第百七十八話 空と勇者の仲間達④
(この前のショッピングモールの件、あれが時雨にばれたら確実に怒られる)
と、そんな事を考えたのが悪かったに違いない。
「……兄さん、何かわたしに隠していませんか?」
などと、ジトっと言ってくる時雨。
彼女は更に空へと続けてくる。
「聞くタイミングを逃していたのですが……この前、ショッピングモールで怪人が現れたようなのですよ」
「へ、へぇ……物騒だね」
「えぇ、本当に物騒ですよ。でも、謎のヒーローが現れて、怪人を倒してくれたみたいです」
「よ、よかったね」
「そのヒーローは頭に紙袋を被っていたそうです」
と、そこで時雨は空の肩に手を乗せてくる。
その瞬間、空は直観的に理解した。
やばい。
この場を何とかして切り抜けなければ、戦争が始まってしまう。
それだけは避けなければならない。
よって、ここは胡桃の協力も得た方が――。
「あ、部屋に戻って食料とか、準備してくるわね! 食べ物系はあたしがしっかりやるから、任せなさいよね!」
無情。
胡桃はさっさと部屋から出て行ってしまう。
きっと、面倒な気配をいち早く嗅ぎつけたに違いない。
「兄さん、よそ見をしないでください……わたしの目を見てください」
と、至近距離から言ってくる時雨。
彼女はジーっと空を見つめながら、続けてくるのだった。
「兄さん……怪人が出た時に、ショッピングモールに居ませんでしたよね? 胡桃さんからは、その時はもう別の場所に居たと聞いていますが……兄さんからも教えてください」