第百三十二話 空と胡桃の問題点
「クー! 居た! 探してる魔物だ!」
と、言ってくるのはシャーリィである。
空はそんな彼女へと言う。
「うん、ありがとう。さすがシャーリィだね、狙った魔物を見つけられるなんて」
「狐娘族の鼻はいいんだ! でも、褒められると嬉しい!」
「よしよし」
「えへへ……撫でられちゃったぞ!」
「あんたたち……バカじゃないの?」
と、冷たい声を投げかけてくる胡桃。
何故か不機嫌そうな様子の彼女は、更に続けて空へと言ってくる。
「まぁいけど……それで、あれがあたしの次の経験値?」
「そうだけど、魔物を経験値って呼ぶのやめようよ。さすがに可哀想でしょ」
「はぁ? あたしの経験値なんだから、経験値以外に何て呼ぶのよ!」
と、胡桃の視線を追った先に居るのはゴブリンである。
ロープレでお馴染み、醜い子鬼族だ。
ゴブリンはこん棒や短剣などで武装しており、かなりずる賢い。
空も初めて戦った時は、苦戦したものである。
それになにより、子鬼が武器を持っているというその醜悪な見目。
空はそれに結構ビビったのだが。
「じゃあ、経験値をもらいに行ってくるから、あんた達はそこで見てなさいよね!」
と、くるくると肩を回しながら言う胡桃。
彼女はそのまま、楽しそうな様子で歩いて行ってしまうのだった。