第百八十四話 空と集まる勇者の仲間③
「ねぇ、空。あの白い子、自分の身体はあんたのものって言ってるけど……どういうことか説明してくれる?」
と、頬をぴくぴく言ってくる胡桃。
空はそんな彼女を見て思った。
(え、なんで胡桃、怒ってるの!? なんか昼ドラとかである、好きな人の不倫現場みたいになってるんだけど……)
空は胡桃に好かれてはいないはず。
にもかかわらず、どうしてこんな状況になっているのか。
とにかく、なにか言わなければならない。
「あ、えっと……そう、だね! 紹介がまだだったね!」
と、空はリーシャの方を一度見たのち、胡桃へと言う。
「彼女はリーシャ。まぁ、今回の件の依頼主みたないものかな」
「リーシャね……確かに見るからに聖女っぽいわね! まぁ、ここはとりあえずよろしく、と言っておくんだからね!」
と、胡桃がそんな挨拶をしたのを確認。
空は続けてリーシャへと言う。
「それで彼女は胡桃。僕と同じ学校に通っていて……あと当然だけど、今回の旅に同行してくれる」
「よろしくお願いします、クルミ様。この度は――」
と、リーシャの言葉はそこで止まる。
その理由は簡単である。
「あ、あの……クルミ、様?」
と、おどおどと言った様子のリーシャ。
胡桃はそんなリーシャの超至近距離まで行き、彼女の顔をじっと見ながら言う。
「これだけは聞いておきたいんだけど、あんた……空とどういう関係?」
「関係、ですか?」
と、困った様子のリーシャ。
彼女はすぐさまいつものお祈りポーズで、胡桃へと言う。
「まだ関係と言えるものは築けていないかもしれません……ですが、共に支え合えるような関係になれればと思っています」
「共に支え……へ、へぇそう。それってふ、夫婦ってこと?」
「勇者様がそれを望むのならば、わたしはそのようにしたいと思います。わたしの望みは、勇者様の望みそのものなのですから」
「空……ちょっと、空」
と、とてとて歩いて来る胡桃。
彼女は空の両肩に手を置いて、真正面から言ってくるのだった。
「よく聞きなさい。あの子は危険よ……だから、あたしから目を離したら絶対に駄目なんだからね!」