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このゲーム、君に届けたい  作者: 天月瞳
大学編

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【絢音】初日探索【異星食堂】

ついにこのゲームが「異星食堂」と名付けられた理由を理解した絢音は、急いでゲームパネルに目を向け、そこに表示されている項目を一つずつ確認した。


「HPとスタミナゲージ……満腹度はないんだ」


どうやら今回はサバイバル系のゲームではなさそうだ。絢音は少し安心しつつ、視線がある数値の項目で止まった。


「……あ」


:あ

:終わった

:さすがに『異星の下』シリーズって感じ?


「……SAN値、あるんだよね」

絢音は歯切れ悪そうに言った。


以前の『異星の下』では、RPGに慣れすぎていた絢音がひたすら主人公をレベルアップさせ続けた結果、最後には正気を失い、怪物になってしまったのだ。


食事を終えた後、奈亞は微笑みながら星野光に声をかけた。


「もう遅いですし、探索は明日にしましょう」


絢音は目を閉じて少し黙り込み、そして言った。


「やっぱり……夜になると何か出てくる感じ?」


:ばけものが出そう

:なんかやばいやつが来そう


やむを得ず、絢音は星野光を操作して自分の部屋へ戻ることにした。


「必要なものは一通り揃ってる感じかな」

絢音は部屋を確認して、頷いた。


部屋はとても簡素で、ベッドが一つに、机と椅子、全身鏡、そしてクローゼット。

それに加えて、ベッドの脇には小さな金庫が置かれていた。


「倉庫より容量はずっと少ないし、よく使うアイテム用ってところかな」

絢音は金庫を確認するが、中は何もなく、少しがっかりする。


「クローゼットは……あ、さっきもらった料理人の服だ」

クローゼットではセット衣装を保存でき、プレイヤーが自由に組み合わせて保存することも、ゲーム側が用意したコーディネートを使うこともできる。

その結果は全身鏡ですぐに確認できた。


「これはなかなかいいね、着せ替え遊びもできそう」

そう言いつつ、今は他に着替える服もないため、ひとまず保留にする。


「それじゃ、寝ようかな。みんな、おやすみ~」

絢音はベッドをクリックし、そう告げた。


:おやすみなさい~

:おやすみ~


画面が切り替わる。

夕日が沈み、月が昇り、やがて月も姿を消し、再び太陽が昇る。

一日が過ぎ去った。


「おはよう~」

絢音は視聴者に挨拶し、探索に出る準備を始める。


「まあ、おはようございます」


その声を聞くだけで、絢音は今でもわずかに身構えてしまう。

顔を上げると、濃い紫のドレスを纏った妖艶な美女が立っていた。


「奈亞さん、おはようございます」

星野光は自然な様子で奈亞に挨拶する。


「お出かけですか? 準備に何か買っていきませんか?」

奈亞は微笑みながら、ショップ画面を表示した。


「あ……お金がない」

絢音は気まずそうに思い出す。


だが幸い、不要なアイテムを売ってお金に換えることができたため、強盗の刀を一本売り、弾薬をいくつか購入した。


「毎度ありがとうございます」

買い物をしたからか、奈亞の表情はどこか柔らいだように見えた。


「外出される際は、時間にお気をつけください。あまり遅くなると危険ですから」

そう言って奈亞は、金色の懐中時計を星野光に手渡した。


「はい、これをどうぞ」


【奈亞の懐中時計×1】


すると画面上部に、時間表示が追加される。


8:00


「ありがとう、助かります」

絢音は礼を言い、それを受け取る。基地の中では時間が進まないことに気づいた。

星野光が基地の外へ出た瞬間から、時間が動き始める。


「さて、次は何をしようかな」

少し考えた末、絢音はまず釣りをすることに決めた。


川辺に向かい、星野光は釣り具を取り出して釣りを始めた。

釣りの仕組みはとてもシンプルで、釣り具一式には初期の餌が付属しており、しかも無限に使える。

針を川に投げ入れ、ウキが動いたら竿を引き上げる。

もちろん必ず釣れるわけではなく、多少のコツは必要だ。

釣れる魚は大小さまざまで、売却価格も表示される。


「だいたい分かったかな、えいっ!」

絢音は釣りを続ける。


「そういえば、みんな最近映画観に行った? 私、この前観に行ったんだよ、あの爆弾のやつ」


:観た、あれは面白かったなぁ

:まだだけど観る予定

:忙しくて無理


「最初は行くつもりなかったんだけど、あの曲があまりにも流行ってて、ダンスも可愛かったから、ついね」

そう言って笑いながら、絢音は竿を引き、大きな魚を釣り上げた。


「プールのシーンはちょっと恥ずかしかったなぁ」


:光ちゃん、プール行ったことある?

:分かる


「プールくらい行ったことあるよ! みんな私を何だと思ってるの」

絢音は少し不服そうに口を尖らせ、付け加える。

「そういえば言ったことあったかな、実は、星野は泳げないんだよ」


:カナヅチ?

:へー意外


「うん、なんでか分からないけど苦手で。でも習おうとは思ってるよ」

そんな雑談をしながら釣りを続け、気づけば三十分ほど経っていた。


「はっ、危ない危ない。そろそろ他のこともやらないと」

我に返った絢音は、慌てて竿をしまう。


次に向かったのは畑だった。


「おはようございます、星野様」

じょうろを手にしたリリが、星野光に挨拶する。


「星野様は、何を植えるご予定ですか?」


「あ……種持ってない」

奈亞の品揃えに植物の種があったことを思い出すが、購入していなかったため、今は何も植えられない。


「なくても大丈夫ですよ。それでは私が、植物のお世話の仕方をお教えしますね」

リリは熱心に、作物の世話について説明してくれた。


「普段は私が畑を管理していますので、星野様はお時間のあるときに、手伝っていただければ大丈夫です」


「この子、良い子すぎない?」

絢音は感動してそう呟いた。


リリと別れた後、絢音は周辺の探索を始める。


周囲の街並みはほとんどが崩れた建物ばかりで、絢音は見つけた家ごとに中を調べて回った。


「おっ、この家はわりと形が残ってるね」

星野光を操作し、ある廃屋に足を踏み入れる。


「おおっ! アクセサリーだ、結構高そう!」

引き出しの中から宝石類を見つけ、絢音は興奮して声を上げた。


その直後、咆哮が響き、絢音の警戒心が一気に高まる。


「敵?」


家の奥から、無数の骨棘を生やした灰白色の巨大な犬が、ゆっくりと姿を現した。


「ワンちゃんだ……」


次の瞬間、巨犬は星野光に向かって吠え、突進してくる。


「今回は近接武器を試してみよう」

絢音は初期武器として支給されていた骨切り包丁を取り出し、立ち回りを始めた。


巨犬の攻撃は動きが大きく、回避は比較的容易だ。

避けながら隙を見て、二、三度斬りつける。


それを何度か繰り返し、ついに巨犬は悲鳴を上げて倒れた。


:うっま

:さすがフロム好き



「これが、リリの言ってた異獣だよね。異獣って何を落とすんだろ、素材?」

そう思って巨犬を調べると、案の定システム表示が現れる。


【灰白骨犬の肉×5/灰白骨犬の皮×1/灰白骨犬の骨棘×5】


「……え?食べるの?」

動物好きな絢音は思わずツッコミを入れる。

それにあの見た目もあまり美味しそうには見えなかった。


その後もしばらく探索を続け、缶詰や物資を見つけたり、傭兵なのか強盗なのか判然としない三人組と一戦交えたりした。


18:00


時間が進み、空は徐々に暗くなり始める。


「そろそろ戻ったほうが良さそうだね。今日は基地に帰って、明日は市集を見に行こう」

絢音は基地へ戻ることを決めた。


夜にどんな化け物が現れるのか、少なくとも初心者のうちは知りたくなかったからだ。

今日はとっても嬉しいことがあった、なにがいえないけど、嬉しかったです。

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