第百八十話 リーシャとシャーリィ②
(勇者様が戻るまでに仲良くなりたいですし、何かお話でも)
けれど、リーシャはここでとある事に気が付く。
それは。
(ど、どうしましょう……わたし、同年代の女の子とお話したことが)
ない。
リーシャの記憶が正しければ、友達感覚で話したのは皆無だ。
しかし、いつまでも黙っているわけにはいかない。
(シャーリィ様と話をして、打ち解けないと勇者様にも迷惑が……えっと、シャーリィ様が喜びそうな話は……っ!)
と、ここでリーシャはまたも気が付く。
しかし、今回はいい方向の気付きだ。
「あの、シャーリィ様。突然ですが、わたしの名前はご存知ですか?」
「知ってる! リーシャの名前はリーシャだ! 聖女なんだ!」
と、元気よく言ってくるシャーリィ。
リーシャはそんな彼女へ言う。
「はい、わたしの名前はリーシャです。そして、あなた様の名前はシャーリィ……似ていると思いませんか?」
「シャーリィとリーシャがか? 全然似てない! シャーリィは狐だけど――」
「あ、いえ違います! 名前です、名前が似ているな……と」
と、リーシャはベッドから降り、机の方へと行く。
そして、そこでとある文字を書いた後、再びベッドへ戻ると。
「ほら、見てください」
と、リーシャがシャーリィに見せたのは、紙に書かれた文字だ。
その文字とは。
リーシャ。
シャーリィ。
「わたしの名前をひっくり返したら、シャーリィ様と殆ど同じです」
「ほんとだ! 一緒だ!」
と、尻尾をふりふりシャーリィ。
どうやら興味を持ってくれたに違いない。
リーシャはそんな彼女に言うのだった。
「わたし達、姉妹みたいですね!」