第百五十四話 空はボーガンと戦ってみる②
「弱いし、遅い。あなたのは所詮ただの暴力……マッスルさんの力はあなたより弱いかもですけど、よほどプレッシャーを感じましたよ」
「ぐ、ぐはは、ぐははははははははっ! 何を言うかと思えば……そこのバカの方が俺よりプレッシャーを感じるだと!?」
と、ボーガンは空の頭に手を置きながら続けて言ってくる。
「もう一度言ってみろ。もしアホなことを言えば、この紙袋ごとお前の頭が潰れるぞ……ぐははははははははっ!」
「何度だっていいますよ。正義を伴わない力はただの暴力だ。僕は暴力を嫌悪する……あなたの暴力は最低最悪、マッスルさんと同じ土俵にすら立って――」
「死ね」
ボーガンは空の頭を潰すため、かなりの力を入れているに違いない。
けれど、すぐに異変は起きる。
「あ、あれ? く、くそ! なんで! なんで潰れない……ぐ、ぐぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
と、なおも続けてくるボーガン。
空はため息一つ、奴の手首を掴みながら言う。
「こういうことですよ。あなたの暴力では、僕の正義は……僕とマッスルさんの正義の炎は潰せない!」
「せ、正義の炎……だと!? 貴様はいったい、何者だ!? 正義とはいったい、なんなんだ!?」
と、ボーガンはようやく空の実力に気が付いたに違いない。
奴は必死に空に掴まれた手首を、なんとかしようとしている。
だがもう手遅れた。
「最後に教えてあげます……」
空はボーガンの手首を握る手と反対の手を引き。
「これが、正義だ!」
ボーガンの腹部へ全力の一撃を入れる。
直後、ボーガンは凄まじい速度で吹っ飛んでいき、地面へと倒れる。
奴が動くことはそれきりなかったのであった。