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第百八十六話 空と仲間の力②
勇者の力が分け与えられる条件。
一つは勇者と親密な関係であるとこ。
そして、それがどのような時に発動するかというと。
(なるほどね、僕が『一緒に何かをする仲間』だと思っていれば、発動するわけか)
考える前に即行動に移すのは危険な気がしたが、胡桃の結果オーライである。
なんにせよ、これならば件の街道も抜けられるに違いない。
「クー! これすごい、ほら!」
と、聞こえてくるシャーリィの声。
空がそちらの方を見てみると。
バキバキバキッ!
ドゴンッ!
シャーリィがパンチしたに違いない。
それなりに大きな木が、地面へと倒れていた。
(すごい力だな。胡桃もそうだけど、レベルなしであれだけの力が出るっていうことは……)
いったい空の力はどうなっているのか。
なんせ、空は胡桃やシャーリィとは違う――レベル4の上に力が乗せられているのだ。
しばらくは力の加減に気をつけた方がいいに違いない。
と、空がそんな事を考えていたその時。
「え、えい!」
聞こえてくる必死な声。
見ると、そこではリーシャが木をぺしぺししているのだった。