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このゲーム、君に届けたい  作者: 天月瞳
大学編

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【絢音】この子はヒロインですか!?(大興奮)【異星食堂】

旅商人と別れたあと、絢音は三人の盗賊の死体がその場に残っていることに気づいた。


「何か拾えるもの、あるかな?」


試しに死体に向かってEキーを押してみると、絢音は思わず驚きの声を上げた。

三人が先ほど使っていた武器だけでなく、身につけていたアイテムや装備品まで回収できてしまうのだ。

:うまうま

:結構いい物持ってるね


「回復薬に弾薬、食料まで……ずいぶん色々持ってるじゃん」


アイテムをいっぱい手に入れたことに上機嫌な絢音は、荷物を抱えたまま、地図にマークされた女料理人の住処へと向かう。


「どんな人なんだろう?」


道中の風景は、次第に建物よりも植物の割合が多くなっていく。


「まさか、森の中に住んでるの?」


絢音は少し驚きつつも、考えてみれば不思議でもない気がした。


しかし、地図のマーカーは森の奥ではなく、広い樹林を抜けた先の、やや開けた空き地を指していた。

明らかに人の手が入ったその場所には、コンテナを組み合わせて補強した建物があり、その脇には木柵で囲まれた菜園が広がっている。

さらに奥の方には、川が流れているのがかすかに見えた。


「ここかな?」


絢音はキャラクターを操作し、入口の前まで行ってノックする。


【反応がない。どうやら留守のようだ】


「いないのかな?」


周囲を探索して、女料理人を探してみようとした、その時だった。


「誰? ゆっくり振り向きなさい。怪しい動きをしたら、どうなるか保証しないわよ」


背後から声がかかる。

星野光は指示に従い、ゆっくりと振り返った。


そこに立っていたのは、主人公の胸元ほどの小柄な体格の、銀色の短髪の少女だった。

冷酷な表情で短剣を構え、こちらに向けている。

黒い密着型のレザーアーマーに身を包み、その姿は実に手慣れて見えた。


「猫耳!」


絢音は真っ先に、少女の頭に生えた猫耳に気づき、興奮気味に叫ぶ。


:猫耳美少女きた!

:制作陣、分かりすぎてる


「私は星野光。旅の商人さんに紹介されて来ました。ここで住む場所を借りられるって聞いて」


星野光は両手を上げ、そう答える。


「旅の商人? 証拠は?」


銀髪の少女は警戒を解かず、さらに問い詰める。


「え? 証拠?」


画面に三つの選択肢が表示された。

【銃を取り出して「これが証明だ」】

【商人からもらったノートを見せる】

【アイテムで賄賂を渡す】


「最初の選択肢、本気?」


他の選択肢も気になったが、安全策を取って、絢音はノートを提示する。


「……確かに、あの方の紋章ね。失礼しました」


少女は短剣を収め、謝罪する。


「星野様ですね。私はリリ。どうぞ、こちらへ」


そう言って、リリは星野光をコンテナの中へと案内した。


コンテナは外から見れば、薄い鉄板でできた、ところどころ錆びついた粗末なものにしか見えない。

しかし中に入ってみると、そこはまったくの別世界だった。

外壁は何重にも補強され、多数の防御設備が設置されている。

空間の中央には巨大な金属製の立方体が鎮座し、強烈な威圧感を放っていた。


「でっか!?」


絢音はコンテナ内部の光景に目を見張る。


リリは立方体の上部に設置されたカメラを見上げる。

すると、噴射音と機構音が轟き、一面がゆっくりと動き出し、トラック一台が入れそうなほどの空間が現れた。


「エレベーターだったんだ。てっきり秘密兵器か何かかと思ったよ」


絢音は思わずツッコミを入れる。


建物の本体は地下にあり、そこには金属で構成された広大な地下空間が広がっていた。


「星野様があの方の紹介で来られたのであれば、信用できます」


リリは星野光にそう告げる。


「地下は五つのエリアに分かれています。居住区、加工区、倉庫、会議室、それから厨房です。こちらへどうぞ」


銀髪の少女は背を向けて歩き出し、黒と白のまだら模様の尻尾が、背後でゆらりと揺れる。


「か、可愛い……」


猫好きの絢音にとって、猫好きの絢音にとって、この誘惑に抗えるはずもなかった、思わず唾を飲み込んだ。


リリは星野光を一つの部屋へと案内し、扉脇のネームプレートを操作する。


「では星野様、こちらのカメラの前に立ってください」


絢音は指示通りにキャラクターを操作し、カメラの前に立つ。

すると、緑色の光が上から下へと走り、しばらくスキャンが行われた。


「はい、これで星野様専用の部屋として設定されました。入口の認証は後ほど調整しますので、今後は自由に出入りできます」


「ありがとうございます」

星野光はうなずいて礼を述べた。


「みんな!この子、可愛いだけじゃなくて、すごく優しいんだよ!」

絢音は興奮気味に視聴者へ語りかける。


:かわいい

:どこに行けばこんな猫耳美少女に出会えるんだ?


「では、星野様、こちらへどうぞ。ほかの施設の詳細をご案内いたします」

リリは主人公を先導し、基地内の設備についての説明を続けた。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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