お姉さまは魔法使い?
パーティー会場に着き、慶のエスコートで会場に入る。
毎年の如く、視線を集める。
お友達と話してか、私にぶつかった初等部の女の子がサッと青ざめる。
そりゃそうだ、今の私は怖そうなお姉さんだからだ。
「も、も、申し訳ありません!前を見ていなく、、」
涙目になりながら私に謝る可愛らしい女の子、見たことが無い子だから
おそらく今年初等部に入学した子だろう。
「いいえ、大丈夫ですわよ。それよりお怪我はなされなかった?」
彼女と目線を合わせる為、屈み話しかけた。
「うわー、きれいなひと。。。はっ!!!あっえっと、大丈夫です!」
うわ言を言った後、状況を思い出し慌てて返事をする。
「ふふっ、ありがとう。お怪我をするといけないから次は気を付けてね。」
彼女の髪を撫でにっこり笑い、慶に腕を組み直した。
「さすがだね。沙耶花」
関心する慶。
「そんな事はないですわ。当然の事をしたまでです。さあ、本日はお互いの家の名に恥じぬよう立ち振る舞っていきましょう。」
そう言って私はニッコリ笑う。
「そうだね。」
いつもとは違う甘いマスクを被り笑顔を振りまく慶。
ダンスをした二人は会場の視線を独り占めした。
その後、聖と穂乃果に当たられている慶を可愛そうに思った。
「わたくしお花をつみに行って参りますわ。」
そう言って私は御手洗いに向かった。
会場に戻る途中、先程、私にぶつかった女の子が一人泣いていた。
「そこの可愛らしいお嬢様、そんなに泣いていては可愛らしいお顔が台無しですわ。」
女の子の後ろに立ち、振り返る彼女に向かって笑いかける。
「こんな所で泣いてどうしたのですか?」
女の子をベンチに誘導し座って彼女の話しを聞いた。
「今日は、お慕いしている方とダンスがしたかったんです。」
涙をポロポロ流す彼女。
「お誘いしなかったのですか?」
零れる涙を手ですくいながら私は言った。
「誘ったのですが、彼にはわたくしよりも素敵なパートナーがいらっしゃいました。」
そして落ち込む彼女。
「そうでしたか。わたくしだったら泣くより、その殿方がわたくしを選ばなかったことを後悔するような淑女になれるよう立ち振る舞いますわ。」
私は立ち上がり綺麗に歩いて振り向きにっこりと笑う。
わぁ!っと感激してくれる彼女にくさい事してしまったなと少し恥ずかしくなった。
「でも、さっき転んでしまいドレスも髪も汚れてしまって、お姉様のようになれませんわ。」
そう言って、落ち込む彼女を見て、私は急ぎで昔来ていたドレスを使用人に持ってこさせた。
部屋を借り、着替えさせ、昔の私のようにロイヤルブルーのリボンで髪をポニーテールに結い上げた。一緒に来てもらったメイクさんにメイクをお願いした。
「これがわたくし、、、。」
自分の姿に驚いていた。
「綺麗になれる魔法を教えましょうか?」
私は彼女を見て、言った。
「はい!是非、知りたいです。」
そんな彼女に
「それは笑顔ですわ。笑顔は最大の武器ですわ。忘れないでくださいませ。」
彼女の頬に手をやり、私は笑った。
呼んでおいた聖と慶。彼女をエスコートして欲しいとお願いしたら、
快く引き受けてくれた。
「お姉さま、何から何までありがとうございます。わたくしもお姉さまみたいに華麗で殿方を魅了できるような女性を目指しますわ。よろしければ、お名前を教えて下さいませんか?わたくしは、高瀬凛」
私の手を取りキラキラした目で私を見る女の子
「わたくしは、神宮寺沙耶花ですわ。よろしくね凛様。「凛とお呼び下さい!」・・えっと凛さん?「凛です。」・・・呼び捨ては難しいですわ。凛ちゃんでよろしいですか?」
凛ちゃんという呼び方で妥協してもらえてホッと一安心だ。
「沙耶花お姉さま、わたくしはこのご恩を一生忘れませんわ。ありがとうございます。」
凛ちゃんはそう言って会場に戻っていく。凛ちゃんをはさみ聖と慶が手を引く。
本日、一番の注目だっただろう。
可愛らしい女の子を大人気のイケメン2人にエスコートしているから。
凛ちゃんの笑顔を見て、私は満足げに笑う。
「ビビディバビディブーですわね。」
私の隣りでクスクス笑いながら穂乃果が言った。
「ふふっ、12時の鐘が鳴り終わったら魔法が解けること伝えてなかったわ。」
お互い顔を見合わせクスっと笑った。
「それにしても今時の女の子はおませさんですね。」
私がふと思い出しそう言った。
「はげど」
ポロッと穂乃果の口からすごいワードが出てきたので私は驚いた。
「穂乃果様、今は部屋の中じゃありませんわよ。」
苦笑をもらしながらそう言う。
「ごめんなさい、ついポロっと出てしまって。」
ウフフと笑う穂乃果。
「そろそろ女子会がしたいですわ。直近のご予定は?」
キラリと笑う穂乃果。
「明日の放課後は予定がありませんわ。」
そう言って私もニッと笑う。
「では、明日楽しみにしておりますわ。」
わくわくが隠せていない穂乃果を見て私はフフッと笑った。
こうして幕を閉じた歓迎会であった。