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第百十二話 空と胡桃は一緒に起きてみる
時は怪人事件から数日後、時刻は早朝。
場所は空の部屋、ベッド。
「ん……」
カーテンから差し込む日の光。
空がゆっくりと目をあけると。
「くーう、おはよ」
そこには胡桃が居た。
それ自体は別におかしくはない。
胡桃は今までも『奴隷は同じベッドで眠るもの』という、独自理論を展開していたのだから。
問題は胡桃の態度だ。
「空って、寝顔とってもかわいいんだから」
と、空の頬を撫でながら言ってくる胡桃。
彼女は見るからに幸せそうな表情で、空へと続けて言ってくる。
「ねぇ、空? 昨日はどんな夢をみてたの?」
「な、なんでそんなこと急に――」
「だって空、あたしのことずっとその……抱きしめてきてたから」
「あ、ごめ――」
「べ、別に嫌だってわけじゃないんだから! 勘違いしないでよね!」
と、胡桃は空の鼻をぺしっと軽くつついて来る。
空はそんな彼女を見ながら思うのだった。
(胡桃……頭おかしくなったのかな)