第百五十六話 空と胡桃は走ってみた
「さ、さすがにここまで来れば大丈夫よね!」
と、息を切らせながら言ってくるのは胡桃である。
彼女がそうなっている理由は簡単だ。
空と胡桃は怪人を倒した後、マッスルの言葉に従ってひたすら逃げた。
ノンストップでショッピングモールの外――近くの丘の上公園までかけた。
(僕はレベルの関係で全然疲れなかったけど、胡桃は大変だったろうな)
胡桃はレベルがない以上、あくまで人の限界を超える体力は持ちえないのだから。
と、空が考えていると。
「ふぅ……つ、疲れたけど、やっぱりこの公園……け、景色が綺麗ね。お、丘の上に……っ、あるだけ、あるわね!」
言ってくる胡桃。
空はそんな彼女に言う。
「大丈夫? 呼吸整えるまで、少し静かにしてた方がいいんじゃない?」
「う、うっさいわね! だ、大丈夫……大丈夫なんだから!」
と、無理矢理と言った様子で呼吸を整え始める胡桃。
そんな彼女の動作から数秒後。
「ほ、ほら! もう大丈夫なんだから!」
と、ドヤ顔をしてくる胡桃。
彼女はさらに続けて空へと言ってくるのだった。
「それより空、あっちに行きましょ! 展望台があるみたいなんだから!」