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第百十三話 空と胡桃は一緒に起きてみる②

「ね、ねぇ空……あたし達、奴隷とご主人様な関係なわけじゃない?」


 と言ってくるのは胡桃である。

 彼女は空と同じ布団の中で、身体をもじもじさせて続けてくる。


「だったら、奴隷専用の挨拶があってもいいと思うんだから!」


「奴隷専用の、挨拶?」


「そう! 例えば……こほん」


 と、わざとらしい胡桃。

 次の瞬間、胡桃は空の方に身を寄せてくると、頬を染めながら言ってくる。


「ご主人様、おはようございます……今日も、あたしの身体をたくさん使ってください」


「…………」


 とりあえず、空には考えるべきことが二つある。

 一つは胡桃の頭がおかしくなったのかということだ。


(胡桃がおかしくなったのは、怪人と戦ってからだ)


 空が怪人と戦ったあの時。

 胡桃は怪人にトラウマがあるにもかかわらず、空を援護してきてくれた。

 ひょっとしたら、胡桃はそのせいで負荷がかかって精神がおかしくなった可能性がある。


 といっても、これは最悪のパターンである。

 あとはもう一つ――胡桃が空に嫌がらせをしている可能性である。


(胡桃は確実に、僕のことが大嫌いなはずだ……だったら、わざとこういう態度をとって、僕のことを困らせてる可能性がある)


 あるかないか。

 という点のみで考えるのならば、どう考えても後者だ。

 しかし。


(もしも胡桃の頭がおかしくなっているのに、それを放置してしまったら後々大変なことになるかもしれない)


 病気は早期発見、早期治療に限るのだ。

 故に空は一度頷き。


「胡桃」


 と、なるべく真剣な表情をし、彼女の肩を掴む。

 すると胡桃は何故か慌てた様子で言ってくる。


「な、なによ! えっと、ま、まさか……そういうことなの!?」


「胡桃、いいから聞いて」


「い、いちいち言わなくてもいいんだから! わ、わかりゅわよ! 覚悟はその……できてるんだから! しなさいよ、あんたの好きに! あんただったら、別にあたしは――」


「病院に行こう」


「は?」


 やはり胡桃はおかしい。

 今も空が言っていることを理解していないようなのだ。

 故に空はもう一度、ゆっくりと胡桃に言う。


「病院に行って、検査してもらおう」


「そ、それって……ひょっとして……あ、赤ちゃんの検査?」


「っ……これは酷い」


 ダメだ。

 胡桃はやはりおかしくなっている。


「で、でも空! あたし、赤ちゃんの話はまだ早いと思うの……ま、まぁ、どうしてもって言うなら考えてあげなくもないんだからね!」


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