第百八十八話 空と仲間と地下街道
時は宿屋を出てから数十分後。
現在、空たちは件の地下街道の前へとやってきていた。
「へぇ、これが地下街道か。なんだか、想像以上の大きさだね」
「空の言う通りなんだから! トンネルなんかとは、比較にならないわね!」
と、空に同調してくる胡桃。
それも当然である。
なんせこの街道。
入り口だけで、日本の一般的な街道の五倍ほどあるように見える。
ようするに、天井までの距離が、下手なビルよりよほど高いのだ。
けれど、空はここで一つ思うことがある。
「これって地下街道の入り口なんだよね? 見た感じ、山を通そうとしているけど……山が邪魔でトンネルを作ったなら、どうして地下に道をやらないとダメなの?」
道を下に向けるのではなく、まっすぐ向ける方がいいに決まっている。
と、そう考えての質問だったのだが。
「確かに、山だけならばその通りです」
と、空の質問に答えてくるのはリーシャである。
彼女は空へと続けて言ってくる。
「この先には大きな川があるんです。それこそ、海のように大きな川が」
「あぁ、なるほど。だから、その川の下を通さないとダメなのか」
「はい!」
「ちょっと待ちなさいよね!」
と、言ってくるのは胡桃である。
彼女はリーシャへ続けて言う。
「川を船で渡るのはダメなの? その方が早いし、安全そうじゃない?」
「そう考えられるのも当然です。ですが、その川には危険で巨大な魔物がたくさん生息しているんです……リスクを考えるなら、街道の方がまだ」
申し訳なさそうなリーシャ。
つまり、川を行けば魔物に船を破壊されるリスクが高すぎる。
と言いたいに違いない。
(まぁなんにせよ、ここ以外に道はないってことか)
空はそう考えたのち、皆をつれていよいよ地下街道へ進むのだった。