第百八十三話 空と集まる勇者の仲間②
『ゆ、勇者様!? こ、これはその――』
『クー! おかえりなさい、だ!』
と、空が秘密の百合現場を目撃してから、時は数分後。
空はリーシャから、何が起きていたのか事情説明を聞いていた。
「と、いうことなんです! ですから、決してそういう事をしていたわけではありません!」
と、必死なのは当然リーシャである。
彼女は空へとさらに言葉を続けてくる。
「勇者様、どうかお許しください……わたしの身体は勇者様だけのものです!」
「いや、そもそも怒ってないと言うか」
そもそもリーシャに何があったのか自体、空はまったく聞いていない。
空がゲートをくぐった直後、リーシャがマシンガンの様に喋り始めたのだ。
その間シャーリィはというと。
「シャーリィとリーシャは同じなんだ! 姉妹になったんだ!」
などと、よくわからないことを言っていた。
(なんにせよ、僕がいない間に仲良くなったみたいでよかったな)
シャーリィとリーシャは、今もベッドの上で身を寄せて座っている。
どちらかというと、シャーリィがリーシャに体を押し付けている感あるが。
と、空がベッドの前に立ち、そんな事を考えていると。
くいくい。
くいくいくい。
引かれる空の袖。
空の横に立っていた胡桃である。
「ねぇ、空。あの白い子、自分の身体はあんたのものって言ってるけど……どういうことか説明してくれる?」
言って、彼女は阿修羅の如き笑顔を、空へと向けてくるのだった。