申しますと、めくるめく夜はやってきませんでした。わたくし達にはやはり媚薬が必要だったのです。アレクに言わせると、

「違法薬物は取り締まられます。犯罪です。」

とのことですが、媚薬が欲しくなるほど大変だったのです。

 わたくしだけではありませんわ。アレクにとってもです。

 なんとか。なんとか遂行できた時には二人で達成感に打ち震えたものです。

 アレクは申告通り、絶倫ではありませんでしたが、わたくしにはそれで良かったです。絶倫を夢見ていた過去のわたくしがいかに世間知らずであったか、今なら分かりますとも。ミランダの言うことは正しかったのです。

 ミランダと言えば、彼女はわたくしの結婚式の直前に妊娠が発覚いたしました。トーマス。普通の男の皮を被った狼。

 ミランダは今、悪阻が酷いのでわたくしの実家での侍女の仕事を休んでおります。トーマスとの結婚式は、出産後になるようです。わたくしは物申したい気持ちでいっぱいですが、ミランダは体調が悪い中でも幸せそうではあるので、耐え忍んでいます。

 


 実は最近、新しいジャンルを見つけましたの。

「夫婦の日常」系です。

何も事件は起こらないのですが、読むとほっこり幸せ気分になれるのです。

幸せな夫婦に過激な設定はなくてもいいのではないか、と私の価値観が揺さぶられました。



 とはいえ。

 明日にでもアレクが記憶喪失になるかもしれないし、突然幼児化するかもしれません。

 わたくしも、そのうち前世の記憶を思い出すような気もします。



 わたくしの乙女小説脳はそう簡単には治りそうもありません。



 おしまい。


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